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第23話
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「なる程、それで俺に相談してきたという訳か」
「ああ、お前の所はお姉さんや妹さんがいるし、それに婚約者の女性とも仲が良いんだろ?女性の友達との接し方について、何か助言をもらえるのならと思ってな」
「まあ、確かにウォルターには難しそうな感じだよな。だがウォルター、お前は勘違いをしているぞ」
「勘違い?」
「ああ、俺は姉貴や妹と上手く付き合っているんじゃない。上手く使われているだけだ。マリーに関しても同じだぞ。俺が女性陣を引っ張ているんじゃなくて、ただ単に尻に敷かれているだけだ」
「そうなのか?」
「そうなんだよ。この前だって…………」
愚痴を言いながらも、自分のお姉さんや妹さんとの楽しかった旅行や買い物、婚約者の女性とデートに行った時の惚気話を語ってくるのは、同級生で友達のジャン・コルネだ。コルネ侯爵家の一人息子であり、騎士団長であるコルネ侯爵の後を継ぎ、次期騎士団長となるべく日々鍛えている、シルバーの髪にバイオレットの瞳をした、渋い顔のイケメンだ。
先日、イザベラ嬢とクララ嬢のお願いを快諾したはいいものの、俺は女性の友達との付き合い方を知っている訳ではない。前世はボッチであったし、今世ではジャンやマークといった男友達が出来たものの、女友達と呼べるような親しい女性は一人としていない。訓練中や授業中の時には気軽に声を掛ける事が出来るのだが、それ以外の時には、女性相手に何を話せばいいのか分からない。なので騎士学院に入学して一年経っても、俺には男友達しかいないのだ。
そんな俺ではあるが、イザベラ嬢やクララ嬢の心からのお願いに精一杯応えるためにも、まずは女性について知ろうと思い、ジャンに相談したのだ。
「ジャン、戻ってきてくれ」
「――てな感じでな。これがまた、……おっとすまん。それで、マリーがプレゼントしてくれたものについてだったか?」
「全然違う。女性の友達との付き合い方についてだ」
「ああ、そう言えばそうだったな。だがさっきも言った様な気もするが、俺は尻に敷かれている側なんだよ。それに俺の場合、小さい頃から姉貴や妹に扱き使われてきただけだ。だから俺も、女性の友達との付き合い方なんて大して分からん。まあ、深く考える事はないんじゃないか?カノッサ公爵のご令嬢や、ベルトーネ男爵のご令嬢たちと同じ様に接してあげればいいと思うぞ」
「……そうだな、そうしてみるよ。ありがとう、ジャン」
「いいって事よ。だがまあ、俺も大して助言出来なかったからな。寧ろこっちが謝りたいくらいだ」
「そんな事はないよ。俺にとっては十分な助言だったさ」
「そうか、それなら良かったよ。……それにしても、アルベルト殿下や側近たちがそんな感じになってるとはな。俺も魔法学院に通っていたら、まず間違いなく殿下の側近候補にさせられていただろうからな。通う学院をこっちにして正解だったな」
「そう言えば、何でジャンはこっちの学院に通ってるんだ?」
ジャンは俺と違い、侯爵家の生まれに相応しい魔力量と、属性魔法への適性の高さを持っている。しかし周囲の予想を裏切り、迷うことなく騎士学院へと入学を希望し、貴族たちを一時期の間ざわつかせた。そんなジャンは、俺の今更な質問に嫌な顔をせずに答えてくれた。
「考えてもみろよ。騎士団長をしている親父の後を継ぐのに、何で魔法学院に通うんだよ。この国は昔も今も魔法が大好きみたいだが、俺にとって憧れは魔法よりも親父の背中だ。その背中に追いつき、親父や先祖たちの思いを受け継ぐためにも、俺は騎士学院に入学したんだ。……それにマリーがな、――――」
とても感動的な良い話で終わったと思ったら、そこからまた永遠に続くのかと思える程の惚気話が始まった。いつもは聞き流す所ではあるが、今日は相談に乗ってもらった事もあるし、ほんの少しだけ真面目に聞いてあげる事にしよう。
「ああ、お前の所はお姉さんや妹さんがいるし、それに婚約者の女性とも仲が良いんだろ?女性の友達との接し方について、何か助言をもらえるのならと思ってな」
「まあ、確かにウォルターには難しそうな感じだよな。だがウォルター、お前は勘違いをしているぞ」
「勘違い?」
「ああ、俺は姉貴や妹と上手く付き合っているんじゃない。上手く使われているだけだ。マリーに関しても同じだぞ。俺が女性陣を引っ張ているんじゃなくて、ただ単に尻に敷かれているだけだ」
「そうなのか?」
「そうなんだよ。この前だって…………」
愚痴を言いながらも、自分のお姉さんや妹さんとの楽しかった旅行や買い物、婚約者の女性とデートに行った時の惚気話を語ってくるのは、同級生で友達のジャン・コルネだ。コルネ侯爵家の一人息子であり、騎士団長であるコルネ侯爵の後を継ぎ、次期騎士団長となるべく日々鍛えている、シルバーの髪にバイオレットの瞳をした、渋い顔のイケメンだ。
先日、イザベラ嬢とクララ嬢のお願いを快諾したはいいものの、俺は女性の友達との付き合い方を知っている訳ではない。前世はボッチであったし、今世ではジャンやマークといった男友達が出来たものの、女友達と呼べるような親しい女性は一人としていない。訓練中や授業中の時には気軽に声を掛ける事が出来るのだが、それ以外の時には、女性相手に何を話せばいいのか分からない。なので騎士学院に入学して一年経っても、俺には男友達しかいないのだ。
そんな俺ではあるが、イザベラ嬢やクララ嬢の心からのお願いに精一杯応えるためにも、まずは女性について知ろうと思い、ジャンに相談したのだ。
「ジャン、戻ってきてくれ」
「――てな感じでな。これがまた、……おっとすまん。それで、マリーがプレゼントしてくれたものについてだったか?」
「全然違う。女性の友達との付き合い方についてだ」
「ああ、そう言えばそうだったな。だがさっきも言った様な気もするが、俺は尻に敷かれている側なんだよ。それに俺の場合、小さい頃から姉貴や妹に扱き使われてきただけだ。だから俺も、女性の友達との付き合い方なんて大して分からん。まあ、深く考える事はないんじゃないか?カノッサ公爵のご令嬢や、ベルトーネ男爵のご令嬢たちと同じ様に接してあげればいいと思うぞ」
「……そうだな、そうしてみるよ。ありがとう、ジャン」
「いいって事よ。だがまあ、俺も大して助言出来なかったからな。寧ろこっちが謝りたいくらいだ」
「そんな事はないよ。俺にとっては十分な助言だったさ」
「そうか、それなら良かったよ。……それにしても、アルベルト殿下や側近たちがそんな感じになってるとはな。俺も魔法学院に通っていたら、まず間違いなく殿下の側近候補にさせられていただろうからな。通う学院をこっちにして正解だったな」
「そう言えば、何でジャンはこっちの学院に通ってるんだ?」
ジャンは俺と違い、侯爵家の生まれに相応しい魔力量と、属性魔法への適性の高さを持っている。しかし周囲の予想を裏切り、迷うことなく騎士学院へと入学を希望し、貴族たちを一時期の間ざわつかせた。そんなジャンは、俺の今更な質問に嫌な顔をせずに答えてくれた。
「考えてもみろよ。騎士団長をしている親父の後を継ぐのに、何で魔法学院に通うんだよ。この国は昔も今も魔法が大好きみたいだが、俺にとって憧れは魔法よりも親父の背中だ。その背中に追いつき、親父や先祖たちの思いを受け継ぐためにも、俺は騎士学院に入学したんだ。……それにマリーがな、――――」
とても感動的な良い話で終わったと思ったら、そこからまた永遠に続くのかと思える程の惚気話が始まった。いつもは聞き流す所ではあるが、今日は相談に乗ってもらった事もあるし、ほんの少しだけ真面目に聞いてあげる事にしよう。
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