誰もシナリオを知らない、乙女ゲームの世界

Greis

文字の大きさ
23 / 348

第23話

しおりを挟む
「なる程、それで俺に相談してきたという訳か」
「ああ、お前の所はお姉さんや妹さんがいるし、それに婚約者の女性とも仲が良いんだろ?女性の友達との接し方について、何か助言をもらえるのならと思ってな」
「まあ、確かにウォルターには難しそうな感じだよな。だがウォルター、お前は勘違いをしているぞ」
「勘違い?」
「ああ、俺は姉貴や妹と上手く付き合っているんじゃない。上手く使われているだけだ。マリーに関しても同じだぞ。俺が女性陣を引っ張ているんじゃなくて、ただ単に尻に敷かれているだけだ」
「そうなのか?」
「そうなんだよ。この前だって…………」

 愚痴を言いながらも、自分のお姉さんや妹さんとの楽しかった旅行や買い物、婚約者の女性とデートに行った時の惚気話を語ってくるのは、同級生で友達のジャン・コルネだ。コルネ侯爵家の一人息子であり、騎士団長であるコルネ侯爵の後を継ぎ、次期騎士団長となるべく日々鍛えている、シルバーの髪にバイオレットの瞳をした、渋い顔のイケメンだ。
 先日、イザベラ嬢とクララ嬢のお願いを快諾したはいいものの、俺は女性の友達との付き合い方を知っている訳ではない。前世はボッチであったし、今世ではジャンやマークといった男友達が出来たものの、女友達と呼べるような親しい女性は一人としていない。訓練中や授業中の時には気軽に声を掛ける事が出来るのだが、それ以外の時には、女性相手に何を話せばいいのか分からない。なので騎士学院に入学して一年経っても、俺には男友達しかいないのだ。
 そんな俺ではあるが、イザベラ嬢やクララ嬢の心からのお願いに精一杯応えるためにも、まずは女性について知ろうと思い、ジャンに相談したのだ。

「ジャン、戻ってきてくれ」
「――てな感じでな。これがまた、……おっとすまん。それで、マリーがプレゼントしてくれたものについてだったか?」
「全然違う。女性の友達との付き合い方についてだ」
「ああ、そう言えばそうだったな。だがさっきも言った様な気もするが、俺は尻に敷かれている側なんだよ。それに俺の場合、小さい頃から姉貴や妹に扱き使われてきただけだ。だから俺も、女性の友達との付き合い方なんて大して分からん。まあ、深く考える事はないんじゃないか?カノッサ公爵のご令嬢や、ベルトーネ男爵のご令嬢たちと同じ様に接してあげればいいと思うぞ」
「……そうだな、そうしてみるよ。ありがとう、ジャン」
「いいって事よ。だがまあ、俺も大して助言出来なかったからな。寧ろこっちが謝りたいくらいだ」
「そんな事はないよ。俺にとっては十分な助言だったさ」
「そうか、それなら良かったよ。……それにしても、アルベルト殿下や側近たちがそんな感じになってるとはな。俺も魔法学院に通っていたら、まず間違いなく殿下の側近候補にさせられていただろうからな。通う学院をこっちにして正解だったな」
「そう言えば、何でジャンはこっちの学院に通ってるんだ?」

 ジャンは俺と違い、侯爵家の生まれに相応しい魔力量と、属性魔法への適性の高さを持っている。しかし周囲の予想を裏切り、迷うことなく騎士学院へと入学を希望し、貴族たちを一時期の間ざわつかせた。そんなジャンは、俺の今更な質問に嫌な顔をせずに答えてくれた。

「考えてもみろよ。騎士団長をしている親父の後を継ぐのに、何で魔法学院に通うんだよ。この国は昔も今も魔法が大好きみたいだが、俺にとって憧れは魔法よりも親父の背中だ。その背中に追いつき、親父や先祖たちの思いを受け継ぐためにも、俺は騎士学院に入学したんだ。……それにマリーがな、――――」

 とても感動的な良い話で終わったと思ったら、そこからまた永遠に続くのかと思える程の惚気話が始まった。いつもは聞き流す所ではあるが、今日は相談に乗ってもらった事もあるし、ほんの少しだけ真面目に聞いてあげる事にしよう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない

みずがめ
恋愛
 宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。  葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。  なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。  その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。  そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。  幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。  ……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

処理中です...