64 / 348
第64話
しおりを挟む
満面の笑顔で桃を食べながらも、終始無言の女性陣。切り分けられた一切れ一切れをゆっくりと口に運んでいき、その美味しさや効能を噛みしめている様に見える。その姿は、母さんや叔母さんたちが桃を食べる時とそっくりだ。
そして桃を食べ終わった三人は、長く深く息を吐いて、‟若返りの桃”を十二分に堪能し終わった様だ。桃を食べ終わった三人の肌艶が心なしか、非常に良くなっている様にも見える。
「流石は、桃の中でも最高位に位置する‟若返りの桃”。効能を抜きに考えても、味もさることながら香りに瑞々しさなど、果物としても最高級なのは間違いありません」
「私もそう思います。それに、もの凄い甘いのも良いですね」
「それに皮まで美味しいなんて、もう普通の桃では満足できませんね」
クララ嬢のその言葉に、アンナ公爵夫人とイザベラ嬢はウンウンと頷いて同意を示している。三人共ご満悦の様で、もうニッコニコの笑顔のままだ。
「皆さん味見の結果はどうでしたか?これなら誕生日の贈り物に相応しいですか?」
「ええ、間違いなく喜ばれるでしょう」
「マルグリット様が喜ぶ姿が目に浮かぶわ」
「そうね。マルグリット様も女性だから、この桃を贈り物としてもらえるのなら嬉しいでしょうね」
「ではこの‟若返りの桃”を使って、この国の女性たちを味方につける事は可能ですか?」
「「「!?」」」
俺の口から出た発言に、三人共衝撃を受けた様に固まってしまう。しかし流石は経験豊富な公爵夫人、直ぐに我に返って俺の発言から様々な事を脳内で想定し、今後の動きを色々考え始めた。
アンナ公爵夫人に遅れる事数十秒、イザベラ嬢もクララ嬢も我に返って、アンナ公爵夫人と同じ様に色々と考えを巡らせ始める。アンナ公爵夫人とイザベラ嬢たちでは、交渉する相手の年齢に差はあるだろうが、それでも同じ女性である事には違いない。
そして年齢は違えど同じ女性、この‟若返りの桃”の持つ暴力的なまで魅惑の力には、余程強靭な意志を持つ者以外は抗えないだろう。極論を言えば、この国の全ての女性を、こちらの味方に引き入れいる事が出来るかもしれないという事だ。
「…………所属する派閥の関係で、絶対に味方にはならないという人たちもいるかもしれないけれど、中立を維持している人たちとは協力関係を結べるかもしれないわね」
「私たちの方も、同じ様にどこの派閥にも属していない女生徒たちと、協力関係を結べると思うわ」
「それから、ここ最近のマルグリット様とナタリーさんの様子を見て、考えを改めた子たちにも効果があるかもしれないわね」
「という事は、この桃は食べ物としても政治的に考えても、十分利用価値があるという事でよろしいですか?」
「両方の意味でも、間違いなく価値があると断言してもいいわ。それこそマルグリットとナタリーを守るのに、これ以上ない程の武器になると言ってもいい」
社交界の頂点の一角に君臨し、海千山千の貴族や商人たちと渡り合ってきたアンナ公爵夫人の太鼓判に、俺は笑みを浮かべた。
そして桃を食べ終わった三人は、長く深く息を吐いて、‟若返りの桃”を十二分に堪能し終わった様だ。桃を食べ終わった三人の肌艶が心なしか、非常に良くなっている様にも見える。
「流石は、桃の中でも最高位に位置する‟若返りの桃”。効能を抜きに考えても、味もさることながら香りに瑞々しさなど、果物としても最高級なのは間違いありません」
「私もそう思います。それに、もの凄い甘いのも良いですね」
「それに皮まで美味しいなんて、もう普通の桃では満足できませんね」
クララ嬢のその言葉に、アンナ公爵夫人とイザベラ嬢はウンウンと頷いて同意を示している。三人共ご満悦の様で、もうニッコニコの笑顔のままだ。
「皆さん味見の結果はどうでしたか?これなら誕生日の贈り物に相応しいですか?」
「ええ、間違いなく喜ばれるでしょう」
「マルグリット様が喜ぶ姿が目に浮かぶわ」
「そうね。マルグリット様も女性だから、この桃を贈り物としてもらえるのなら嬉しいでしょうね」
「ではこの‟若返りの桃”を使って、この国の女性たちを味方につける事は可能ですか?」
「「「!?」」」
俺の口から出た発言に、三人共衝撃を受けた様に固まってしまう。しかし流石は経験豊富な公爵夫人、直ぐに我に返って俺の発言から様々な事を脳内で想定し、今後の動きを色々考え始めた。
アンナ公爵夫人に遅れる事数十秒、イザベラ嬢もクララ嬢も我に返って、アンナ公爵夫人と同じ様に色々と考えを巡らせ始める。アンナ公爵夫人とイザベラ嬢たちでは、交渉する相手の年齢に差はあるだろうが、それでも同じ女性である事には違いない。
そして年齢は違えど同じ女性、この‟若返りの桃”の持つ暴力的なまで魅惑の力には、余程強靭な意志を持つ者以外は抗えないだろう。極論を言えば、この国の全ての女性を、こちらの味方に引き入れいる事が出来るかもしれないという事だ。
「…………所属する派閥の関係で、絶対に味方にはならないという人たちもいるかもしれないけれど、中立を維持している人たちとは協力関係を結べるかもしれないわね」
「私たちの方も、同じ様にどこの派閥にも属していない女生徒たちと、協力関係を結べると思うわ」
「それから、ここ最近のマルグリット様とナタリーさんの様子を見て、考えを改めた子たちにも効果があるかもしれないわね」
「という事は、この桃は食べ物としても政治的に考えても、十分利用価値があるという事でよろしいですか?」
「両方の意味でも、間違いなく価値があると断言してもいいわ。それこそマルグリットとナタリーを守るのに、これ以上ない程の武器になると言ってもいい」
社交界の頂点の一角に君臨し、海千山千の貴族や商人たちと渡り合ってきたアンナ公爵夫人の太鼓判に、俺は笑みを浮かべた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない
みずがめ
恋愛
宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。
葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。
なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。
その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。
そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。
幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。
……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…
美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。
※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。
※イラストはAI生成です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる