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第92話
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「それは、カノッサ公爵家として、ウォルターの後ろ盾となってほしいという事でですか?」
「その通りじゃ。公爵とは、その身に王族の血が流れ、王に次ぐ力を持つ存在。アイオリス王国の公爵家の中で、頭一つどころか二つ三つ抜けており、ウォルターとも公私に共に仲の良いカノッサ公爵家にお願いしたい」
「……賢者様は、私の企みに気づいていらしたんですね」
「アンナ?」
「そうじゃな。確信とまではいかんものの、そうではないかくらいにはの。そして今回の儂の企みにお二人が協力してくれれば、アンナ夫人の企みもより確実性が増すじゃろう」
「一体何の話をしているんです?」
ローゼン殿の困惑する様子から考えるに、まだアンナ夫人が個人的に考えていたものかの?
「貴方、私はウォルターさんがイザベラの伴侶に相応しいと思っています」
「!?」
「カノッサの家は、アランたちが立派に引き継いでくれるでしょう。ですがイザベラに関しては、公爵家の見目麗しい女性である事にも加えて、親の贔屓目抜きにしても優秀な魔法使いであるわ」
「うむ。アランたちもイザベルも、目に入れても痛くない私たちの大切な子供たちだ」
「ですがそれは、ローゼンとアンナという父親と母親の気持ち。カノッサ公爵家当主と公爵夫人としての考えで行動する時、私たちは子供たちに望まぬものを押し付ける事もあります」
「……そうだな」
「そして魔境へ向かう者たちに、私たちが後ろ盾となっているウォルターさんを同行させ、その力を少なくとも王族やカルフォンに見せつければ…………」
「なる程。ただのローゼンやアンナという父と母の願いと、カノッサ公爵当主と公爵夫人としての考え、その両方を同時に叶える事が出来るという訳か」
「ええ、そうよ」
「……ふむ」
儂のウォルターの幸せの為の企みと、アンナ夫人の様々な思惑の混じった企みについてを、ローゼン殿は顎に右手を当てて悩んでいる。ローゼン殿の頭の中は、代々受け継いできたカノッサと言う家を守る現当主の立場と、儂と同じ様に、ただ娘の幸せを願う父親という立場でせめぎ合っておる様に見える。
十分・二十分と時間が過ぎていき、遂にローゼン殿が決断を下した。目を開き、右手を顎から離して顔を上げる。そして、儂とアンナ夫人を順に見てから、その口を開く。
「まずは賢者様のお願いの件ですが…………引き受けましょう」
「ホッ、それは良かった。助かりますの」
「そして、アンナ」
「ええ」
「アンナの企み、私も協力しよう」
「貴方!!」
アンナ夫人が嬉しさの余り、ローゼン殿に抱き着きにいく。それを微笑みながら、ローゼン殿はアンナ夫人を抱きとめる。
「賢者様が化物とまで評したウォルターには、カノッサ公爵家当主とローゼンと言う名の父の願い、どちらも叶えてもらうとしよう」
「ええ、そうね」
「……ふぅ、これで第一関門は無事に突破じゃな。後はウォルターの説得と言う第二関門を突破すれば、自ずと王族たちに証明されるの。ベイルトンの麒麟児、辺境の守護者と呼ばれる、ウォルターが化物だと思えるその力が」
王城に長年勤め、王族やカルフォン公爵の事もよく知るジャック。あの生意気な若造たちが、孫の様に可愛がっておるウォルターの力を正しく認識した時、ベイルトン辺境伯家の恐ろしさを知る事になるじゃろう。その時、辺境を見下してきた事を心から後悔するがよい。
「その通りじゃ。公爵とは、その身に王族の血が流れ、王に次ぐ力を持つ存在。アイオリス王国の公爵家の中で、頭一つどころか二つ三つ抜けており、ウォルターとも公私に共に仲の良いカノッサ公爵家にお願いしたい」
「……賢者様は、私の企みに気づいていらしたんですね」
「アンナ?」
「そうじゃな。確信とまではいかんものの、そうではないかくらいにはの。そして今回の儂の企みにお二人が協力してくれれば、アンナ夫人の企みもより確実性が増すじゃろう」
「一体何の話をしているんです?」
ローゼン殿の困惑する様子から考えるに、まだアンナ夫人が個人的に考えていたものかの?
「貴方、私はウォルターさんがイザベラの伴侶に相応しいと思っています」
「!?」
「カノッサの家は、アランたちが立派に引き継いでくれるでしょう。ですがイザベラに関しては、公爵家の見目麗しい女性である事にも加えて、親の贔屓目抜きにしても優秀な魔法使いであるわ」
「うむ。アランたちもイザベルも、目に入れても痛くない私たちの大切な子供たちだ」
「ですがそれは、ローゼンとアンナという父親と母親の気持ち。カノッサ公爵家当主と公爵夫人としての考えで行動する時、私たちは子供たちに望まぬものを押し付ける事もあります」
「……そうだな」
「そして魔境へ向かう者たちに、私たちが後ろ盾となっているウォルターさんを同行させ、その力を少なくとも王族やカルフォンに見せつければ…………」
「なる程。ただのローゼンやアンナという父と母の願いと、カノッサ公爵当主と公爵夫人としての考え、その両方を同時に叶える事が出来るという訳か」
「ええ、そうよ」
「……ふむ」
儂のウォルターの幸せの為の企みと、アンナ夫人の様々な思惑の混じった企みについてを、ローゼン殿は顎に右手を当てて悩んでいる。ローゼン殿の頭の中は、代々受け継いできたカノッサと言う家を守る現当主の立場と、儂と同じ様に、ただ娘の幸せを願う父親という立場でせめぎ合っておる様に見える。
十分・二十分と時間が過ぎていき、遂にローゼン殿が決断を下した。目を開き、右手を顎から離して顔を上げる。そして、儂とアンナ夫人を順に見てから、その口を開く。
「まずは賢者様のお願いの件ですが…………引き受けましょう」
「ホッ、それは良かった。助かりますの」
「そして、アンナ」
「ええ」
「アンナの企み、私も協力しよう」
「貴方!!」
アンナ夫人が嬉しさの余り、ローゼン殿に抱き着きにいく。それを微笑みながら、ローゼン殿はアンナ夫人を抱きとめる。
「賢者様が化物とまで評したウォルターには、カノッサ公爵家当主とローゼンと言う名の父の願い、どちらも叶えてもらうとしよう」
「ええ、そうね」
「……ふぅ、これで第一関門は無事に突破じゃな。後はウォルターの説得と言う第二関門を突破すれば、自ずと王族たちに証明されるの。ベイルトンの麒麟児、辺境の守護者と呼ばれる、ウォルターが化物だと思えるその力が」
王城に長年勤め、王族やカルフォン公爵の事もよく知るジャック。あの生意気な若造たちが、孫の様に可愛がっておるウォルターの力を正しく認識した時、ベイルトン辺境伯家の恐ろしさを知る事になるじゃろう。その時、辺境を見下してきた事を心から後悔するがよい。
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