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第184話
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朝早くにしっかりと目を覚まし、ここ数日の日課となっている生態系の調査の為に、今日も森の中へと訪れている。今日までの調査では、生態系に特に異常は見られなかったし、魔物の群れの痕跡なども存在しなかった。それ以外にも色々と調査した所、森や山の手つかずの奥地には、薬草類などが豊富に自生していた。
ただ奥地となると、森や山で静かに暮らしている動物たちの縄張りが多くあり、さらには主も奥地に居を構えている。森や山の事について何も知らない人間が、そんな奥地へと安易に足を踏み込めば、確実に問題が発生するだろう。なので、この事はコーベット男爵夫妻にのみ報告をしてある。
〈それにしても、静かで居心地の良い森だ。良い感じに日差しが入ってきて、木々の隙間から涼しい風が吹いてくる。人間の俺がそう感じるんだから、感覚がより鋭い動物たちなら、尚更ここが心地よい場所になるだろうな〉
そんな感想を抱いたその時、森の中に吹いていた風がピタリと止み、日差しがより強くなった。森全体が一気にその姿を変え、和やかな雰囲気から荘厳な雰囲気へと変化する。急激な変化に戸惑いつつ、戦闘になるかもしれないと警戒しながら、右手でロングソードの柄を持って鞘から抜き放つ。
『その様に警戒せずともよい。私はただ、君と話をしたいだけだ』
「…………あなたは、この森の主でしょうか?」
『ふむ。私たちからはそう名乗った事はないが、人間たちは私たちの事をそう呼ぶな』
突然俺の目の前に姿を現したのは、生物としての圧倒的な格と魔力を放つ一頭の鹿だった。ただ普通の鹿ではなく、角や体毛が一般的な鹿とは異なっている。角は枝分かれの様に幾つも伸びており、体毛の一部が頭部からロングヘアーの様に伸びて、尻尾の方までふさふさとしている。そして俺を見つめるその瞳には、何もかもを見通されている様に感じる。正しく森を統べる王、主と呼ぶに相応しい存在だ。俺はロングソードを鞘に仕舞い、森の主に向かって頭を下げる。
「森の主様、お初にお目にかかります。私の名はウォルターと申します」
『ウォルターか、良き名であるな』
「ありがとうございます。それで、主様の事は何とお呼びすれば?」
『私の名はケルノス。この森を、長きに亘って不届き者共から守護している』
「ケルノス様ですね。よろしくお願いします。それで、私に話があるとの事でしたが、一体どういった話なのでしょうか?」
『うむ、では本題に入ろう。私はここ数日、この森に訪れていたウォルターをずっと観察していた。この森を守護するものとして、ウォルターを見極める為にだ。そしてもう一つ、ウォルターの身体全体から暗き闇の残滓を感じたからだ』
「暗き闇!?ケルノス様は、あれが何かを知っているのですか?」
『ああ、知っている。魔法と近しいものではあるが、魔法とは根本的に性質が異なる理。暗き闇とは、太古の昔より存在する人を弄ぶ者共、魔に連なる者共が扱ってきた外法だ』
ただ奥地となると、森や山で静かに暮らしている動物たちの縄張りが多くあり、さらには主も奥地に居を構えている。森や山の事について何も知らない人間が、そんな奥地へと安易に足を踏み込めば、確実に問題が発生するだろう。なので、この事はコーベット男爵夫妻にのみ報告をしてある。
〈それにしても、静かで居心地の良い森だ。良い感じに日差しが入ってきて、木々の隙間から涼しい風が吹いてくる。人間の俺がそう感じるんだから、感覚がより鋭い動物たちなら、尚更ここが心地よい場所になるだろうな〉
そんな感想を抱いたその時、森の中に吹いていた風がピタリと止み、日差しがより強くなった。森全体が一気にその姿を変え、和やかな雰囲気から荘厳な雰囲気へと変化する。急激な変化に戸惑いつつ、戦闘になるかもしれないと警戒しながら、右手でロングソードの柄を持って鞘から抜き放つ。
『その様に警戒せずともよい。私はただ、君と話をしたいだけだ』
「…………あなたは、この森の主でしょうか?」
『ふむ。私たちからはそう名乗った事はないが、人間たちは私たちの事をそう呼ぶな』
突然俺の目の前に姿を現したのは、生物としての圧倒的な格と魔力を放つ一頭の鹿だった。ただ普通の鹿ではなく、角や体毛が一般的な鹿とは異なっている。角は枝分かれの様に幾つも伸びており、体毛の一部が頭部からロングヘアーの様に伸びて、尻尾の方までふさふさとしている。そして俺を見つめるその瞳には、何もかもを見通されている様に感じる。正しく森を統べる王、主と呼ぶに相応しい存在だ。俺はロングソードを鞘に仕舞い、森の主に向かって頭を下げる。
「森の主様、お初にお目にかかります。私の名はウォルターと申します」
『ウォルターか、良き名であるな』
「ありがとうございます。それで、主様の事は何とお呼びすれば?」
『私の名はケルノス。この森を、長きに亘って不届き者共から守護している』
「ケルノス様ですね。よろしくお願いします。それで、私に話があるとの事でしたが、一体どういった話なのでしょうか?」
『うむ、では本題に入ろう。私はここ数日、この森に訪れていたウォルターをずっと観察していた。この森を守護するものとして、ウォルターを見極める為にだ。そしてもう一つ、ウォルターの身体全体から暗き闇の残滓を感じたからだ』
「暗き闇!?ケルノス様は、あれが何かを知っているのですか?」
『ああ、知っている。魔法と近しいものではあるが、魔法とは根本的に性質が異なる理。暗き闇とは、太古の昔より存在する人を弄ぶ者共、魔に連なる者共が扱ってきた外法だ』
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