誰もシナリオを知らない、乙女ゲームの世界

Greis

文字の大きさ
236 / 348

第236話

しおりを挟む
 正式に聖女として認められたローラ嬢は、その新たに得た能力と権力を十分に発揮はっきし、遂に敵対していた女豹たちを完全に沈黙ちんもくさせた。それと同時に、イヴァン・ベルナール公爵とスザンヌ・ベルナール公爵夫人がベルナール公爵家の力をフル活用して、この国の中枢ちゅうすうである王城へと足繁あししげく通い精力的に働きかけた。そしてその働きかけの結果、ローラ・ベルナール公爵令嬢とアルベルト・アイオリス第一王子が、陛下と王妃の許しを得て婚約を結ぶ事となった。

「兄には悪いのだが、私はローラ・ベルナールと非常に深い仲となる事も、正式に婚約者とした事すらも間違いだと思うがな」
「それはレギアス殿下だけでなく、この場にいる全員が思っている事ですよ」
「マルグリット嬢は人格的にも性格的にも真面まともなのに、どうして彼らはああなんだ」
「寧ろ、マルグリットの方が突然変異なんだと思います。あのベルナール公爵家に生まれた、数世代に一人と言っていい良心の持ち主なのではないでしょうか」
「いえ、私はそこまで言ってもらえるような人間では……」
謙遜けんそんしなくてもいいぞ、マルグリット嬢。ウォルターの言う通りだと私も思うし、マルグリット嬢は実際器量きりょうの良い女性である事は事実だ」
「…………ありがとうございます」

 副都から王都まで情報共有の為に訪れていた、レギアス殿下の心からの賛辞さんじに、マルグリットは照れ臭そうにほほを赤く染めてお礼を言う。家庭環境の事もあって、マルグリットはめられ慣れていない。ベルナール家においてマルグリットが何かをしても、それが当然であると言った様子や、全くの無関心で終わるというのが日常であった様だからな。なので、イザベラたちと友人となった当初の頃は自己評価が低く、俺と恋人関係になり改善されてきたとはいえ今でもまだ影響が残っている。

「……レギアス殿下、本題の方をよろしくお願いします」
「そうだったな。すまない、カノッサ公爵」
「いえ。レギアス殿下のご気分を害されたのならば、大変申し訳なく思います」
「大丈夫だ。父や兄がどうだか知らないが、私はこのくらいの事で怒ったりはしない」
「ありがとうございます」
「では、我々の方で得られた情報から共有していこう。まずは、封印場所に関してからいこうか。現在副都全域に存在する教会を調べているが、現状七割から八割程調査が完了している。しかし、今の所はそれらしいと思われる様な場所は存在しない」
「一つもそれらしき痕跡こんせきが無かったのですか?」
「ああ、無かった。……これは私の直感になるが、封印の隠し場所は副都には存在しないと考えている。封印されている状態なのは分かっているんだが、あの闘技場で感じた背筋せすじこおる程の禍々まがまがしさを、副都にいて微塵みじんも感じる事がないのだ」

 古の勇者を知るアモル神によると、直系王族であるレギアス殿下は古の勇者の血が色濃く出ている様で、宿敵であった暗き闇に直接出会った事で、暗き闇に対する感知能力が高くなっているそうだ。その先祖返りであるレギアス殿下が、副都において何日にも及ぶ調査の日々の中で、暗き闇の気配を微塵も感じる事がないと言う。
 暗き闇がこうして表に出ているという事は、少なくとも封印が少しだけゆるむか壊されているという事で、その影響から暗き闇の気配がれ出ているはずだ。その漏れ出ている気配を、暗き闇に対して高い感知能力を得たレギアス殿下が感知出来ないのならば、相当巧妙こうみょうに気配を消しているか、レギアス殿下の言う様に副都に封印場所が存在しないという事だ。そしてそれが意味する事は、封印場所は王都の教会のどれかに存在し、暗き闇も封印場所がある王都に近しい場所、もしくは王都内の何処かに潜伏している可能性が高いという事だ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない

みずがめ
恋愛
 宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。  葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。  なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。  その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。  そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。  幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。  ……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

処理中です...