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第262話
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魔法学院主催による舞踏会とはいえ、女性から勇気を振り絞って男性をダンスに誘った時、そんな勇気を振り絞った女性に恥をかかせない為にも、男性は出来るだけ断らずに踊ってあげるものだ。例えそれが、ローラ嬢と敵対している相手だとしてもだ。
それぞれの貴族令嬢にダンスのお誘いを受けた側近の三人は、一瞬チラリとローラ嬢に視線を向けてから、口を開いて断りの言葉を言い放とうとする。しかし、三人の口から言葉が出る前に、アルベルト殿下がゴホンという軽い咳払いをして遮る。咳払いによって言葉を遮られた側近の三人は、鋭い視線を咳払いをしたアルベルト殿下に向けた。
(恐らく、側近たちをローラ嬢の傍から離したいんだろう)
アルベルト殿下が放つ雰囲気から、愛しいローラ嬢を自分が独り占めする為に、ローラ嬢を諦めきれない側近たちを牽制する為に、咳払いをして断りの言葉を放つのを邪魔したのだろう。そして、それを側近たちも分かっているからこそ、アルベルト殿下に鋭い視線を向けたのだ。
鋭い視線を向けられたアルベルト殿下は、動じることなく涼しい顔をしている。昔からの付き合いである側近たちの、感情を一切隠さない怒りであったとしてもだ。アルベルト殿下の感情の天秤が大きく傾いている先は、側近たちとの長きに亘る友情ではなく、婚約者となったローラ嬢に対する愛という事なのだろうな。
そんな男と男の激しい戦いが起こっている中で、アルベルト殿下ですらも予想外な事が起こる。それを引き起こしたのが、まさかまさかの、アルベルト殿下の隣に立つローラ嬢であった。
「貴女たち。分かっていない様だけど、三人とも貴女たちのお誘いを嫌がっているわ。さっさとこの場から去って、お仲間の元に戻りなさいな」
流石にこれには、一瞬ではあるが、アルベルト殿下も困惑の表情を浮かべた。いくら愛しい女性とはいえ、ダンスのお誘いにおけるマナーを完全に無視した言い様に、困惑を完全に隠しきれなかった様だ。
「ローラ、流石にそれは……」
「でもアルベルトだって、セドリックたちの気持ちを分かっていたから、咳払いをしてでも止めたんでしょ?」
どうやらローラ嬢は、側近たちが口を開いた時、お誘いを受けるという返事をすると思った様だ。そして、側近たちが嫌々ながらダンスを受けるという事を察したアルベルト殿下が、咳払いをしてそれを止めたというストーリーが、ローラ嬢の頭の中で一瞬にして組み立てられたのだろう。
だがローラ嬢の頭の中のストーリーは、アルベルト殿下にとって逆効果であるし、側近たちにとっては救いの福音となるものだ。そして、頭の中で組み立てられたストーリーを真実であると思い込み、自身の感情の赴くままに貴族令嬢三人を責め立てる。
しかし、貴族令嬢三人はローラ嬢の言葉の数々を無視し続け、背筋を伸ばして側近たちの目を真っ直ぐに見ながら、側近たち本人からの返事を待つ。暫くしてそれを察したローラ嬢が、ニヤリと悪い笑みを浮かべた。何やら、また底意地の悪い事を思い付いた様だ。
「貴女たちは、セドリックたちに嫌われているの。そうでしょ?セドリック」
ローラ嬢が高らかに言い放った言葉によって、ダンスホールに完全なる沈黙が訪れた。
それぞれの貴族令嬢にダンスのお誘いを受けた側近の三人は、一瞬チラリとローラ嬢に視線を向けてから、口を開いて断りの言葉を言い放とうとする。しかし、三人の口から言葉が出る前に、アルベルト殿下がゴホンという軽い咳払いをして遮る。咳払いによって言葉を遮られた側近の三人は、鋭い視線を咳払いをしたアルベルト殿下に向けた。
(恐らく、側近たちをローラ嬢の傍から離したいんだろう)
アルベルト殿下が放つ雰囲気から、愛しいローラ嬢を自分が独り占めする為に、ローラ嬢を諦めきれない側近たちを牽制する為に、咳払いをして断りの言葉を放つのを邪魔したのだろう。そして、それを側近たちも分かっているからこそ、アルベルト殿下に鋭い視線を向けたのだ。
鋭い視線を向けられたアルベルト殿下は、動じることなく涼しい顔をしている。昔からの付き合いである側近たちの、感情を一切隠さない怒りであったとしてもだ。アルベルト殿下の感情の天秤が大きく傾いている先は、側近たちとの長きに亘る友情ではなく、婚約者となったローラ嬢に対する愛という事なのだろうな。
そんな男と男の激しい戦いが起こっている中で、アルベルト殿下ですらも予想外な事が起こる。それを引き起こしたのが、まさかまさかの、アルベルト殿下の隣に立つローラ嬢であった。
「貴女たち。分かっていない様だけど、三人とも貴女たちのお誘いを嫌がっているわ。さっさとこの場から去って、お仲間の元に戻りなさいな」
流石にこれには、一瞬ではあるが、アルベルト殿下も困惑の表情を浮かべた。いくら愛しい女性とはいえ、ダンスのお誘いにおけるマナーを完全に無視した言い様に、困惑を完全に隠しきれなかった様だ。
「ローラ、流石にそれは……」
「でもアルベルトだって、セドリックたちの気持ちを分かっていたから、咳払いをしてでも止めたんでしょ?」
どうやらローラ嬢は、側近たちが口を開いた時、お誘いを受けるという返事をすると思った様だ。そして、側近たちが嫌々ながらダンスを受けるという事を察したアルベルト殿下が、咳払いをしてそれを止めたというストーリーが、ローラ嬢の頭の中で一瞬にして組み立てられたのだろう。
だがローラ嬢の頭の中のストーリーは、アルベルト殿下にとって逆効果であるし、側近たちにとっては救いの福音となるものだ。そして、頭の中で組み立てられたストーリーを真実であると思い込み、自身の感情の赴くままに貴族令嬢三人を責め立てる。
しかし、貴族令嬢三人はローラ嬢の言葉の数々を無視し続け、背筋を伸ばして側近たちの目を真っ直ぐに見ながら、側近たち本人からの返事を待つ。暫くしてそれを察したローラ嬢が、ニヤリと悪い笑みを浮かべた。何やら、また底意地の悪い事を思い付いた様だ。
「貴女たちは、セドリックたちに嫌われているの。そうでしょ?セドリック」
ローラ嬢が高らかに言い放った言葉によって、ダンスホールに完全なる沈黙が訪れた。
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