誰もシナリオを知らない、乙女ゲームの世界

Greis

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第339話

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 吹き荒れた爆風によって、地下空間に砂煙が舞っていく。砂煙はもの凄い勢いで迫ってきて、俺たち全員を飲み込もうとしてくる。迫りくる砂煙に対して、俺たちは球体状の魔力障壁を展開して、目や耳などに砂粒が入らない様にする。
 砂煙が勢いよく俺たち全員を飲み込み、後ろへと吹き抜けていく。魔力障壁が砂粒と爆風を防いでくれるが、砂煙によって視界が完全に薄茶色一色に染まってしまっている。
 グリフォンと融合した男の姿も、吹き荒れている砂煙の中に隠れてしまっていて、正確な位置を把握する事が出来ない。吹き荒れた爆風と砂煙の中に漆黒の魔力が混ざっているため、魔力感知の精度を上げ範囲を広げたとしても、それらの魔力も感知してしまうのだ。

「ガァアアアアアアアア――――!!」

 全身が禍々しく変化したグリフォンと融合した男が、視界の悪い砂煙の中を低空飛行しながら、真っ直ぐにこちらに向かって距離を詰めてきた。グリフォンとしての野生の勘が働いたのか、それとも魔人が持つ特別な能力なのか分からないが、こちらの位置を正確に把握できている様だ。

「グラァアアアア――!!」

 右手に漆黒の魔力を纏わせて集中させ、真っ先に俺を狙って右拳を放ってきた。纏わせた魔力量に、禍々しく変化した事で筋肉量が増している右腕から考えて、展開した魔力障壁で防ぐ事は不可能と判断する。俺は両目や両耳など、砂煙に影響されそうな所に魔力を纏わせて、砂煙の中にいても大丈夫な様に対策をとる。
 グリフォンと融合した男の右拳が、俺が展開している魔力障壁とぶつかり合う。僅かな拮抗の後に、魔力障壁を完全に砕いて突き抜け、顔面に向かって襲い掛かってくる。
 目にも止まらぬ速さで迫りくる右拳を、余裕をもって距離をとって避ける。だが、グリフォンと融合した男もそれを予想していたとばかりに、残りの左腕や両脚に漆黒の魔力を纏わせて集中させて、目にも止まらぬ速さでの連撃を放ってくる。

「ゴァアアアア――!!」
(ここにきて、近接戦闘に切り替えてきたのか?)

 そう思ったのもつかの間、禍々しく変化した翼による斬撃や、同じく禍々しく変化した羽による攻撃。それに加えて、風の属性魔法による魔法陣を自身の傍に展開し、風の槍・弾丸・刃と色々な魔法を放ってくる。放たれる魔法の数々は、先程の様な巨大な魔法での攻撃ではなく、小さく短くして暗器の様に死角から襲い掛かってくる。

(グリフォン本来の荒々しさと戦い方、それに人間の知識が上手くみ合っている。さっきまでとは違うと考えた方がいいな)

 グリフォンと融合した男は、どれだけ攻撃を避けられようとも、執拗しつように俺を狙って攻撃を仕掛けてくる。ジャック爺たちも、近接戦闘をしている俺と魔人の男の距離が近いため、下手に魔法を放って攻撃する事が出来ずにいる。
 俺を執拗に狙ってくるのは、この場にいる者たちの中で唯一の前衛だからだろう。唯一の前衛である俺を早急に潰す事が出来れば、残りを簡単に片づける事が出来ると考えているんだろうな。

「その考えは甘いけどな!!」

 ロングソードによる上段から一振りを、グリフォンと融合した男に向かって振り下ろす。グリフォンと融合した男は素早く反応し、その一振りをギリギリの所で避けて、カウンターによる反撃を放とうとしてくる。
 だが、そのカウンターをグリフォンと融合した男が放つ前に、俺が一歩左脚を前に踏み込みこんで懐に潜り込む。左拳に魔力を纏わせて集中し、一気に魔力を圧縮させてさらに強化する。そして、圧縮された魔力を纏わせた左拳を目にも止まらぬ速さで放ち、グリフォンと融合した男の胸の中心に深々と叩き込んだ。
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