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『狂いし蒼き太陽』
/燃ゆる落日05
しおりを挟む「ん? あぁ、そうか、お前は昔のボールスであっても、違うボールスなんだよなぁ」
ガウェインはフッと笑うとリンゴを置いた。そして、ボールスにゆっくりと近づいていった。
「生まれ変わると記憶が消える。残る記憶は栄光のあの時代だけか……悲しいな」
「ごめん……本当に覚えていないんだ」
そう語るガウェインにボールスは申し訳なさそうに答えた。茶色い瞳と薄紫色の瞳がぶつかる。
「一度、会ってる。そう、お前の生まれ変わりの中で一度だけ。その時に俺はこの世に戻ったんだよ」
ガウェインの話をボールスはまるで他人事のように聞いていた。自分に起きたことだと言うことは分かるが、実感がない。過去として聞くことができない。自分のことなのに生まれ変わると他人のように思える。
「禁術で無理矢理戻されたといえばいいのかな?」
そんなボールスにガウェインは説明を続ける。
「禁術?」
「始めは魂だけ引きずり出されていた。だが、次に肉体へと移された。それ以来、俺はどういうわけか長く死なずに生きているんだよ。ここにこうしてな」
ガウェインは肩をすくめてみせる。
「な、ならガウェインは世界のこと詳しいの?」
ボールスはガウェインの話を聞き、気がついた。長く生きているのであれば王のことを知っているかもしれない。なぜこうなったのかも知っているかもしれない。偶然ではあるが知りたいことを知っている人物に会えたような気がした。
「ん? なんだ? まぁ、詳しいといえば詳しいな」
「王のことを教えて」
ボールスはすぐに質問をした。それは今確実に知りたいことであった。だが、ガウェインの眉がピクリと動いた。
「知ってどうする?」
「それは……」
ガウェインの言葉にボールスは詰まった。答えられなかった。知ってこの世界をどうにかする。だが、ボールスにそれを行う権利はない。神に与えられた使命では歴史に介入することも関わる事も本来できない。
「お前は歴史に介入できない。それをやるのは別の人間だ」
それを知っているガウェインはボールスを諭すように言う。
「それでも……」
「それに俺はここの暮らしを悪いとは思わん。実に人間的だ。弱肉強食。欲望のままに暮らしていける」
そして、ガウェインは歪んだ笑みを見せる。
「お前が現れたと言うことは、この暮らしが終わると言うことだろう?」
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