[Revenant/Fantome]

将義双世/マサヨシソウセイ

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[03]第一話 白き騎士ヘリン

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ヘリンは手に持った剣を腰のベルトに剣帯で結ぶと、アルフレッドにイベリスがどこにいるか確認をした。

図書室にいると聞き、ヘリンは急いでそちらへと向かった。

ボードウィン城の図書室はフェガリアでも最大の広さを誇っていた。

それはヘリンの父であるボールスが仕えていた王の歴史を書き綴り、または自身の冒険であった聖杯探求の一部始終を書き記していたからである。

図書室にあるほとんどの書籍はボールスが書き記した歴史書が保管されていた。

歴史書を書き記すのは『見届けしもの』として神に課せられた使命だと、ボールスはヘリンに話をしたことがあった。

ボールスは不思議な出来事に遭遇しやすい気質であったり、歴史の変化が起こるような場所に居合わせたりと、まさに歴史の目撃者として神が選んだように思えた。

父のそんな姿を見て育ったヘリンはそれを後世に伝えるものとして、書籍を残し、保管することを目的として図書室を設けたのだ。

父と多く過ごした場所。

父の思いを受け継いだ場所。

故に図書室は家族としての思いが強い場所であった。

ヘリンは図書室のドアの前に立ち、静かにドアを開いた。

広い図書室に一つだけ机が備え付けられている。

生前、ボールスが歴史書を書いていた時に使っていた机である。

そこに少女が本を開いて読んでいた。

ヘリンは顔を綻ばせ、そっとその少女に近づいていく。

少女は本に夢中でヘリンが近づいているのに気付いていない。

 「イベリス」

ヘリンはそっと少女の名を呼んだ。

久しぶりに見たその姿はとても愛おしく感じる。

しばらく見ない間に少し大人びた気がする。

ちょうど、少女から淑女へと変わるそんな時期だ。

 「ヘリンお父様?」

ヘリンの声を聞いて、イベリスは読んでいた本を机の上に置いた。

本を置いて、父であるヘリンの胸の中へと飛び込んだ。

ヘリンも愛しい娘の頬に優しくキスをし、体を抱きしめた。

 「お父様、お元気でしたか?」

嬉しそうにイベリスは笑顔を向ける。

その花のような笑顔を見て、ヘリンも顔を綻ばせる。

可愛い娘。

ヘリンはイベリスのアルバートル色の髪を優しく撫でる。

少し癖のある髪の毛がヘリンの指をするりと抜ける。

ヘリンはそっと、その手を離すと図書室を見まわした。

たくさんの本棚にぎっしりと本が詰まっている。

膨大な量の資料と記録。

世界中のありとあらゆる本。

ここにはそれが詰め込まれていた。

ヘリンは机の上に積み重ねられている本のひとつを手に取って見つめた。

懐かしい。

自分もここへ入り浸っていた。

本を読みに。

父ボールスの手伝いをするために。
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