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[Revenant/Fantome]
[02]第一話 白き騎士ヘリン
しおりを挟むアルフレッドは執事服ではなく、鎧に身を包んでいた。
いつでも戦場へ赴くという心構えはヘリンだけではない。
当然の事ながらその部下も王に倣い、武装し、すぐに出撃する覚悟なのだ。
「ヘリン様、北の森にモーヴェが出現し、暴れていると民から報告がありました」
「分かった。急ぎ出陣の準備をしよう」
アルフレッドが何を伝えに来たかをすでに理解し、ヘリンは座っていたベッドから立ち上がった。
元より、出撃するかもしれないと気構えていたのだから、何も気にすることなくヘリンはすぐに剣を持ち、準備を終えた。
だが、ヘリンの行動にアルフレッドは眉根を寄せた。
「ヘリン様。もう少しお休みになられてもよろしいのではないでしょうか。イベリス様ともお顔を合わせておられないではないですか」
それは部下として、王を気遣う言葉だった。
戦いに明け暮れ、休息する暇もない。
そんな王に少しでも休息をと、アルフレッドはそう進言した。
モーヴェの動きが活発になってからというもの、ヘリンは娘のイベリスに会っていない。
「イベリスにはすまないと思っている。だが、民の安全を得ることも大事なことなのだ。イベリスなら分かってくれる」
苦い顔をしながらヘリンはそう言った。
イベリスは幼い頃に母を亡くし、ましてや慕っていた祖父を亡くしているのだ。
唯一の家族である自分が相手をしてあげられないという事に負い目を感じてしまう。
本当なら、会って抱きしめてあげたい。
そう願うのが父として当たり前の事なのだ。
だが、ヘリンはそれを抑えてまで王としての務めを果たそうと思っているのだ。
安心して暮らせる平和な国を求めるが故、己に課した責務だった。
「せめて、一目でも会って行かれてください。イベリス様にとって家族はヘリン様しかおられないのですから」
そんなヘリンの事を理解しているのか、アルフレッドは引き下がらなかった。
どうしても、ヘリンに休息と家族の時間を過ごして欲しかった。
モーヴェ討伐などいつ命を落とすかもしれない危険なことなのに、このまま二度と会えなくなってしまうという事はあまりにも酷だ。
「そうだな。イベリスには寂しい思いばかりさせている。父様が亡くなってから、それがさらに多くなった気がするよ」
アルフレッドが気を使っていることが分かり、ヘリンは折れるよりなかった。
それよりも、こうも心配されるほど戦いに明け暮れていたかと思うと、自分が嫌になった。
休息も戦う上で重要なことだと思い直した。
それに、娘に一目会うことくらい、罪にはなるまい。
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