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[Revenant/Fantome]
[01]第六話 白い鎧
しおりを挟む「では、そちらの方も是非、ボードウィン城へ。御もてなしいたします」
アルフレッドはそう言うと、イベリスとクローダスの乗る馬の前に出ると、兵士と共にボードウィン城へと歩いて行った。
クローダスはその背を見つめたまま、馬に前に出るようにと合図を送らないでいた。
「綺麗だな」
クローダスはポツリとそう漏らした。
「え?アルフレッドさんが、ですか?」
その呟きを聞いたイベリスが驚いたようにクローダスを見た。
アルフレッドはヘリンが子供の頃から仕えている執事だ。
それ相応の歳をくっているのに綺麗という言葉はおかしいような気がした。
「いや、鎧が真っ白で綺麗だと言ったのだ。」
クローダスはそう返すと、馬を進めた。
真っ白い鎧と言われイベリスはアルフレッドを見る。
確かに真っ白で綺麗な鎧だ。
「どこかで新調したのかしら?」
クローダスに言われて気になってしまった。
あの戦いから戻ってきたなら普通はボロボロなのに。
イベリスですら服が泥だらけだというのに。
「だと、いいがな」
クローダスはそっと剣を掴むと、そのままボードウィン城へと入っていった。
ボードウィン城へ入ると、城の中は歓喜の声であふれた。
イベリスは馬から降ろされると、足の怪我を急いで医師が処置してくれた。
イベリスが戻ったことも、アルフレッドが戻ったことも喜ばしいことで、城が歓喜に包まれた。
そして、白い化け物をクローダスが倒したという事を聞き、さらに騒がしくなった。
歓喜の城内をクローダスだけが顔をしかめ、不機嫌そうだった。
アルフレッドに案内されるがままクローダスは城内へ入り、王の間に通された。
王の間にはヘリンが待っていた。
椅子に座っているが、体の傷がまだひどく、座っているのも辛そうだった。
「ただ今戻りました。ヘリン様」
アルフレッドが膝を付き、騎士礼を取る。
「アル、無事でよかった」
アルフレッドの帰還を喜び、ヘリンは顔を綻ばせた。
「ヘリン様こそ。しかし、酷いお怪我を…。」
涙を流し、アルフレッドはその場に崩れ落ちた。
本当にヘリンの無事を心から願っていた。
そんな様子がありありと伝わってくる。
無事でよかったとヘリンは安堵する。
そして、ヘリンはイベリスに目を向ける。
その瞳が少しだけ怒気を含んでいることにイベリスは気づく。
分かっている。
これからヘリンが何というか。
「イベリス。なんて無茶をしてくれたのだ。結果的に助かったようなものだからいいようなものを、何かあったら私は生きていけない」
そう言いきると、ヘリンは悲痛な顔をした。
一人娘のイベリス。
ヘリンの家族はイベリスしかいないのだ。
親よりも先に居なくなる。
そんなことは考えたくない。
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