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[Revenant/Fantome]
[05]第六話 白い鎧
しおりを挟む「ぐっ……」
クローダスは耳を押さえた。
突然戻った音に耳が耐えられなかった。
「いったい何があったのかしら?」
イベリスが窓の外を覗いてみると、火の手が上がっているのが見える。
「クローダスさん、あれ」
耳を押さえながらクローダスはイベリスに促されるまま窓の外を見る。
「やはり、ファントムだ」
叫び声、悲鳴、何十にも重なる音の中クローダスは答えを聞いた。
ただ一つ、違う叫び声。
そして、クローダスは剣を握る。
アルフレッド。
アルフレッド。
ヘリンの声が聞こえるのだ。
「さっき会ったアルフレッドという男に憑依していたんだろう。つまり。俺が倒す前にあのファントムは半分倒されていたのだ」
クローダスは眉間にしわを寄せた。
気づくべきだった。
シルビアが迎えに来なかったことに。
そして、自分の記憶が不完全に戻っていることに。
「そんな、じゃあ」
イベリスは口元を押さえた。
アルフレッドを殺さなければ、この状況を改善できない。
そして、アルフレッドを他の人間が倒せばファントムの憑依は連鎖する。
「俺の業はきっと根深いのだろうな。真実の俺を取り戻した時、俺は今の俺でいられるかわからん。こんな残酷な結末を生み出し続けているのだから、お前らが言う様なクローダス王と同じように残酷だったのかもしれん」
クローダスはイベリスにそう告げると、火の手の上がっている場所まで走り出した。
渡り廊下を抜け、兵士が倒れている場所へ出る。
誰もが剣で斬られているような傷を負っている。
間に合えばいい。
本当に最悪な結末にならないためにも。
クローダスがそこに着くと、ヘリンが倒れていた。
瓦礫を避けながら、クローダスはヘリンに駆け寄った。
呼吸を確かめる。
かろうじて生きている。
抵抗した様子はない。
傷つけられた様子はない。
ファントムと化したアルフレッドは残った意志でヘリンを傷つけまいとこの場所を去ったと考えられた。
安堵する。
だが、次の瞬間クローダスに無数の攻撃が降り注いだ。
避けようと考えたが、ヘリンがそこにいる。
クローダスは避けなった。
背中に激痛が走る。
「ぐっ……」
いつもならだれが死のうが誰が巻き込まれようが気にしないのに、一体どうした心境の変化なのだろうかとクローダス自身疑うしかなかった。
音で気づいていたはずなのに、なぜ無視したのか。
違う。
音が消えていた。
正確には音を感じていなかった。
あの図書室と同じような不思議な空間と化している。
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