大公令嬢は戦争回避(トゥルーエンド)を望んでる

茶月鷹梨

文字の大きさ
8 / 19
大公令嬢は状況を知る

ときめいてしまった

しおりを挟む



デビュタントとは、この世界において16歳の子女のお披露目会を意味する。
中でも魔力を持った者は貴賎関係なく、次代を担うものとして社交界に参加しなければならない。そのためのお披露目会こそが、ラヴェール学園入学夜会セレモニーだ。




デビュタント当日、私の部屋は上を下への大騒ぎとなっていた。
理由はあのバカ皇太子のせいである。
「まさか、ほんとに当日になってドレス一式送り付けてくるなんて……一体いくらしたのよコレ……」


それは、昨日のこと。
不本意はいえ運命共同体とやらになった私に、ユージーンはこう言ってきたのだ。
『明日、ドレス贈るから。用意してたんだろうがデビュタントはそっちを着てくれ』
それも作戦のひとつらしく、了承して届いたのがこれ。
上等なシルクを使った深い青の生地に、黄金色の刺繍が施してある。靴や装飾品も同様に深い青をメインに、黄金色が添えられたデザインだ。そして極めつけは、
「タンザナイトのピアス……」
この一式全てが、ユージーンの色と、私の色で揃えられていた。

この一式を見た、デビュタントの支度のため手伝いに来てくれたローズアリア本邸の侍女長は感涙だった。
「冷酷で誰にも心を向けないと噂のユージーン殿下に、お嬢様はこんなにも愛されていらっしゃるのですね……!」
いや、これは戦争回避の為にやっているだけであってそこに愛はないです。勘違いです。
……なんて、お嬢様が幸せな結婚になりそうで良かった! この衣装に負けないくらいお嬢様を素敵にしなくては殿下に申し訳がない! とむせび泣き燃え上がる侍女長たちに言えるわけがなかった。


ようやく侍女たちが満足のいく髪型に仕上がり、装飾を全て身に付け終わった時、扉を叩く音がした。
「お嬢様、殿下がお迎えにいらしております」
「ええ、今行くわ」
「私とシューティーもお傍におりますゆえ、ご安心を」
「ありがとう、チェリー」

扉を開けると、皇家の衣装に身を包んだユージーンが立っていた。タイピンに飾られた宝石に目を見開く。
「……ソレ……」
黄色味の強いインペリアルトパーズ。私の瞳と同じ色だ。
「似合うだろ」
そう言って笑った笑顔に、一瞬キュンと胸が高鳴……

いや、ない。
ないない。
ないないない。

こいつに恋するのは前世で懲り懲りだ。
だって私には……
私、には。

「あれ?」
「どうした?」
「……ううん、なんでもない」

頭の中に違和感を感じたが、今は後回しだ。

「準備は?」
「私を誰だと思ってるの?」
完璧令嬢と名高い、アンジェリナ・ローズアリアよ。
「なら、行くぞ。こっからがゲームスタートだ」

戦争回避の戦いが始まる。



しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

リトライさせていただきます!〜死に戻り令嬢はイケメン神様とタッグを組んで人生をやり直す事にした。今度こそ幸せになります!!〜

ゆずき
恋愛
公爵家の御令嬢クレハは、18歳の誕生日に何者かに殺害されてしまう。そんなクレハを救ったのは、神を自称する青年(長身イケメン)だった。 イケメン神様の力で10年前の世界に戻されてしまったクレハ。そこから運命の軌道修正を図る。犯人を返り討ちにできるくらい、強くなればいいじゃないか!! そう思ったクレハは、神様からは魔法を、クレハに一目惚れした王太子からは武術の手ほどきを受ける。クレハの強化トレーニングが始まった。 8歳の子供の姿に戻ってしまった少女と、お人好しな神様。そんな2人が主人公の異世界恋愛ファンタジー小説です。 ※メインではありませんが、ストーリーにBL的要素が含まれます。少しでもそのような描写が苦手な方はご注意下さい。

前世で追放された王女は、腹黒幼馴染王子から逃げられない

ria_alphapolis
恋愛
前世、王宮を追放された王女エリシアは、 幼馴染である王太子ルシアンに見捨てられた―― そう思ったまま、静かに命を落とした。 そして目を覚ますと、なぜか追放される前の日。 人生、まさかの二周目である。 「今度こそ関わらない。目立たず、静かに生きる」 そう決意したはずなのに、前世では冷酷無比だった幼馴染王子の様子がおかしい。 距離、近い。 護衛、多い。 視線、重い。 挙げ句の果てに告げられたのは、彼との政略結婚。 しかもそれが――彼自身の手で仕組まれたものだと知ってしまう。 どうやらこの幼馴染王子、 前世で何かを盛大に後悔したらしく、 二度目の人生では王女を逃がす気が一切ない。 「愛されていなかった」と思い込む王女と、 「二度と手放さない」と決めた腹黒王子の、 少し物騒で、わりと甘い執着政略結婚ラブストーリー。

一体何のことですか?【意外なオチシリーズ第1弾】

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【あの……身に覚えが無いのですけど】 私は由緒正しい伯爵家の娘で、学園内ではクールビューティーと呼ばれている。基本的に群れるのは嫌いで、1人の時間をこよなく愛している。ある日、私は見慣れない女子生徒に「彼に手を出さないで!」と言いがかりをつけられる。その話、全く身に覚えが無いのですけど……? *短編です。あっさり終わります *他サイトでも投稿中

偽りの婚約者だった公爵令嬢、婚約破棄されてから本物の溺愛をされるまで

nacat
恋愛
平民出身ながら伯爵家に養子に入ったリリアーナは、王太子の婚約者“代役”として選ばれた。 王家の都合で結ばれたその関係に、彼女は決して本気にならないはずだった。 だが、王太子が本命の公爵令嬢を選んで婚約破棄を告げた瞬間、リリアーナは静かに微笑んだ――。 「お幸せに。でも、“代役”の私を侮ったこと、きっと後悔させてあげますわ」 婚約破棄後、彼女は外交の任務で隣国へ。 そこで出会った冷徹な将軍との出会いが、すべてを変えていく。 “ざまぁ”と“溺愛”がスパイラルのように絡み合う、痛快で甘くて尊い恋愛劇。 ///////

ワンチャンあるかな、って転生先で推しにアタックしてるのがこちらの令嬢です

山口三
恋愛
恋愛ゲームの世界に転生した主人公。中世異世界のアカデミーを中心に繰り広げられるゲームだが、大好きな推しを目の前にして、ついつい欲が出てしまう。「私が転生したキャラは主人公じゃなくて、たたのモブ悪役。どうせ攻略対象の相手にはフラれて婚約破棄されるんだから・・・」 ひょんな事からクラスメイトのアロイスと協力して、主人公は推し様と、アロイスはゲームの主人公である聖女様との相思相愛を目指すが・・・。

モブなのに、転生した乙女ゲームの攻略対象に追いかけられてしまったので全力で拒否します

みゅー
恋愛
乙女ゲームに、転生してしまった瑛子は自分の前世を思い出し、前世で培った処世術をフル活用しながら過ごしているうちに何故か、全く興味のない攻略対象に好かれてしまい、全力で逃げようとするが…… 余談ですが、小説家になろうの方で題名が既に国語力無さすぎて読むきにもなれない、教師相手だと淫行と言う意見あり。 皆さんも、作者の国語力のなさや教師と生徒カップル無理な人はプラウザバック宜しくです。 作者に国語力ないのは周知の事実ですので、指摘なくても大丈夫です✨ あと『追われてしまった』と言う言葉がおかしいとの指摘も既にいただいております。 やらかしちゃったと言うニュアンスで使用していますので、ご了承下さいませ。 この説明書いていて、海外の商品は訴えられるから、説明書が長くなるって話を思いだしました。

婚約者を奪い返そうとしたらいきなり溺愛されました

宵闇 月
恋愛
異世界に転生したらスマホゲームの悪役令嬢でした。 しかも前世の推し且つ今世の婚約者は既にヒロインに攻略された後でした。 断罪まであと一年と少し。 だったら断罪回避より今から全力で奪い返してみせますわ。 と意気込んだはいいけど あれ? 婚約者様の様子がおかしいのだけど… ※ 4/26 内容とタイトルが合ってないない気がするのでタイトル変更しました。

マチ恋 ―君に捧げるLove song― 一夜の相手はスーパースター。誰にも言えない秘密の恋。【完結】

remo
恋愛
あなたにとっては遊びでも、私にとっては、…奇跡の夜だった。 地味で平凡で取り柄のない私に起きた一夜のキセキ。 水村ゆい、23歳、シングルマザー。 誰にも言えないけど、愛息子の父親は、 今人気絶頂バンドのボーカルなんです。 初めての恋。奇跡の恋。離れ離れの恋。不倫の恋。一途な恋。最後の恋。 待っている… 人生で、一度だけの恋。 【完結】ありがとうございました‼︎

処理中です...