21 / 37
川西美和子の場合
川西美和子、自宅に異世界人が来ます
しおりを挟む
昨日は疲れ切って眠ってしまった。
今日は平日で仕事があるのになかなか起きられず、暫くベッドの上でゴロゴロする。
昨日充電し忘れた携帯をチェックした。まだ80%はあるから大丈夫だ。
次に『キューピッドくん3号』を手に取った。
画面の電源を付けるとバッテリーが20%を切っていた。
相変わらず、どこに電力使っているのかわからないぐらいに『キューピッドくん3号』は、バッテリーの減りが早い。
これはどうにかして欲しいポイントだ。
10分ぐらいしてから、のろのろとベッドから這い出して出勤準備を始める。
作業をしながら、私はぼんやりと昨日のことを思い浮かべていた。
昨日は朝から晩まで本当に目まぐるしい1日だった。
朝方は、アキラのことでやたちゃん先輩に泣きつき、生涯未婚になりかけ、そうこうしていたらケイが助けに来てくれて……。
ケイに正直に不安を告げて前に進むことを決めた結果、彼は私を好きだと言って不安を解消できるように頑張ると言ってくれた。
そして会う機会が少ないからと、毎日夜に1時間会うことになったわけだが、展開が早すぎて心の整理が追い付かない。
思わず一人呟く。
「あぁ~。何故こんなことに……」
今も当然ながら、アキラの事を考えると、胸の奥がずきずき痛む。
そんな簡単に忘れられるなら苦労しない。
アキラに聞きたい事、言いたい事は色々ある。
しかし世界の違う私達は連絡の手段がなくなれば、もう二度と会うことは出来ない。
ケイも言っていたが、偶然街ですれ違うことなんて絶対ないのだ。
アキラがリーナさんと幸せになることを望んだのなら、私はもう何も出来ないし、するつもりもない。
元カレみたいに人の心は変わるものだから受け入れる。
むしろもともとアキラの心は、ずっとリーナさんのところにあったのかもしれないし。
出会ったころから何となく考えていた不安が現実になった、ただそれだけだ。
欲を言うなら、メッセージで一言だけではなく、説明してほしかった。
「……ほんと、私、ダメだな」
結局は応援すべきという理性や見栄に心が追い付かないでいる。
『あえ~る』のメッセージ画面にでてくるアカウントは、もう一つだけだ。
その画面に切なくなるが、過ぎたことはもう戻らない。
とりあえず忘れられなくても、今手元にあるものを見る。昨日そう決めた。
だがしかし、肝心のケイからの連絡はない。
連絡の頻度は落ちたままのようだ。
暫くは忙しいと昨日言っていたし、いろいろ大変なんだろうな。
仕事はいつも通りに出勤して、いつも通りにこなしていく。
パソコンに向かって献立を立てながら、今度はケイの事が度々頭をよぎった。
おかげで上司の貧乏ゆすりが気にならなくなって助かる。
ケイ自身がプライベートをあえて話さなかったのは何故なんだろう。
今日は何を話してくれるのか?
そこには、あのメッセージの違和感の秘密も含まれているのだろうか?
そもそも、昨日のあの流れで告白された事が衝撃だった。
例えもともと気持ちが透けて見えていても、言葉にするのとそうでないのは大違いだ。
ケイは本当にマイペースすぎる。
そして、昨日のケイを見て、ちょっとケイの性格を見誤っていたかもしれないと思った。
想像以上にぐいぐい来るタイプだったようだ。
まぁなんにせよ、帰ったら少しでもリビングを片付けよう。
帰宅すると約束の時間まで後2時間程あったので、ご飯を済ませ、少しでも部屋を片付ける。
リビングに放置していた雑誌を寝室に持って行く時に、寝室の本棚に飾ったぬいぐるみが見えた。
動物園に行った時にケイにもらったものだ。せっかくなのでリビングに連れて行こう。
ソファ前のローテーブルにぬいぐるみを飾った。
暫く片付けに没頭していると、ピンポーン! とチャイムがなった。ついに来たか。
出迎えると、そこには紬さんと渉さん、ケイ、セントさん、白衣の人、仲人さん。
もう少し人数減らして来て欲しかったな。家、狭いんですけど。
「美和子さん! お仕事、お疲れ様です。ケイさんお届けに上がりました~!」
紬さんがお茶目にウインクしながらケイを差し出す。
「あ、ありがとうございます?」
「紬。近所迷惑になるから少し黙ってて。美和子さん大人数ですみません。今回だけですので、別室で待たせてもらっていいですか? 明日以降は2人で会っていただいていいので」
「いいですよ。狭いですけど、どうぞ」
「ありがとうございます」
別室と言われたが、家には寝室とリビングしかない。結局全員リビングに入ってもらった。
夜なのでカフェインレスのコーヒーを出す。
ソファーにケイと一緒に座り、他の皆さんはリビングテーブルの椅子に掛けてもらった。
「昨日ぶりだね。ミワコ、今日の仕事はどうだった?」
「うーん。職場はいい空気ではないけど、何ともなかったよ。昨日色々ありすぎて、なかなか集中できなかったかも」
「そっか。悲しいことはなかったんだね。良かった。ふふ、仕事中も僕の事考えてくれたの?」
2人掛けのソファーに隣り合って座っているので、ただでさえ近いのに、ケイは顔を近づけてスッと私の手を握る。
「「「ぶっ」」」
ギャラリーの男性陣が噴出した音が聞こえた。
テーブルを見ると紬さんはキラキラした目でこちらをガン見しているし、渉さんは完全に空気を読んでいるのか視線を泳がせながらコーヒーを啜っている。
ケイの仲人さんはクールに茶菓子をつまんでいて、セントさんは般若みたいな顔をしているし、家にまで白衣で来た人はニヤニヤといやらしい笑みを浮かべている。
「ケイくん」
「なあに? 敬称付けるのヤダ……」
「う、ケイ、分かったからもうちょっと離れて。近すぎるよ?」
「…………分かった」
ケイは物凄く、渋々といった顔で体を離してくれた。
「私の話はいつでもできるでしょ。今日はケイの話をしたいな。聞かせてくれる?」
「うん。言えることなら。何が聞きたい?」
いざそう聞かれると、何から聞いていいのか分からなくなる。
しばらく考えていると、ふととても気になる事を思い至った。
「とりあえず、あの白衣の人、誰?」
今日は平日で仕事があるのになかなか起きられず、暫くベッドの上でゴロゴロする。
昨日充電し忘れた携帯をチェックした。まだ80%はあるから大丈夫だ。
次に『キューピッドくん3号』を手に取った。
画面の電源を付けるとバッテリーが20%を切っていた。
相変わらず、どこに電力使っているのかわからないぐらいに『キューピッドくん3号』は、バッテリーの減りが早い。
これはどうにかして欲しいポイントだ。
10分ぐらいしてから、のろのろとベッドから這い出して出勤準備を始める。
作業をしながら、私はぼんやりと昨日のことを思い浮かべていた。
昨日は朝から晩まで本当に目まぐるしい1日だった。
朝方は、アキラのことでやたちゃん先輩に泣きつき、生涯未婚になりかけ、そうこうしていたらケイが助けに来てくれて……。
ケイに正直に不安を告げて前に進むことを決めた結果、彼は私を好きだと言って不安を解消できるように頑張ると言ってくれた。
そして会う機会が少ないからと、毎日夜に1時間会うことになったわけだが、展開が早すぎて心の整理が追い付かない。
思わず一人呟く。
「あぁ~。何故こんなことに……」
今も当然ながら、アキラの事を考えると、胸の奥がずきずき痛む。
そんな簡単に忘れられるなら苦労しない。
アキラに聞きたい事、言いたい事は色々ある。
しかし世界の違う私達は連絡の手段がなくなれば、もう二度と会うことは出来ない。
ケイも言っていたが、偶然街ですれ違うことなんて絶対ないのだ。
アキラがリーナさんと幸せになることを望んだのなら、私はもう何も出来ないし、するつもりもない。
元カレみたいに人の心は変わるものだから受け入れる。
むしろもともとアキラの心は、ずっとリーナさんのところにあったのかもしれないし。
出会ったころから何となく考えていた不安が現実になった、ただそれだけだ。
欲を言うなら、メッセージで一言だけではなく、説明してほしかった。
「……ほんと、私、ダメだな」
結局は応援すべきという理性や見栄に心が追い付かないでいる。
『あえ~る』のメッセージ画面にでてくるアカウントは、もう一つだけだ。
その画面に切なくなるが、過ぎたことはもう戻らない。
とりあえず忘れられなくても、今手元にあるものを見る。昨日そう決めた。
だがしかし、肝心のケイからの連絡はない。
連絡の頻度は落ちたままのようだ。
暫くは忙しいと昨日言っていたし、いろいろ大変なんだろうな。
仕事はいつも通りに出勤して、いつも通りにこなしていく。
パソコンに向かって献立を立てながら、今度はケイの事が度々頭をよぎった。
おかげで上司の貧乏ゆすりが気にならなくなって助かる。
ケイ自身がプライベートをあえて話さなかったのは何故なんだろう。
今日は何を話してくれるのか?
そこには、あのメッセージの違和感の秘密も含まれているのだろうか?
そもそも、昨日のあの流れで告白された事が衝撃だった。
例えもともと気持ちが透けて見えていても、言葉にするのとそうでないのは大違いだ。
ケイは本当にマイペースすぎる。
そして、昨日のケイを見て、ちょっとケイの性格を見誤っていたかもしれないと思った。
想像以上にぐいぐい来るタイプだったようだ。
まぁなんにせよ、帰ったら少しでもリビングを片付けよう。
帰宅すると約束の時間まで後2時間程あったので、ご飯を済ませ、少しでも部屋を片付ける。
リビングに放置していた雑誌を寝室に持って行く時に、寝室の本棚に飾ったぬいぐるみが見えた。
動物園に行った時にケイにもらったものだ。せっかくなのでリビングに連れて行こう。
ソファ前のローテーブルにぬいぐるみを飾った。
暫く片付けに没頭していると、ピンポーン! とチャイムがなった。ついに来たか。
出迎えると、そこには紬さんと渉さん、ケイ、セントさん、白衣の人、仲人さん。
もう少し人数減らして来て欲しかったな。家、狭いんですけど。
「美和子さん! お仕事、お疲れ様です。ケイさんお届けに上がりました~!」
紬さんがお茶目にウインクしながらケイを差し出す。
「あ、ありがとうございます?」
「紬。近所迷惑になるから少し黙ってて。美和子さん大人数ですみません。今回だけですので、別室で待たせてもらっていいですか? 明日以降は2人で会っていただいていいので」
「いいですよ。狭いですけど、どうぞ」
「ありがとうございます」
別室と言われたが、家には寝室とリビングしかない。結局全員リビングに入ってもらった。
夜なのでカフェインレスのコーヒーを出す。
ソファーにケイと一緒に座り、他の皆さんはリビングテーブルの椅子に掛けてもらった。
「昨日ぶりだね。ミワコ、今日の仕事はどうだった?」
「うーん。職場はいい空気ではないけど、何ともなかったよ。昨日色々ありすぎて、なかなか集中できなかったかも」
「そっか。悲しいことはなかったんだね。良かった。ふふ、仕事中も僕の事考えてくれたの?」
2人掛けのソファーに隣り合って座っているので、ただでさえ近いのに、ケイは顔を近づけてスッと私の手を握る。
「「「ぶっ」」」
ギャラリーの男性陣が噴出した音が聞こえた。
テーブルを見ると紬さんはキラキラした目でこちらをガン見しているし、渉さんは完全に空気を読んでいるのか視線を泳がせながらコーヒーを啜っている。
ケイの仲人さんはクールに茶菓子をつまんでいて、セントさんは般若みたいな顔をしているし、家にまで白衣で来た人はニヤニヤといやらしい笑みを浮かべている。
「ケイくん」
「なあに? 敬称付けるのヤダ……」
「う、ケイ、分かったからもうちょっと離れて。近すぎるよ?」
「…………分かった」
ケイは物凄く、渋々といった顔で体を離してくれた。
「私の話はいつでもできるでしょ。今日はケイの話をしたいな。聞かせてくれる?」
「うん。言えることなら。何が聞きたい?」
いざそう聞かれると、何から聞いていいのか分からなくなる。
しばらく考えていると、ふととても気になる事を思い至った。
「とりあえず、あの白衣の人、誰?」
0
あなたにおすすめの小説
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜
百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。
「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」
ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!?
ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……?
サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います!
※他サイト様にも掲載
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない
朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。
行き遅れ令嬢の再婚相手は、ダンディな騎士団長 ~息子イケメンの禁断の守護愛~
柴田はつみ
恋愛
貧乏貴族の行き遅れ令嬢リアナは、28歳で社交を苦手とする大人しい性格ゆえに、結婚を諦めかけていた。
そんな彼女に王宮から政略結婚の命令が下る。再婚相手は、妻を亡くしたダンディな騎士団長ギルバート。
クールで頼れる40代のイケメンだが、リアナは「便利な道具として選ばれただけ」と誤解し、切ない想いを抱く。
さらに、ギルバートの息子で爽やかイケメンのエリオット(21歳)が義理の息子となる。
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
異世界に喚ばれた私は二人の騎士から逃げられない
紅子
恋愛
異世界に召喚された・・・・。そんな馬鹿げた話が自分に起こるとは思わなかった。不可抗力。女性の極めて少ないこの世界で、誰から見ても外見中身とも極上な騎士二人に捕まった私は山も谷もない甘々生活にどっぷりと浸かっている。私を押し退けて自分から飛び込んできたお花畑ちゃんも素敵な人に出会えるといいね・・・・。
完結済み。全19話。
毎日00:00に更新します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる