異世界対応型婚活システムーあえ~るー 川西美和子の場合

七戸 光

文字の大きさ
24 / 37
川西美和子の場合

川西美和子、異世界人に日本語を教えます

しおりを挟む
 早速今日から、ケイに日本語を教えることにした。
 仕事帰りに本屋に寄って、ひらがなとカタカナのあいうえお表と小学校低学年向けの国語の本を買ってみたが、これで大丈夫かな?
 果たしてうまく教えてあげられるだろうか?
 ケイが来て、いつものソファではなく、ダイニングテーブルに向かい合って座った。
 さっき買ってきたばかりの、子供に人気のファンシーな絵が描かれたあいうえお表と白紙、ボールペンを取り出す。
 2人とも昨日と同じデコ見せヘアで気合十分だ。

「それでは、今から日本語の勉強をします」

「うん、よろしくお願いします」

「まずは日本語の文字の種類について。エレクタラ語は書くとき文字の種類は1種類なのかな?」

「文字の種類? 多分、1種類だと思うよ」

「言い方が下手でごめんね。日本語はね、ひらがな、カタカナ、漢字の3種類の文字の形式を使い分けて文を書くの。読み方は同じでも書き方がいろんなパターンに分かれているんだよ。漢字は難しいから置いておいて、ひらがなとカタカナが出来るようになろうか。これがひらがなとカタカナが全部載ってる表だよ」

 色違いのあいうえお表をケイに見せる。

「青がひらがな、赤がカタカナだよ」

「……同じ数だけあるんだね」

「結局は同じものだからね。一文字ずつに意味はなくて組み合わせて言葉を作るんだけど、このカタカナとひらがなは結局同じもので形が違うだけなの。カタカナは外国の言葉を日本語として使うときに使ったりすることが多いっていう使い分けがされているんだよ」

 言葉で説明しながら、これでいいのか凄く不安になってきた。

「……うん、ここまでは分かった」

「じゃあ、この表の読み方を教えていくね。……あ、ちょっと待って。今って私たちの会話はネックレスの機能で勝手に翻訳されてるんだよね? 私が日本語で読んでも、ケイにはエレクタラ語で伝わるから、もしかして意味ない?」

「……ネックレス、外せば聞こえるよ?」

「…………あ、そうでした。でもそうすると、お互いに言葉が分からなくて、何も伝わらなくなるよね?」

「そんな時のために『キューピッドくん』は、音声を自動で文字起こしして翻訳する機能があるんだ」

「あー。最初の説明で渉さんがそんな事言ってた気がする。『キューピッドくん』有能! そんなものが作れるなんて、ケイ凄いね!」

「僕だけが作ったわけじゃないよ。セントとか他にも同じように担当した人はいるから」

「それでもケイが関わっていることは変わりないでしょ? だからケイは凄い」

「ふふ、ありがと」

 その日は結局、1時間まるまる勉強に費やしてしまって、世間話が出来ずに終わったので、今度から大体30分ずつに区切ってすることに決めた。
 世間話は大体、仕事の話とか、お茶請けが美味しいとか、ケイの国の街並みや仕組みについてとか。
 エレクタラは高層ビルが立ち並んでいて、住民や旅行者は端末で管理されているようだ。
 初回の国への出入りは専用のゲートがあり、ゲートを通った時に端末を渡される。電脳世界内での自分の分身、所謂アバターを設定する。
 設定したアバターが道案内から今日の天気等、役立つ様々な情報を教えてくれるようだ。

「ねえミワコ。今度エレクタラに遊びに来て欲しいんだけど、いいかな?」

「うん! エレクタラ、行ってみたい!」

「よかった。ありがとう。それでね、2、3日かけて案内したいと思ってるんだけど、泊まりで来れないかな?」

「え? 泊まるの? 寝るとことかどうしたらいいの?」

「僕の家に来たらいいよ。研究所を兼ねてるから大きいし、部屋は余ってるから。家が嫌だったら、仲人に宿泊場所を探してもらえるはずだよ」

「そうなんだ。ケイがいいなら、泊まらせてもらおうかな。見知らぬ土地に1人で泊まるのは流石に不安だから」

「うん。大丈夫だよ。近いうちに空いてる日ある?」

 そう言われてカレンダーに目をやる。
 2週間後、申請していた1週間の夏休みが始まるはずだ。
 実家に帰るぐらいしか予定を考えていなかったので、比較的自由だ。
 両親には悪いがせっかくの長期休暇。
 異世界旅行なんてめったにできないのだから、行ってみたい。

「再来週、丁度連続で休暇があるから、その時はどうかな?」

「……いいよ。楽しみにしてるね」

 一瞬、ケイの表情が曇ったような気がした。
 すぐにいつもの優しい微笑みに戻ったので気のせいだと思う。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない

くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、 軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。 言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。 ――そして初めて、夫は気づく。 自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。 一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、 「必要とされる存在」として歩き始めていた。 去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。 これは、失ってから愛に気づいた男と、 二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。 ――今さら、遅いのです。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

さようならの定型文~身勝手なあなたへ

宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」 ――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。 額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。 涙すら出なかった。 なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。 ……よりによって、元・男の人生を。 夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。 「さようなら」 だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。 慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。 別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。 だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい? 「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」 はい、あります。盛りだくさんで。 元・男、今・女。 “白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。 -----『白い結婚の行方』シリーズ ----- 『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。

行き遅れ令嬢の再婚相手は、ダンディな騎士団長 ~息子イケメンの禁断の守護愛~

柴田はつみ
恋愛
貧乏貴族の行き遅れ令嬢リアナは、28歳で社交を苦手とする大人しい性格ゆえに、結婚を諦めかけていた。 そんな彼女に王宮から政略結婚の命令が下る。再婚相手は、妻を亡くしたダンディな騎士団長ギルバート。 クールで頼れる40代のイケメンだが、リアナは「便利な道具として選ばれただけ」と誤解し、切ない想いを抱く。 さらに、ギルバートの息子で爽やかイケメンのエリオット(21歳)が義理の息子となる。

「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します

スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」 眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。 隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。 エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。 しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。 彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。 「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」 裏切りへのカウントダウンが今、始まる。 スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!

皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜

百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。 「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」 ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!? ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……? サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います! ※他サイト様にも掲載

見た目は子供、頭脳は大人。 公爵令嬢セリカ

しおしお
恋愛
四歳で婚約破棄された“天才幼女”―― 今や、彼女を妻にしたいと王子が三人。 そして隣国の国王まで参戦!? 史上最大の婿取り争奪戦が始まる。 リュミエール王国の公爵令嬢セリカ・ディオールは、幼い頃に王家から婚約破棄された。 理由はただひとつ。 > 「幼すぎて才能がない」 ――だが、それは歴史に残る大失策となる。 成長したセリカは、領地を空前の繁栄へ導いた“天才”として王国中から称賛される存在に。 灌漑改革、交易路の再建、魔物被害の根絶…… 彼女の功績は、王族すら遠く及ばないほど。 その名声を聞きつけ、王家はざわついた。 「セリカに婿を取らせる」 父であるディオール公爵がそう発表した瞬間―― なんと、三人の王子が同時に立候補。 ・冷静沈着な第一王子アコード ・誠実温和な第二王子セドリック ・策略家で負けず嫌いの第三王子シビック 王宮は“セリカ争奪戦”の様相を呈し、 王子たちは互いの足を引っ張り合う始末。 しかし、混乱は国内だけでは終わらなかった。 セリカの名声は国境を越え、 ついには隣国の―― 国王まで本人と結婚したいと求婚してくる。 「天才で可愛くて領地ごと嫁げる?  そんな逸材、逃す手はない!」 国家の威信を賭けた婿争奪戦は、ついに“国VS国”の大騒動へ。 当の本人であるセリカはというと―― 「わたし、お嫁に行くより……お昼寝のほうが好きなんですの」 王家が焦り、隣国がざわめき、世界が動く。 しかしセリカだけはマイペースにスイーツを作り、お昼寝し、領地を救い続ける。 これは―― 婚約破棄された天才令嬢が、 王国どころか国家間の争奪戦を巻き起こしながら 自由奔放に世界を変えてしまう物語。

王宮地味女官、只者じゃねぇ

宵森みなと
恋愛
地味で目立たず、ただ真面目に働く王宮の女官・エミリア。 しかし彼女の正体は――剣術・魔法・語学すべてに長けた首席卒業の才女にして、実はとんでもない美貌と魔性を秘めた、“自覚なしギャップ系”最強女官だった!? 王女付き女官に任命されたその日から、運命が少しずつ動き出す。 訛りだらけのマーレン語で王女に爆笑を起こし、夜会では仮面を外した瞬間、貴族たちを騒然とさせ―― さらには北方マーレン国から訪れた黒髪の第二王子をも、一瞬で虜にしてしまう。 「おら、案内させてもらいますけんの」 その一言が、国を揺らすとは、誰が想像しただろうか。 王女リリアは言う。「エミリアがいなければ、私は生きていけぬ」 副長カイルは焦る。「このまま、他国に連れて行かれてたまるか」 ジークは葛藤する。「自分だけを見てほしいのに、届かない」 そしてレオンハルト王子は心を決める。「妻に望むなら、彼女以外はいない」 けれど――当の本人は今日も地味眼鏡で事務作業中。 王族たちの心を翻弄するのは、無自覚最強の“訛り女官”。 訛って笑いを取り、仮面で魅了し、剣で守る―― これは、彼女の“本当の顔”が王宮を変えていく、壮麗な恋と成長の物語。 ★この物語は、「枯れ専モブ令嬢」の5年前のお話です。クラリスが活躍する前で、少し若いイザークとライナルトがちょっと出ます。

処理中です...