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第一話 出会いの瞬間(とき)
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朝の静けさ。小鳥のさえずりが聞こえている。もう、空は白みかかっている。ふと寝返りをすると、突然のスマートフォンからの通知音。ぼやけた目をこすりながら、画面をみた。そこには、懐かしい名前の文字列が並んでいた。彼は疑ったというより、一瞬、何が起きたのか理解できなかった。
「まさか、きみ…..」
それは、五年ぶりのことであった。時は何事もなく過ぎ去っていたかのようだった。ところが、この着信音でその何事もなかった時は、かき消されたかのようだった。戸惑いのなか、嬉しいのか、混乱している彼だった。思えば大学時代まで遡る。彼の心の奥に深く刻まれていた人だった「きみ」からの着信だったのだ。
その突然のメッセージは、四文字と短かった。五年前と変わっていない。
「会いたい…」
その文字列は、彼の記憶の中にあった彼女の笑顔と重なった。あのときの思い出が突如、蘇ってきてた。しかし、何故、このタイミングで彼女が連絡をとって来たのか…。分からない。
とにかく彼は、ゆっくりと返信を考えた。なんて書こうか。そして、意を決して、
「ずっと会いたかった」
そう、彼は打ち込むと送信ボタンをゆっくりと押した。よかったのだろうか。心の中では、あのときの光景がよぎっていた。あの過去の思い出がフラッシュバックのように蘇り、忘れていた感情が、再び胸の中でひとり炎上していたのであった。
「まさか、きみ…..」
それは、五年ぶりのことであった。時は何事もなく過ぎ去っていたかのようだった。ところが、この着信音でその何事もなかった時は、かき消されたかのようだった。戸惑いのなか、嬉しいのか、混乱している彼だった。思えば大学時代まで遡る。彼の心の奥に深く刻まれていた人だった「きみ」からの着信だったのだ。
その突然のメッセージは、四文字と短かった。五年前と変わっていない。
「会いたい…」
その文字列は、彼の記憶の中にあった彼女の笑顔と重なった。あのときの思い出が突如、蘇ってきてた。しかし、何故、このタイミングで彼女が連絡をとって来たのか…。分からない。
とにかく彼は、ゆっくりと返信を考えた。なんて書こうか。そして、意を決して、
「ずっと会いたかった」
そう、彼は打ち込むと送信ボタンをゆっくりと押した。よかったのだろうか。心の中では、あのときの光景がよぎっていた。あの過去の思い出がフラッシュバックのように蘇り、忘れていた感情が、再び胸の中でひとり炎上していたのであった。
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