ひまわり~好きだと、言って。~【完結】

水樹ゆう

文字の大きさ
23 / 52
第七話 【逢瀬】残酷な夢でも。

23

しおりを挟む

 この、鳩尾の底からふつふつと湧き上がる感情。この怒りを、どうしてくれようか。

 ――あんのヤロウ。
 この従姉様を、どこまでタバカれば気がすむんだっ!

 こんなことをして。裏でこそこそと画策されて。私が、喜ぶとでも思っているのか、あのバカはっ!?

 伊藤君から見えないところまで来て、バッグから携帯電話を取り出して、浩二の携帯へ電話をかける。

 でも電源が切ってあるのか、虚しいアナウンスが流れるばかり。すぐさま、浩二の家、おじさんちにコールする。

『はい、佐々木です』
「あ、おばちゃん! 浩二いるっ!?」
『あれ、亜弓ちゃん。浩二なら、今日は朝から出かけているけど?』
「どこに行ったか分かる!?」
『さあ……。友達の所へ行くとかいってたけども、詳しくは聞いてないねぇ』
「……そっか、分かった。じゃあ、またね!」

 逃げられた……。

 やっぱりこれは、何らかの思惑があっての、計画的な犯行ってこと?

 はあっと、我知らず大きなため息が漏れる。

 捕まえて、とっちめてやろうと思ったのに。一気に膨らんだ怒りのエネルギーのぶつけ先が、無くなってしまった。

 全身の力が、へなへなーと抜けていく。

 ジリジリと、焼け付くような太陽の強い日差しに照りつけられて、一瞬、クラリと、軽い目眩に襲われる。

 なんだか気持ち悪くなってきて、私はその場にしゃがみ込んでしまった。自分の膝に額を付けて、今の状況を考えてみる。

 その一。
 浩二は、私が伊藤君に片思いをしているのを知っている。

 その二。
 浩二が、伊藤君に私を誘うように頼んだ。

 そのココロは?

 確かに、私は元気がなかったかも知れない。でも、そこにでっかい拍車を掛けたのは、浩二自身だ。それなのに。落ち込ませた張本人が『ものすごく落ち込んでいるみたい』だって、伊藤くんに私の気晴らしを頼んだ?

 なに、この矛盾。
 いったい、浩二は何がしたいの?

 浩二の、目的は何?

 その行動が、導き出すだろう結果はどんなこと?

 頭の隅に、何かが引っかかった。

 待てよ。

 例えば、私と伊藤君が、まかり間違って、くっついたとする。その結果、何が残る? 

 私と伊藤君、浩二、そして残るのは――

 まさか。

 私は、一つの可能性に思い当たった。

 まさか……。
 まさかでしょ?

 いくら浩二でも、そんな短絡的なことするか?

 いくら、おちゃらけていたって、あれでも成人している二十五歳にもなる、大人なんだよ?

 今時、小学生でもそんな分かりやすいこと、しないぞ?

「佐々木?」

 う~、気持ち悪い。
 脳みそを使いすぎて、なんだか、朝の偏頭痛まで復活してきた。

 早く戻らないと、伊藤君に心配かけちゃうな。

 そう思うけど、立ち上がれない。

「佐々木、大丈夫か?」
「え?」

 ようやく、自分が呼ばれていることに気付いて膝に伏せていた顔を上げた私は、すぐ目の前に、本当、目と鼻の先に伊藤君のどアップがあって、全身ピキンと固まった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

結婚相手は、初恋相手~一途な恋の手ほどき~

馬村 はくあ
ライト文芸
「久しぶりだね、ちとせちゃん」 入社した会社の社長に 息子と結婚するように言われて 「ま、なぶくん……」 指示された家で出迎えてくれたのは ずっとずっと好きだった初恋相手だった。 ◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌ ちょっぴり照れ屋な新人保険師 鈴野 ちとせ -Chitose Suzuno- × 俺様なイケメン副社長 遊佐 学 -Manabu Yusa- ◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌ 「これからよろくね、ちとせ」 ずっと人生を諦めてたちとせにとって これは好きな人と幸せになれる 大大大チャンス到来! 「結婚したい人ができたら、いつでも離婚してあげるから」 この先には幸せな未来しかないと思っていたのに。 「感謝してるよ、ちとせのおかげで俺の将来も安泰だ」 自分の立場しか考えてなくて いつだってそこに愛はないんだと 覚悟して臨んだ結婚生活 「お前の頭にあいつがいるのが、ムカつく」 「あいつと仲良くするのはやめろ」 「違わねぇんだよ。俺のことだけ見てろよ」 好きじゃないって言うくせに いつだって、強引で、惑わせてくる。 「かわいい、ちとせ」 溺れる日はすぐそこかもしれない ◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌ 俺様なイケメン副社長と そんな彼がずっとすきなウブな女の子 愛が本物になる日は……

冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない

彩空百々花
恋愛
誰もが恐れ、羨み、その瞳に映ることだけを渇望するほどに高貴で気高い、今世紀最強の見目麗しき完璧な神様。 酔いしれるほどに麗しく美しい女たちの愛に溺れ続けていた神様は、ある日突然。 「今日からこの女がおれの最愛のひと、ね」 そんなことを、言い出した。

嘘をつく唇に優しいキスを

松本ユミ
恋愛
いつだって私は本音を隠して嘘をつくーーー。 桜井麻里奈は優しい同期の新庄湊に恋をした。 だけど、湊には学生時代から付き合っている彼女がいることを知りショックを受ける。 麻里奈はこの恋心が叶わないなら自分の気持ちに嘘をつくからせめて同期として隣で笑い合うことだけは許してほしいと密かに思っていた。 そんなある日、湊が『結婚する』という話を聞いてしまい……。

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

Bravissima!

葉月 まい
恋愛
トラウマに悩む天才ピアニストと 俺様キャラの御曹司 かつ若きコンサートマスター 過去を乗り越え 互いに寄り添い いつしか最高のパートナーとなる 『Bravissima!俺の女神』 ゚・*:.。♡。.:*・゜゚・*:.。♡。.:*・゜ 過去のトラウマから舞台に立つのが怖い芽衣は如月フィルのコンマス、聖の伴奏ピアニストを務めることに。 互いの音に寄り添い、支え合い、いつしか芽衣は過去を乗り超えていく。 ✧♫•・*¨*•.♡。.:登場人物:.。♡.•*¨*・•♫✧ 木村 芽衣(22歳) …音大ピアノ科4年生 如月 聖(27歳) …ヴァイオリニスト・如月フィルコンサートマスター 高瀬 公平(27歳) …如月フィル事務局長

訳あり冷徹社長はただの優男でした

あさの紅茶
恋愛
独身喪女の私に、突然お姉ちゃんが子供(2歳)を押し付けてきた いや、待て 育児放棄にも程があるでしょう 音信不通の姉 泣き出す子供 父親は誰だよ 怒り心頭の中、なしくずし的に子育てをすることになった私、橋本美咲(23歳) これはもう、人生詰んだと思った ********** この作品は他のサイトにも掲載しています

片想い婚〜今日、姉の婚約者と結婚します〜

橘しづき
恋愛
 姉には幼い頃から婚約者がいた。両家が決めた相手だった。お互いの家の繁栄のための結婚だという。    私はその彼に、幼い頃からずっと恋心を抱いていた。叶わぬ恋に辟易し、秘めた想いは誰に言わず、二人の結婚式にのぞんだ。    だが当日、姉は結婚式に来なかった。  パニックに陥る両親たち、悲しげな愛しい人。そこで自分の口から声が出た。 「私が……蒼一さんと結婚します」    姉の身代わりに結婚した咲良。好きな人と夫婦になれるも、心も体も通じ合えない片想い。

☘ 注意する都度何もない考え過ぎだと言い張る夫、なのに結局薬局疚しさ満杯だったじゃんか~ Bakayarou-

設楽理沙
ライト文芸
☘ 2025.12.18 文字数 70,089 累計ポイント 677,945 pt 夫が同じ社内の女性と度々仕事絡みで一緒に外回りや 出張に行くようになって……あまりいい気はしないから やめてほしいってお願いしたのに、何度も……。❀ 気にし過ぎだと一笑に伏された。 それなのに蓋を開けてみれば、何のことはない 言わんこっちゃないという結果になっていて 私は逃走したよ……。 あぁ~あたし、どうなっちゃうのかしらン? ぜんぜん明るい未来が見えないよ。。・゜・(ノε`)・゜・。    ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 初回公開日時 2019.01.25 22:29 初回完結日時 2019.08.16 21:21 再連載 2024.6.26~2024.7.31 完結 ❦イラストは有償画像になります。 2024.7 加筆修正(eb)したものを再掲載

処理中です...