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小話
*小話3*
しおりを挟む【それはそれで見てみたい】
私は洗濯物を畳むのが好きだ。
カラカラに乾いたタオルを畳むのが一番好きだ。
で・も・ね!
ぴらーん。
かちょおの、お・ぱ・ん・つ!
キヒヒヒヒヒ。
ボクサータイプで腰浅で。
あー、この中にお尻やアレが納まるのデスねっ!
納まる……
うっほう。
「……何をやってる」
カチョーのおぱんつを両手を伸ばして掲げ、くるくる回っているところを
絶対零度のごとく冷たい声がしてハッと我に返った。
「かかかかかかかかちょ……う?」
「俺の下着持って何をしてるんだ」
「あ、あは、あはははは」
じわりと冷や汗が出てきたが、手に持つパンツで拭きそうになり慌てて後手に回した。
カチョーは呆れた顔でため息をつくと、「おかしな真似はするな」と会社から持ち帰ったらしい書類の束をテーブルに置いた。
「もしまたやったら……」
「や、やったら?」
緊張からごくり、と息を飲む。何をいうんだカチョー。
「俺も、お前の下着で同じ行動をとってやる」
「……っふぁ?」
か、か、かちょー様が、私めのパンツを持ってくるくるまわ――――!?
「ごめんなさいそれだけは私の美意識に反します! ありえませんっ!」
平伏の勢いであやまり倒して許してもらう。
しかしそれから、恐ろしい想像図を頭から排除するのに相当時間がかかったのだった。
【ずっと聞いてみたかった】
「ねー、カチョー」
「なんだ?」
カタカタ、とリビングテーブルの上でキーボードを叩くカチョーへ同じくリビングテーブルの上で色々文字を書き散らしていた私が気になっていた事を尋ねる。
「男に興味はありませんか」
「ぶっ!」
ずっと前から聞いてみたかったんですよねー。
リアル男子とはあまり関わってこなかったこれまでの人生。
葵兄ぃにも聞けるわけが無いので、今後の参考にとカチョーに聞いてみたのだ。
「カチョーは、BL描いてる私の趣味を知ってるからこそ聞けるんです! リアルな男子! 理想の男子! 是非にご意見お聞かせ願いたいデッス!」
「阿・呆・かー!」
ぐぎぎぎぎぎぎ(アイアンクロー)
「い、い、い、いったたたたたたたたたー!!」
「興味も何もあるか阿呆!」
「す、少しも? これっぽっちも!?」
「くどい! 俺はノーマルだ」
「えー」
「不満そうにするな!」
ようやく攻撃を止めたカチョーは、ぺしっと私の頭をはたいた。
「俺は、基本一筋だ」
「へっ?」
「だから……まあ、そういうことだ」
と言って、再びパソコンの画面に向き合った。
「基本て?」
「基本、だ」
質問した結果、カチョーはノーマルであとはウヤムヤに終わった。
基本ってなんだ!
【モデル】
「カチョー」
「なんだ」
「ちょっと両膝を床につけてクダサイ」
「……?」
「あ、それと両手も床に」
「……」
「そのまま目線は下に――ぎゃ! み、見ちゃだめデス!」
「漫画? ………………ユリ?」
「こ、こ、こりはっ!」
「ユリ?」
「見ないでくだしゃい!」
「ユリ」
「ハイ」
「……」
「……」
「これは?」
「ぅ……も、で、る……デス」
「ほう」
「つい出来心で……!」
「ユリ。こっちへ来い」
「え」
「お仕置きをしないとな」
「え」
「早く」
「ちょ」
「は・や・く」
「……うぅぅぅぅ」
お仕置きといいつつ、膝枕をしながらテレビ見るという刑デシタ。
正座得意でよかった☆
【社内deふたり】
「ユリちゃーん。お昼いこ?」
お昼休み。社外に食べに行くグループでいつも一緒に行っていたが、実は今日……
「ゴメンナサイ! 今日はお弁当があるのです」
「あ、そうなんだ。ユリちゃん、最近よく持って来るね」
「ちょ、ちょっとは自分で作れるようになろうと思いまして……」
「ふうん。彼氏に作る為に練習してるの?」
「かれっ……!」
ガッシャン。
動揺してウッカリ手が滑って弁当の袋を机に落としてしまった。
「ユリちゃん落ちた落ちた!」
「かかかか彼氏じゃアリマセンてぇ!」
「えー? なんかユリちゃん急に可愛くなったし、絶対彼氏出来たと思ったのに」
「しょ、しょんにゃことにゃいでしゅよ!」
慌てて否定するも、じゃーねーと財布を持って出て行ってしまった。
あああ、これは……
カチョーが今日もお弁当を持っていくというので、手間は一緒だしと自分の分も作ったのだ。
しかし一緒に食べるのはアリエナーイ!
カチョーはいつも自分のデスクで食べるけど、まさか私がそこに椅子持ってきてウフフアハハなんつって愉快に食べている姿、想像出来ませんことよ!
フロアは外に行ってしまった人が多くがらんとしている。
いるのは……まだ仕事中のカチョーと、遠くの方で清水センパイと美穂センパイカポーが並んでお弁当食べてます。アレでばれないとか思ってるんだからすごいですよねー。
さてと。
私はどこで食べよっかなー。
キョロキョロと辺りを見回すが、やっぱ自分のデスクが無難でしょーか。
その時、私の目の前の電話機から内線が鳴った。
あれっ? 昼休みに内線鳴るなんて初めてなんすけど。
変だなと思いつつ受話器を耳に当てる。
「はい、滝浪です」
「ユリ」
耳に直接響く、この色っペー声の主は!
思わずパッとそちらを見るが、当の本人はあさっての方向を見ている。
「第二会議室にお茶を二つ持っていってくれ」
あ、なんだ。
てっきり私に用事かと思ったら、お客様へのお茶出しでしたか。
会社だし、そりゃそうだよなーとガックリしていたら「最後まで聞け」ってカチョーが続けた。
「あと、弁当も持って来い」
「へっ?」
なんで弁当を。
キョトンとしている間に電話は切られ、頭の中は「?」となったまま一応言われた通りにお茶を淹れ、一応自分の弁当を持って第二会議室へと入った――ら。
「ご苦労」
「かちょ……!?」
「そこ座れ」
定員十人の会議室に、なぜかカチョーが椅子に腰掛けて待っていた。
私が中に入ると立ち上がり、内側から鍵を掛ける。
「あ、あの?」
「早くしないと休み時間が終わるだろうが」
そういいながら、カチョーは私が朝作った弁当を広げる。
こ、こりは……
一緒に食べる、というステキイベント発生ですかっっ!
このチャンスを逃してはならぬ! と、私も弁当を広げる。
しかし中身は……ぐちゃぐちゃ。
そりゃそーですよ。さっき落としたんですからねっ。
それをチラリとみたカチョーは「味はいい」と慰めるかのような
一言を下さいました。
ええ、ええ!
私、その言葉だけでおかず無しでご飯食べられますとも!
おかず、オカズって書くと途端にいかがわしくなるのはなんででしょうね!
途端、にっこにっこと笑顔になってお弁当食べてたら、カチョーが可哀想な子を見る目を私に向けていました……嗚呼。
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