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高層ビル非常用外部階段から地上外部へ

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なんだよ、これ!

なんだよ!

これって、モロにホラー映画じゃん!

制作費150億円超えのスーパーリアル「ゾンビ」映画の撮影場所に、どう言う訳は私が紛れ込んでしまったの?

そう考えた方が、もしかしたら凄く!楽?のような気がしたが、あの租借音は今でも鳴り響き、そうあって欲しい!

映画撮影終了のカチンコの音!や、【はい、カ~ット!】の監督の掛け声は聞こえる訳が無かった。

これで、少しはこの異常事態の輪郭が見えてきたのだった。

私が、突如!あの不思議な卵の化け物のような装置から脱出したら、そこはまるで、昔話で言う処の【桃太郎】状態で、大きな桃ならぬ、大きな卵から私が産まれたまんまの姿で飛び出して来たのだ。

その時には、世界は人間を食べる赤鬼!

青鬼!たちのパラダイスで、人間達は風前の灯だったって訳だ。

こいつらに、食べられて堪るか?

私は、額に脂汗を滲ませながら、慎重に、しかし的確に、私の直感力カーナビを信じて、一階部分の天上部分に移動した。

ここまで、移動するまで、かなり時間がくってしまったような気がする。

胸ポケットにしまっていたスマホを取り出し、時間を見る。

17:30を回っていた。

私は、またビルの端の方に移動し、微かに明かりが見える所まで、足場の良い部分を頼りに這って移動した。

その明りは自衛隊の装甲車が止まっている所に近い所で、ビルの横には鉄の柵で覆われたビルの外に設置してある3階までの外付け非常階段だった。1階から3階まで外の非常階段が出来ていて、その階段は鉄の柵で覆われていて、外部から入り事は出なかった。そして、4階からも入れないように、鉄の柵の屋根が作られていた。

その階段の中に、私はこの換気扇を通って、まずは非常階段内に降りることは出来るって訳だ。

ある意味、この場所は、感染者からの一時的な防御にもなるし、近くに居る筈の自衛隊員に助けを求める事も出来る絶好の場所であった。

ただし、肝心なのは、1階地上口にある鉄城紋のドア!

ここも、電子ロックタイプのドアであり、電気が停電の場合は開く事が出来ない。

だが、しかし、私には、あの不思議な力がある、と思うし、また、可能ならば、ここからでも直ぐ下の鍵の部分を解除できるから、試す事が出来る。

私は早速!1階の電子ロックに意識を集中し、解除をイメージした。

私が解除をイメージした、と、思った拙な、停電している筈の電子ロックが解除される音がしたのだ。

私は歓喜でむせび泣きたくなる心境を必死に抑えて、兎に角!この狭い換気扇の扇風機部分を思いっきり外部に蹴り落とし、そこに大人一人がやっと入れる感じの穴に脚から外に這い出して、なんとか、非常階段の鉄の階段に飛び移る事が出来!ようやく地上に降りようと階段を降りはじめたらイキなり、ビルの横から勢いよく柵にぶつかる音を聞き、瞬時に見てみると、髪の長い若い男が横の鉄の柵に掴まって私を見ながら、唸り声を上げた。

眼球は血走っていて、明らかに普通の人間ではなかった。

私は咄嗟に、先程、開けたばかりの下の電子ロックを閉めた。

これで、感染者は入って来れないが、この騒ぎに近くに潜伏していた感染者達が、オリンピック選手宜しく!な感じで現れては、僕のいる柵で覆われた非常階段に集まって来てしまったので、私は恐る恐る階段を上り始め、2階近くまで登った。

「誰か?助けてください!」

私は思わず、そう叫んでしまった。

その間にも、何人かの感染者らしきモノがこの鉄の柵で囲まれた非常階段に集まり、鉄の柵をそれぞれ握りしめながら、凄い力で上下に揺すりだした。

こんな頑丈な鉄の柵が、がくがくと揺れ始め、私はこの状況に恐怖した。

「だ、誰か?いませんか?助けてください」

この異常な騒ぎに、流石の自衛隊員達も装甲車に乗って遠くから現れ出した。

「私は人間です。感染者じゃありません!」

私は精一杯の大きな声でそう叫びながら、一段一段、この集団的な暴動!発狂した感染者達の暴動に完全にビビってしまって後ずさりした。

装甲車には、外部拡声器が付いていて、車内から自衛隊員の声が聞こえ出し、

【もっと上の部分まで上がっていてください】

と指示され、私は天井部分まで上に登った。

それを見届けた自衛隊員は、装甲車の窓を開けると共に、自動小銃を構えて、2発ずつ、感染者を確実に狙い撃ちし、その度に鉄作に掴まって暴れていた感染者の男や女が動かなくなった。

感染者達は当然!映画のようなゾンビ(屍が再び動く)では無いから、胸を撃ち抜かれると、即死した感じで、動かなくなり、鉄の柵に寄りかかるように倒れて、そのまま地面に倒れた。

2体?2匹!の感染者が握った鉄柵部分は彼らの体液が付着し、やはり緑の蛍光塗料のように光っていて、射殺されたから非常階段周辺に感染者の血痕が飛び散っていた。幸いというか、出入り口部分には彼らは掴みかかってもいなく、1階、階段部分も感染者の体液(血や汗や唾液)が付着していなかったので、

私はこんな異常な状態から早く脱出するべく、普通の人間ならパニックで身体の精行が出来ない処を、なんとか制御し電子ロックを例の特殊能力で瞬時に外し、ドアを蹴って開けて、自衛隊の装甲車まで走り出した。

鉄柵ドア付近にまで感染者の身体から流れ出ている血液が、私には緑色の蛍光液にしか見えなく、まるで映画「プレデター」のエイリアンが流す血液そっくりだな~と現実感のないこの地獄絵図を冷静に見ている自分がいた。
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