Cウイルス・クロニクル

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自衛隊の救出!日比谷公園避難所への移送

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装甲車に近付いて、一秒でも早く、装甲車の中に入れてもらおうと、近付いたら、拡声器から、

【止まりなさい。】

と威嚇するように言われ。

私は、ビクッとして立ち止まり、もう一度

「助けてください!お願いです。私は人間です」

と哀願した。

【感染者の血を浴びてはいませんか?感染者に触られたり!接触したり!感染者が触った物に触れたりはしていませんか?】

なるほど!やっぱり、先程の蛍光色の手形などは感染者の触った後なのだ!そして、感染者が触った所を健常者?の人間が触っても感染する!ということなのだ。

「大丈夫です。私は感染者の血も浴びてはいないし、感染者と一切!接触していません」

そう言うと、装甲車のマイクを持った比較的若い自衛隊員は、隣の中年のオジサン隊員になにか言われ、後ろにエンジンをかけて止まっている自衛隊トラックの荷台に6つ置いてある工事現場に良くある、青い色の簡易トイレを指差し、あの中に入って鍵を閉めて待機するように!と言われた。

そうか、あくまでも感染者の疑いがあるらしいし、この位の用心深さが無いと、なにで感染するか分からないのが現状だから、まあ、仕方が無かった。

簡易トイレは等間隔に6つあり、扉が閉まっているのは一つだけ?

だから後の5つは扉が空いていたので、私は扉が閉まった簡易トイレから一番離れたトイレに入ろうとして、トラックに登るステップを良く注意し、そこにも感染者の痕跡が無いか、あの蛍光色の痕跡を注意深く探したが、無かったので、高い荷台に登ると端の簡易トイレに素早く入り、鍵を閉めた。

簡易トイレの中は、自分の身長と同じ位の処に小さな5センチ四方の曇りガラスがあり、そこから外の明かりが差しこんでいたが、それとは別に天上にはなんとLEDの小さな電灯も着いていて、そこそこ明るかった。

そして、簡易トイレは洋式であり、一応、長時間?いたとしても、そこに座っていられた。

私は、とりあえず、小便がしたくなったので、便座を上げようとして、もう一度、立ってみて、出入り口のスライド式のドア方向に向くと、なんと、ドアの上部には監視カメラもセットしてあり、カメラの上部の赤いランプが小さく点いていた。

ここまで、やるか?

私は少しの尿意を我慢して、また便座に座り、しばし一息ついた。

そして、簡易トイレ内にあった小さな洗面台セットのような鏡に自分の顔を映してみた。

髭が随分と伸びて、髪も何もセットしていないからくしゃくしゃで、あの卵型の機器の液体?なんかかなり濃い塩分(しょっぱい)?だったから、髪の毛もところどころ固まった感じで、変な寝癖状態に、思わず苦笑してしまった。

そんなことをしていると、突然!トラックが動き出し、私は便座に座りながら、左右にあるパイプに掴まりながら、揺れる自分の身体を必死で固定した。

何回か、停車しては、発進を繰り返し!そして、20分位トラックは走り、そして、ゆっくりと停車した。

そして、トラックが動かなくなってから、また数十分位時間が経過し、今度は私の入っている簡易トイレの周りが、急に騒がしくなり、丁度、天上の部分に何回か思い金属のようなモノがぶつかり、そして、何かの金属音がし始めたと思ったら、なんと、私の入っている簡易トイレは中吊りになったみたいで、一周ふわり、と体重が軽くなった気分を感じたかと思ったら、ほどなくして、地面に設置され、多分!クレーンか何かでトラックから地面に下ろされた?そんな感じだった。

私が簡易トイレに入って40分位が経った頃、徐にトイレのドアがノックされ、拡声器の声で

【ゆっくりと、ドアを開けて出るように!】

と二回も言われて、私は慎重にロックを解除し、ゆっくりとスライドするトイレのドアを横にずらして、まずはそこに立ちつくした。

数人の自衛隊員は、みんな自動小銃を私に向けていて、その中の一人が、拡声器を持って、また、私に話しかけた。

【私の言葉が聞こえますか?】

「はい、聞こえます」

私に向かっていくつかのライトが照らしていたので、かなり眩しかった。

ので、私は両の手でライトの光をさえぎながら、目を細めて、周りの景観を見回した。

どうやら、かなり広い場所らしい。

ライトの光が弱くなる。

【お名前をお伝えください】

私は、覚えていた、自分の名前だろうと思う北村大樹と言う名前を伝え、会社員とそっけなくその辺は簡単に答えた。

【ゆっくりと、そこから出てきてください】

ライトの光が弱くなって、反対に辺りはすっかり日が落ちていることが確認できた。

そして、ここが何処か見覚えがある処だと察知した。

ここは、東京都の日比谷公園だったのだ。

周りには何十台となく自衛隊の装甲車が止まっていたり、目まぐるしく、出たり入ったりしていた、また、至る所に大型テントが設営されていて、そこでも自衛隊員、警察官、消防隊員が活動し、中には救急車や、救急隊、医師の姿も、ちらほら見えた。

【キタムラタイキさんですね。私は埼玉県朝霞駐屯地広報課の櫻井です】

私は、どうも初めまして、と言って、感謝の意を述べた。

【しかし、よく、あそこで無事にいられましたね】

私は、自分が本当に何者なのか?まだ、全く分からないので、曖昧に受け答えした。

【今までは、失礼致しました。今回は未曾有の出来事でありまして、まだ、全然!終息していませんので、このような対応を民間人にもしてしまいました】

「感染者は、東京一体に拡大したのですか?なにせ私はこの異常事態が始まってから、あのビルの上層階で潜伏していましたから」

と、探るように自衛隊の櫻井さんに、そう話した。

【そうでしたか?あそこは、もはやCウイルスの巣窟になっています】

Cウイルス?CはカニバリズムのCってことか?

【では、あちらのテントに並んでいてください!お疲れの処、大変でしたね。】

櫻井さんは、そう穏やかに受け答えしたが、目は若干!充血していて寝ていないのが分かったし、何よりも心ここにあらず、といった感じで、もはや何かが欠落していた。

た、多分、人間の尊厳!を根本から脅かす、状況を私よりも数多く、経験したからだろう。

私は、櫻井さんに軽く会釈すると、とりあえず、あちら、と、指差されたテントに脚を運びながら、辺りを見回した。
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