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市ヶ谷駐屯地陥落と希望としての練馬駐屯地

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感染者の異常な嗅覚か?

私は、ほんの数時間前に体験した、あのビル内での脱出劇を思い出していた。

確かに、奴らは、私の、人間の、健常者の微かな匂い(感染者いる階の非常階段ドアをあけてはない)
を嗅ぎ分けて、非常階段から登って襲いかかってきたのだ。

異常に研ぎ澄まされた嗅覚?

それと、それだけ!では無いと思った。

奴ら、目も異常に良くなっているのでは

ないか?または、夜目が利く?獣のように夜でも良く見えるのでは無いか?

だから、吉田は暗視ゴーグルを付けて、無灯で装甲車を走り続けているのか。

吉田の横顔を見た時、吉田側の窓の外側にべっとりと蛍光色の手の後が残っていた。

さっきの感染者の手形だ。

吉田に注意しようと思ったが、故意に止めておいた。

まだまだ、この状況を情報収集しないといけないと思ったからだ。

多少!犠牲者が出ても仕方が無いな!

私は、案外、冷たくて、冷酷なのかもしれない。

この装甲車は時速20~30キロのスピードでゆっくりと走行している。

練馬駐屯地に行きがてら、吉田は市ヶ谷にある駐屯地の様子も見たいと私に報告し、私がどうこう言っても、ハンドルを握っているのは吉田だし、分かったとだけ返事した。

あくまでも、吉田の意思?が分かっただけで、賛同して返事した訳ではないが。

市ヶ谷駐屯地の建物には明かりも無く、真っ暗だった。

いや、市ヶ谷の街全体も停電で真っ暗なのだから仕方が無いが。

そして、市ヶ谷の街もウヨウヨと、感染者がうろついていて、装甲車のエンジンの音に、反応しポツポツ、集まってきた。

市ヶ谷駐屯地はハッキリ言えばビル群だ。

自衛隊のホワイトカラーが勤務するみたいな所か?

吉田の話では3日前に、ここに、ヘリコプターで屋上に着いて生き残りの隊員を救助していたようだが、その後、連絡が途絶えたらしい。

多分、感染者にやられたのだろう。

街の至る所で、獣の唸り声?声帯的には明らかに人間?感染者の唸り声や、動く気配?感染者の気配がしてきたので、兎に角!一時停車した装甲車を、また発車させた。

その時、

「待ってくれ!」

と言う声が市ヶ谷駐屯地ビル屋上?から響いて聞こえ、市ヶ谷駐屯地のビルを見ると、屋上下の窓から、数人が顔を出した。

ビルの5階だ。

立て篭もっていたようだ。

力無く、窓の枠に身を乗り出しながら、これまた、力無く、手を振っているようだ(真っ暗闇だからそのように感じた)。

ハッキリ言って、この状況では助けられない。

ヘリコプターでの救出が妥当だろう。

そうこうしている内に感染者が、装甲車に近付いてきて、一時的に、その場から移動した。

吉田は500メートルほど離れてから、一時停止をして、無線で、練馬駐屯地に連絡を取ったが、中々、無線に応答が無かった。

最悪!やられた!または、撤退したのか?

特に夜の救助活動は、かなりの危険が伴うので、ヘリの救助も、ましてや地上での救助は第二第三の二次被害になるから厳禁だった。

それは、感染者の行動!と、能力を知れば明らかになる。

感染者は獣と同じように、夜も見えるらしいのだ。

暗視ゴーグル並みの夜目で、しかもアスリートのような身体能力だから、夜こそ太刀打ちが出来ない。

吉田は暗視ゴールを取っては、顔中に浮き出る脂汗?を拭って、小パニックになっていた。

無理も無い!これから向かう処の練馬駐屯地も、もしかしたら、ヤバいのかもしれない。

今の状況だと、明らかに東京都23区は壊滅状態らしい。

吉田は市ヶ谷の職員達を助けるかどうか?悩んでいたが、そんな悩んでいる場合ではなかった。

そうじゃなくても、軽装甲機動車のディーゼルエンジン音で、無数の感染者達がアスリート宜しく!な感じで、疾走して集まってくるのだから、私は兎に角!軽装甲機動車を早く出す事を助言した。

吉田は、慌てて暗視ゴーグルを再び被り、軽装甲機動車を発進させた。

申し訳ないが、市ヶ谷の職員?隊員達は明日の早朝からのヘリ救助を気長に待つしか無い、と言うことだった。

(あくまでもヘリ救援があるとの前提だが)

その前に、感染者に襲われるか?

感染者になるか?食べられるか?

吉田は、徐行しながら、道路の脇に無造作に放置してある車を蛇行して避けながら、まずは練馬駐屯地に行くルート!254号線の道路を目指して、必死に運転していた。
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