Ｃウイルス・クロニクル

カニバリズム行為は感化か触発か、それとも覚醒なのか？

彼女、桐山千賀子も自衛官だから、一通りの訓練は受けているのだろうか、二人乗りの前の席で仙台駐屯地との無線のやり取りをし、今までの経緯！朝霞駐屯地からヘリでの非難、北宇都宮駐屯地も感染者達により襲撃され、紆余曲折あり現在向かっていることを報告していた。

私はベルヘリコプターの上空から福島県内４号線近辺の町並みや道路周辺の住宅を注意深く見ながら、賀来千賀子の殺人の人喰いと言う猟奇的な事件の詳細を思い出していた。


「人喰い殺人事件」が発生したのは私達のヘリが４号線道路を南福島線道路（３６２号）に右に曲がって進んだ道路沿い付近で、福島駐屯地から４００メートル位の処の「バー宗啓」と言う利用者、お客さんの殆どは地元客？よりも福島駐屯地の自衛官達のたまり場だったようだ。

「バー宗啓」は宗啓リカーショップ！所謂、地元の酒屋さんで、やはりお得意さんは福島駐屯地で、定期的に大量のビールやら日本酒、ウイスキー、ワイン等を納品していた。

駐屯地内での会議、会合、入隊式、送別会、または年に何回かの近隣市民への各イベントのための駐屯地解放（花見、盆踊り、夏休みチビッコ大会、記念行事、バレーボール大会、福島自衛隊音楽祭など）後の打上げ等でアルコールやジュース等飲み物が必要であったからだ。

その宗啓リカーショップの建物は２階建てで、１階がお店で倉庫型酒店！ちょっとした全国チェーンの「やまや」のような感じで、その２階部分がスナック＆カラオケバーになっていて、夜の１８時から深夜遅くまで営業し、連日連夜、地元客と自衛隊員で繁盛していたらしい。

特に若い自衛隊員のバカ騒ぎは、時に近隣の住民に迷惑を掛けているようだが、東京や近隣三県のような住宅が密集している感じではないから、そこまでの騒音で迷惑かは分からないが・・・

その２階の「バー宗啓」では、ここの地域では多い？ホステスが常時５～６人は居て、週末には１０名のホステスがお店に出勤していたようだ。

と言う事は、ホステスの在籍人数はだいたい２０名位で、その中には実は女子高生もアルバイトで雇われていたらしい。

そして、人喰い殺人事件の被害者が、まさに「バー宗啓」の女子高生アルバイトのホステスだった。

加害者というか犯人は宗啓リカーショップのオーナーの息子で、３２歳で無職の引き籠りだったようだ。

犯人の男は昔からイジメられていたみたいで、小学校高学年から不登校ぎみになり、中学から本格的に引き籠りになり、高校は地元の偏差値の低い商業高校に進んだが、そこでもイジメに遭い、完全に引き籠り状態になり、通信制の高校を受けていたようだ。

家は繁盛している宗啓リカーショップ＆バー宗啓だから経済的には彼の面倒は充分カバーできたし、高価なＩＴ機器、所謂！ゲーム機器を息子にせがまれるままに与え続けたので１台３０万円もするオンラインゲーム専用のパソコンが何台も部屋にはあった。

犯行の現場は宗啓リカーショップ建物から１０メートルは離れた処にある神社のような赤い建物で、そこはもう何十年も使われていない建物で、倉庫代わりに使っていたようだが、実際は南京錠の鍵がかけられていてようだ。

だが、その無用の長物になった神社は犯人が小学生くらいから一人で鍵を開けてよく一人遊びをしていたようだった。

（物置となっていた神社のスペアキーを渡していたらしい）

両親達も敷地内の神社内で遊んでいる方が、目が届くし、安心だったようだ。

なにせ、学校でイジメられているようだし、友達も少ない、いないのだから仕方がないし、両親や家族は忙しいから、彼を真剣には対処していなかったのだろう。

その曰く付き？と言うか犯人しか使っていない赤い神社内で惨事は起きたのだった。


【例のＣウイルスが騒がれ始め、パンデミックになってからのネット上にアップされている地上波ニュース映像以外の、一般市民がスマホ等で撮影した生々しい無修正動画を、事件を起こす前まで頻繁に観ていたんだって】

（要は引き籠りでオンラインゲームやＰＣヲタクが、ネットにアップされた感染者が健常者を捕食する！人喰いの衝撃映像を見続けている内に感化され、自分でも人を殺して食べてみたいと言う強い欲求を起こし、遂に想像・妄想から現実にやってみたという事件だった）


まさにＣウイルスが日本では東京都を中心に全国へと拡大感染する中、起きた模倣的猟奇殺人事件だが、ある意味、さもありなん！と思わせる事件でもあった。

後味の悪い福島駐屯地の猟奇殺人が発生している中、私と桐山千賀子は最終非難地点に出来れば成って欲しい仙台駐屯地、別名「東北方面総監部」へと一気に向かった。