天国からのマイク

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宇宙空間は記憶装置

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ヨコヤマさんがはっと気付いた時には、
周り一面が鮮やかなオレンジ色で、
昔懐かしの日本映画「家族ゲーム」(1983年)で、
主人公が無数の夕暮れの漢字を書くシーンを思い出したそうです。


そのオレンジの夕暮れの光景には脇腹わきばらを押えたヨコヤマさんだけがかろうじて立っていて、タカシ君は両目を開けて大きく「あ」と叫びそうな表情で倒れていて、
青い目のパイロットも同じく、
天空を見詰める感じで片目を大きく開き、
何かを言いたそうに口を開いていました。


その二人の亡きがらを見て、
つられるようにヨコヤマさんは天空と、
天国からのマイクをみたそうです。


夕暮れの静けさの中、ヨコヤマさんの頭に浮かんできたのは

(パイロットはキャンプ座間から派遣された。
キャンプ座間はリトルペンタゴンとの別名。
陸上自衛隊座間駐屯地はキャンプ座間内にある。
ペンタゴンの由来は古代ギリシャ語のペンタゴーノを語源とする五角形を表す英語。
五角形の形は悪魔が好み、現れる魔法陣のこと)


「宇宙全体が記憶装置、すなわち巨大な脳。
だから大丈夫、宇宙は全ての事柄を記憶しています」

ヨコヤマさんや、全世界の人々に天空のお爺さんから、そのような言葉が発せられました。


そして、小さな男の子が叫ぶような

「あぁーーーーーーーーーーーーーーっぁぁ」

という叫び声が聞こえた瞬間、
タカシ君のお腹から流れる血の部分から、
地面が割れ、地殻変動が起きました。


ヨコヤマさんは地割れから吹き出る赤いマグマ塗れになって肉体が溶ける何万分の1の時間の中で、青い地球が擬人化ぎじんかされ、
お腹部分が裂けて真っ赤な血が吹き出るイメージ映像を見たそうです。
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