魔族少女の人生譚

幻鏡月破

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第一章 四天王になるまで

第十四話 ウィディナ対カルラ 中編

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 開始の合図と共に、先に動いたのはカルラだ。

「はぁぁぁっ!!」

 その巨大な剣を、ウィディナに向けて一直線に振り下ろす。
 その剣撃は柄に合わず速く、避けるには時間が足りないため受け止めるしかない。

 皆がカルラに負けるのはこれが理由だ。並の反応速度だと見切れず、大抵この一発で皆やられる。
 来ると分かっていても避けられない。
 大剣のためリーチが長く、試合開始の距離だとまず避けられない。たとえ受け止めたとしても剣の重さと速さで叩き折られる。

 ウィディナは構えから素早く剣を振り、交差させ剣撃を受け止めの体制をとる。
 ウィディナは最初にこれが来るのを分かっていたため、受け止めの体制が取りやすい構えをとっていた。

 ガキンッと激しい音を上げ、一閃を止めた。

「……よく受け止められたわね」

 ウィディナがニヤリと笑う。

「剣が良いからね。来るって分かってたし」

 カルラが剣を持ち直す瞬間を、ウィディナは見逃さなかった。
 加わる力が一瞬小さくなったタイミングで剣を押し払う。

「くっ――!」

 崩れた体勢を直すためカルラは後ろへ跳ぶ。
 だがやはりウィディナは見逃さない。

「〈天への綟摺スピランセス〉!」

 捻りながらカルラへと突っ込む。
 ウィディナは一瞬で距離を詰めた。


  ◇

 
 ……いつもよりも速い……!
 
 カルラは内心焦っていた。
 だが焦ってはできることもできなくなる。
 頭を一瞬冷やし、アルカナファーレンの腹でウィディナを受け止める。

 剣を上へと振り払う。
 ウィディナは弾かれた様に後ろへ跳んだ。

 だがすぐに体制を整え、また突っ込んできた。
 左右へランダムに動きながらくるため、攻撃がしづらい。

 どこから来てもいいように構えていると、フッとウィディナが目の前から消えた。
 どこだと見回すと、気配を感じた。
 上だ。

 彼女をチッと一つ舌打ちをしたが、構わず私へ落ちてくる。

「――〈胡蝶花の舞踊アイリス〉!」

 左右同時に斜め上から剣が振り下ろされ、まずはそれを避ける。手首を返して下からの掬い上げが来たからアルカナファーレンの腹で受け流す。
 そして最後に斜め下から左右の剣がきた。
 挟み込む様な剣撃が来たため私は間に剣を入れてやる。
 するとガチンと音がし、剣が止まった。

「しまっ――」

「もらった――っと!」

 剣を思い切り振り下ろした。
 ズササササッと吹き飛ぶが、ウィディナは倒れない。
 さっきはウィディナが攻撃した。だから今度は私の番。

「いくよっ」

 私は言うと同時にアルカナファーレンを腰横に構え、ウィディナに向かって走っていった。
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