生産チートの流され魔王ののんびり流されライフ

おげんや豆腐

文字の大きさ
38 / 183
二章 城

スプラッタアリムさん

しおりを挟む
「何故体を清めてから来なかったのですかアリム! 見なさい、マスターの顔色が悪くなってしまったじゃないですか!」

憤怒の表情を示して言ったクロユリさんは目の前にいる反り血で赤くなった同僚を睨み付ける。

対して罵られたアリムさんは表情こそ見えないけど手を強く握っている。


「マスターの気分を害してしまったのは謝るが元はと言えばお前がどちらが早くマスターの居所へ参上できるか競いましょうなどと戯けたこと抜かすからだろうが!!」

いやなにやってるの貴方達………。



「その話に乗った貴方が悪いのではなくて?!」

「お前が先についたらマスターに頭撫でてもらうなど不謹慎極まりない事を言わなければ私は乗らなかったがなっ! 」


不謹慎って言うか頭撫でるってもろ犬…………。


「あらそれを言うなら「ストップ! 」っ! 」

いつまでも続きそうな喧嘩に見かねたミネルスさんが二人の間に入り止めに掛かる。


「貴方達仲が良いのは大変よろしいんですが、せめてするなら一通り報告を終えてから、そしてラグーン君の居ないところで仲良くやってもらっても良いですかね?」

輝く笑顔はブリザードの如し、満面すぎるミネルスさんの笑顔にアリムさんとクロユリさんはその場でピシィッと直立姿勢になり声を揃えた。


「「申し訳ありませんでした!!」」

息ぴったりだねこの二人…………。





「それで、神殿で色々とやっていたようでしたが、簡潔でも良いので、教えて頂いても?」

二人の様子に変わらぬ笑顔でミネルスさんは聞く、するとクロユリさんがニコリと笑う。


「ならここはわたくしが説明致しましょう。アリム、貴方は早くその身に付いた汚らわしい血を清めてきなさいな……ミネルスさん、馬用でも大丈夫ですので水場貸してくださる? 」

馬用の水場? 乗馬レースとかにあるやつ?

と謎な事を考えてい僕を他所にそれを聞いたミネルスさんは苦笑を浮かべた。


「いや、流石にそれは……この時間帯なら浴場が空いてるのでそちらを使用してはいかがですか?」

「いいえ、アリムなんかにお湯を用意するなんて贅沢なことは無いですわ! こびりついた血なんてタワシで磨けば済むのですわ!」

こそぎ落とすってアリムさん洗い物みたいな扱いされてるね…………。


「…………とりあえずアリムさん、部下に案内させるのでどうぞ洗い流して来てください…………」

ミネルスさんは苦笑しながらも部屋の扉に控えている兵士に目配せした。


「すまないミネルス殿、クロユリ……お前あとで覚えておけよ…………?」

最後恐ろしい声を出したアリムさんは兵士に促されて部屋から出ていった。





気分を変えようと紅茶をクロユリさんに勧めたミネルスさんはさてと話し始めた。

「それではクロユリさん、報告を聞かせて頂いてもよろしいですか?」



勧められるままお茶を優雅な所作で口に運んだクロユリさんはニコリと笑みを浮かべて言った。


「えぇ、わかりましたわ。まぁ簡潔に言いますけども、我らがマスターの神殿に勝手に巣くっておりました豚数匹駆除させて頂きました、あら、このお茶かなり美味ですね」

…………豚を駆除? だからアリムさんあんな血だらけだったの? いやでも神殿の中に家畜なんて居ないと思うしな………………。


「ありがとうございます。それで、一般神官はどうしましたか? 」

……神官ってあれでしょ? ゲームの職業の一つで攻撃できる技が少ない代わりに回復魔法とか魔物とかが苦手な聖魔法使える独特なものだっけ?

聖水作るために教会行ったときに見かけたことある。


するとクロユリさんは少し考える仕草をしすぐにポンと手を叩いた。


「あぁ、あの低級聖魔法使いですか、アリムはどうかはわかりませんが殺してはいないですよ? 」

ニコリと答えたクロユリさんにミネルスさんは安堵の息を漏らす。


「そうですか、それなら良かった、それでラグーンく… んて、貴方なにしてるんです? 」

そして話を変えようとミネルスさんが僕の方を見ると、そこにはアルさんに膝にのせられてお菓子を与えられたりなでこなでこされたりしている僕の姿があり固まる。


それに続いて僕を見たクロユリさんもピシリと固まった。


「……見ての通りだけど? 」

話聞いてるのもつまらないし、アルさんもそこは同じなのかニコニコしながら僕に飴なりクッキーなりを口にいれてきて、あ、これさっきやられてた奴だわ。


「見ての通りじゃなくて貴方は少しは危機感を覚えたらどうです?!」

我に帰ったミネルスさんは血相を変えて僕を問いただす。

対してクッキーをもしゃもしゃとしている僕は首を傾げた。


「? 危機感? お城のお嬢様がたの嫉妬と憎しみに当てられる危機感?」

「違くはないですが妙な方向に間違った鋭さを持たないでください!」

そんな声荒げること~?


「だってアルさんこんなイケメンなんだよ? 絶対貴族令嬢達に人気でしょう」

なんかぐいぐい来るけど何だかんだ言って優しいし大きな手で撫でられるとささくれてる心が安心するかな。


「お? 俺かっこいいか? 」

かっこいいという言葉に反応したのかアルさんは僕の顔を覗きこむような体勢になり聞いてくる。


「だからそう言ってるでしょ」

顔近いなおい………。


「そうかそうか! ほれ食え! 」

満足のいく答えにアルさんはニカッと笑い、皿の上にあるタルトを僕の口に突っ込んだ。



うむ、上手い。



「ふむ……」

甘酸っぱくて美味しい


「そこ、自分達の世界築き上げてないで人の話をだな…………」

今まで空気になっていた(失礼)王様がテーブルに肘をつき苦々しく顔を歪ませた。



そんな事はお構いなしにと一通り僕にお菓子を与えたアルさんはガタリと僕を抱き上げると立ち上がった。


「別にこれ以上話すことねぇだろー? 部屋行こうぜラグ」

そう言って扉に向かおうと歩き始めるアルさんの前に青筋たっぷりのミネルスさんが立ち塞がる。


「いま話そうとしてるのはとても重要な事、面倒臭がってないできちんと耳に入れてください、そしてラグーン君、貴方は今夜はダンジョンとこちらで用意した客室、どちらで休まれますか?」

ん? 休む? 寝る場所か。


「えー? うーんじゃあ久しぶりにダンジョン見たい「ラ~グ?」………なんでしょうかアルさん」

不穏な声に上を見ると極悪人みたいな顔のアルさんが………。


「どうしたじゃねえよ、ラグはこれからずっと俺と一緒に寝るって約束したろうが」

なにそれ初耳なんですけど……………。


「そんな約束したっけ…………? 」

「してませんよねそれ………」

ほらミネルスさんも言ってるじゃない


「はぁ………頭沸いた事言ってんじゃねえよアルギス………で、どうするんだラグーン、ここの客室で寝るかダンジョンの方で寝るか、もしくはアルギスと同じ部屋で寝るかだな」

みかねた王様がやれやれと選択を促す。


選択肢は豊富かな?


「俺の部屋で寝るよなラグ?悪いようにはしねえぜ?」

そうでも無かった………。

て、眼力が鋭いなおい………。



「全く………貴方言ってることが悪役のそれじゃないですか、それに決めるのはラグーン君なので無駄な主張なんてしないでくださいよ」

呆れたミネルスさんが眼鏡をスチャリと直しながら宥めるが、アルさんはニヤリと笑う。


「まぁ確かにそうだな、寝るとこは一つしかねえからなに言ったって変わんねえよな」

「解釈が違う気がしますがまぁ良いでしょう…………、話が長引きましたがどうします? こんな自分勝手なゴリラの所にいくんですか? 」

疲れたような顔になったミネルスさんはため息をつくと僕に尋ねてきた。


「どうするんだ? 」

王様もミネルスさんと似たような顔で聞く。


うーん、眠くて考えるのめんどくさくなってきたな~。


「ん~? まぁダンジョンを見たい気持ちもあるけどいま眠いし埃被ってると思う僕の部屋を一々掃除するのもめんどくさいし………アルさんとこで寝るかなぁ……じゃあクロユリさん、アリムさんにもダンジョン行かないこと伝えて貰える? 」

「畏まりましたマスター! では明日ダンジョンへお越しくださいませ! 」

にこやかに言ったクロユリさんが優雅にお辞儀すると、それと同時に体が透け始め、溶けて消えるように見えなくなってしまった。


「ラグーンの答えかなり消去法じみてないか…………?」

「ですね…………」

王様とミネルスさんが顔を見合わせると同時にため息をついた。


「じゃあ行こうか! 」 

そんな二人を置いてアルさんはズンズンと扉へ向けて歩き出した。


「…………ねえいい加減抱っこやめてくれない? 僕歩きたいんだけど」  

何だかんだ言ってここに来てからほとんど歩いてない気がするんだけど。


「断る」

「えぇ……」

「俺が抱きてえのを我慢してやってるんだから我慢しろ」

即答したし。


「いや今抱いてるでしょうが…………」 




そんな声を最後に、扉を乱暴に閉める音と共に二人は退室していく。


残された二人は再度顔を見合わせた。


「あいつ部屋で盛んねえよな…………?」

「まぁ恐らく大丈夫でしょう…………恐らくですが………」



この先の事を考え、二人は苦々しくため息をついたのだった。







しおりを挟む
感想 181

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります。   ※(2025/4/20)第一章終わりました。少しお休みして、プロットが出来上がりましたらまた再開しますね。お付き合い頂き、本当にありがとうございました! えちち話(セルフ二次創作)も反応ありがとうございます。少しお休みするのもあるので、このまま読めるようにしておきますね。   ※♡、ブクマ、エールありがとうございます!すごく嬉しいです! ※表紙作りました!絵は描いた。ロゴをスコシプラス様に作って頂きました。可愛すぎてにこにこです♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜

春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、 癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!? トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。 彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!? 
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて―― 運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない! 恋愛感情もまだわからない! 
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。 個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!? 
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする 愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ! 月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新) 基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

処理中です...