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三章 新たな生活
儀式
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不老不死になりたい。
人は一度は考えるだろう、永遠の若さと命。
人の一生は世界から見ればほんのまばたきに過ぎず、やりたいことも何もかも、極めるためには時間、寿命が足りない。
そして単純に、若さを保ち美しくあり続けたい。
だからこそ、人間は不死を求め、その多くは悲惨な末路を迎える。
そしてこのゲームでもその歴史に乗っ取って一部の種族には惨たらしい裏設定がくっついてるのだ。
「…………成れの果て? ですか? 」
ミネルスさんが訝しげな顔で首を傾げる。
「そう、死と再生の儀式のね」
「死と……再生? てあれだよね、生き物が死ねば魂は何処かにある輪廻の輪に行く、その輪を廻り人の魂はこちらに戻り同じ種族か違う種族になるかってやつでしょ? 」
ナパスさんの言葉に僕は頷く。
「そうそう、あと付け足すと輪廻の輪があるのは冥界だよ」
死者や、それに準ずる者が住まう冥界は特別な方法でしか行けない次元が違う場所だけど前に何回か行ったことあるんだよね。
僕が笑顔で言うと微妙に緊張感が無いことにイラついたのかナパスさんは指でテーブルを叩きながら口を歪ませた。
「それは別にいいんだよ、僕が聞きたいのは不死人って種族と、その死と再生の儀式の事で君がどんな風に生まれて、何で成れの果てなんて言ってるかって事! 」
なんか苛々してるなこの人
えっと、内容なんだっけ……………、初めの方は覚えてるけど後出てこない……ん~。
「……なら軽く前置きとして説明するよ」
まぁ言ってる内に思い出すか。
そんな楽観的な考えの元、僕は立ち上がり二人が同時に見れる場所に行くとゆっくりと手を会わせて、指で輪っかを作るとそこに小さな火の玉を出した。
その火の玉を右手に浮かせ、二人に見えるようにして、僕は言った。
「死と再生、それは人が生まれて死んでいく物、その他に火がついて消える、雲ができては雨が降り、降ったあとにはその雲は跡形もなく消え、火山活動が活発になったかと思えば、、地震が起きてプレートが壊れる」
「………………何が言いたいの? 」
要領を得ないラグーンの言い方にナパスさんは目尻を上げ怒気を含めた声をだす。
それを聞いた僕は火の玉を前に持ってくるとそれを視界に捉えながらにやりと笑った。
「今出した例は全てにおいて生まれるときも死ぬときもエネルギーが生じるってこと……それは規模が大きければ大きいほど大きくなるね、それによって生まれたエネルギーは消えた物と共に輪廻の輪と共に循環する」
「………で?、それと儀式が何の関係があるの? 」
ミネルスさんに行儀が悪いと注意されながらナパスさんは足を組んでソファーに背中を預ける。
それを苦笑しながら僕は火の玉に息を吹きかけ消した。
「本題はここから、その昔、エネルギーの法則に気づいた貴族がいたんだ、その人は貴族でありながら研究者でもあったそうだよ、その法則に気づいた彼はそれから貴族の伝手を使って死と再生について調べた」
「ふぅん………それで? 」
話が進んだことに目を細めたナパスさんが前のめりになる。
「そして調べた結論としてその貴族は最終的にこう考えた、【輪廻の輪に行くエネルギーを自分の物にできないか】と」
「…………とんでもないこと考えますねその人……その貴族はその後どうなったんですか? 」
ミネルスさんの不思議そうな顔を見ながら掌が上に来るよう両手を横に出し、指を鳴らす。
右には火の玉、左には氷の玉を出現させ、その二つを並べ二人に見せる。
「それから数年間彼はエネルギーを得るための研究を続け、それが実現段階までになったそうだよ、その人はね、その計画を実行するために人の近く村人や町人達を自分の住んでいる屋敷に招待して盛大なパーティーを開いてもてなした」
「何で招待したの? 」
「その貴族はね、招待した人達が死ぬことによって生じるエネルギーが欲しかったんだろうね、要するに生け贄」
「…………そいつ外道じゃん……でもそれならそんなもてなすことなんてしないで拉致とかして連れてくればいいんじゃないの?」
手間がかかるだろうと考えたナパスさんの疑問に僕は首をふる。
「それもあったんだろうけど、彼はそれではエネルギーが足りないと考えた、そこで彼は更にエネルギーを得るために、死のエネルギーだけじゃなくもてなされた人達の楽しいや幸せという感情から一気に不幸や苦痛に変わる落差を利用した」
僕の言ったことにナパスさんは顎に手を当てて考えた。
「なるほど………、幸と不幸も生と死の一種なのかな…」
「多分そうだね、それをするために彼は屋敷で出された料理全て毒が混ぜられていた」
「…………さっき君にやった感じで? 」
「そう、でもそれに入れられた毒はさっきのやつよりもずっと強力で、ゆっくりゆっくり……数時間かけて苦しみを与えなぶり殺すから……たちが悪いよ」
「………それで、その生け贄達を使ってその貴族の計画は成功したんですか?」
苦々しい顔で何かを考えているミネルスさんに、何故か憎たらしいみたいな怖い顔をしているナパスさん。
二人が顎に手を当てている姿にこれちょっと面白いなと考えながらニヤリと笑う。
「そりゃあ勿論…………失敗したよ」
人は一度は考えるだろう、永遠の若さと命。
人の一生は世界から見ればほんのまばたきに過ぎず、やりたいことも何もかも、極めるためには時間、寿命が足りない。
そして単純に、若さを保ち美しくあり続けたい。
だからこそ、人間は不死を求め、その多くは悲惨な末路を迎える。
そしてこのゲームでもその歴史に乗っ取って一部の種族には惨たらしい裏設定がくっついてるのだ。
「…………成れの果て? ですか? 」
ミネルスさんが訝しげな顔で首を傾げる。
「そう、死と再生の儀式のね」
「死と……再生? てあれだよね、生き物が死ねば魂は何処かにある輪廻の輪に行く、その輪を廻り人の魂はこちらに戻り同じ種族か違う種族になるかってやつでしょ? 」
ナパスさんの言葉に僕は頷く。
「そうそう、あと付け足すと輪廻の輪があるのは冥界だよ」
死者や、それに準ずる者が住まう冥界は特別な方法でしか行けない次元が違う場所だけど前に何回か行ったことあるんだよね。
僕が笑顔で言うと微妙に緊張感が無いことにイラついたのかナパスさんは指でテーブルを叩きながら口を歪ませた。
「それは別にいいんだよ、僕が聞きたいのは不死人って種族と、その死と再生の儀式の事で君がどんな風に生まれて、何で成れの果てなんて言ってるかって事! 」
なんか苛々してるなこの人
えっと、内容なんだっけ……………、初めの方は覚えてるけど後出てこない……ん~。
「……なら軽く前置きとして説明するよ」
まぁ言ってる内に思い出すか。
そんな楽観的な考えの元、僕は立ち上がり二人が同時に見れる場所に行くとゆっくりと手を会わせて、指で輪っかを作るとそこに小さな火の玉を出した。
その火の玉を右手に浮かせ、二人に見えるようにして、僕は言った。
「死と再生、それは人が生まれて死んでいく物、その他に火がついて消える、雲ができては雨が降り、降ったあとにはその雲は跡形もなく消え、火山活動が活発になったかと思えば、、地震が起きてプレートが壊れる」
「………………何が言いたいの? 」
要領を得ないラグーンの言い方にナパスさんは目尻を上げ怒気を含めた声をだす。
それを聞いた僕は火の玉を前に持ってくるとそれを視界に捉えながらにやりと笑った。
「今出した例は全てにおいて生まれるときも死ぬときもエネルギーが生じるってこと……それは規模が大きければ大きいほど大きくなるね、それによって生まれたエネルギーは消えた物と共に輪廻の輪と共に循環する」
「………で?、それと儀式が何の関係があるの? 」
ミネルスさんに行儀が悪いと注意されながらナパスさんは足を組んでソファーに背中を預ける。
それを苦笑しながら僕は火の玉に息を吹きかけ消した。
「本題はここから、その昔、エネルギーの法則に気づいた貴族がいたんだ、その人は貴族でありながら研究者でもあったそうだよ、その法則に気づいた彼はそれから貴族の伝手を使って死と再生について調べた」
「ふぅん………それで? 」
話が進んだことに目を細めたナパスさんが前のめりになる。
「そして調べた結論としてその貴族は最終的にこう考えた、【輪廻の輪に行くエネルギーを自分の物にできないか】と」
「…………とんでもないこと考えますねその人……その貴族はその後どうなったんですか? 」
ミネルスさんの不思議そうな顔を見ながら掌が上に来るよう両手を横に出し、指を鳴らす。
右には火の玉、左には氷の玉を出現させ、その二つを並べ二人に見せる。
「それから数年間彼はエネルギーを得るための研究を続け、それが実現段階までになったそうだよ、その人はね、その計画を実行するために人の近く村人や町人達を自分の住んでいる屋敷に招待して盛大なパーティーを開いてもてなした」
「何で招待したの? 」
「その貴族はね、招待した人達が死ぬことによって生じるエネルギーが欲しかったんだろうね、要するに生け贄」
「…………そいつ外道じゃん……でもそれならそんなもてなすことなんてしないで拉致とかして連れてくればいいんじゃないの?」
手間がかかるだろうと考えたナパスさんの疑問に僕は首をふる。
「それもあったんだろうけど、彼はそれではエネルギーが足りないと考えた、そこで彼は更にエネルギーを得るために、死のエネルギーだけじゃなくもてなされた人達の楽しいや幸せという感情から一気に不幸や苦痛に変わる落差を利用した」
僕の言ったことにナパスさんは顎に手を当てて考えた。
「なるほど………、幸と不幸も生と死の一種なのかな…」
「多分そうだね、それをするために彼は屋敷で出された料理全て毒が混ぜられていた」
「…………さっき君にやった感じで? 」
「そう、でもそれに入れられた毒はさっきのやつよりもずっと強力で、ゆっくりゆっくり……数時間かけて苦しみを与えなぶり殺すから……たちが悪いよ」
「………それで、その生け贄達を使ってその貴族の計画は成功したんですか?」
苦々しい顔で何かを考えているミネルスさんに、何故か憎たらしいみたいな怖い顔をしているナパスさん。
二人が顎に手を当てている姿にこれちょっと面白いなと考えながらニヤリと笑う。
「そりゃあ勿論…………失敗したよ」
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