生産チートの流され魔王ののんびり流されライフ

おげんや豆腐

文字の大きさ
111 / 183
七章 欠片

ひまつぶし

しおりを挟む
窓から入るそよ風が青いカーテンを揺らし、風乗り耳に聞こえる木の葉が擦れる音。

紙がめくれ、時折茶器の音が部屋に静かに響き渡る。




あぁ…………僕の好む穏やかな時間。

僕は元々学校の隅でのんびりするタイプで好き好んで騒ぐようなことはしない。

テンションが高ければそりゃはしゃぐけど普段はあまり喋らない。

だからこうして好きな本を、するのは端から見たらつまらないだろうが楽しくってたまらない。



何処か出掛けるのかと思っていたら元の部屋に帰ってどーしようかと思ったけど、案外、これもいいかもしれな。


「なあラグ~」

「んんー? 」

そんな事を思いながらのんびりと読書をしていると、ふいにベッドの上でごろごろ寝ていたアルさんに話しかけられ顔をあげた。


「どうしたのアルさん」

「暇だ」

「ん? 」

「遊べ」

「今僕読書してるんだけど……」

「俺何もやることねえぞ」

「何もない部屋だからね」

この部屋、というかアルさんの暮らしているお部屋、リビングルームと寝室の部屋に服を仕舞うための小部屋、それにお風呂にトイレに洗面台と、並みのホテルのような移住空間になっているけど、これといって面白そうなものが全くないんだよねぇ。


「ラグと会う前までは寝るための部屋だったからなぁー」

「どーせ休みの日は飲みに行ってたんでしょ? 」

「良く分かってるじゃねえか、だから遊べよ」

「やだよめんどくさい」

「ああん? 」

それとはこれとは別よ。

片眉を上げて軽く威圧的な声を出すアルさんだけど、布団の上でごろごろと寝そべっているアルさんを見て怖がる人は恐らく誰もいないと思う。


「これ読み終わったら遊んだげるからちょっと待っててよ」

「俺は今ラグと遊びてえ」

「何もない部屋で遊ぶって何するの」

「そりゃあ……ぐんずほぐれつひとつしかねえだろ? 」

「はあー? 」

「心から好いた奴が目の前にいるんだ、我慢できると思うか? 」

「してよそこは」

「流石に突っ込むのは初夜にとって起きてえからしねえが、その準備をするくれえならいいだろ、な? やろうぜ」

「…………はぁ」

にやりと笑ってちょいちょいと手招きをするアルさんに思わずため息をついた僕は本を閉じアルさんをじろりと見る。


「なんだよ」

「ぐんずほぐれつとか言ったけどさー内容は?」

「セックス」

「………ストレートにありがとうございます」

思わずお礼言っちゃったけど……はぁー………。


そーかー、セックスかー……。




アルさんと暮らしはじめて半年、もしくはそれ以上の日がたつけど、意外にも直接なんかそういう感じに持っていく事は……まぁ間接的にはエロ親父だったけど……うん、あったけど。


ストレートに来たか……。

まあでも流石に……。


「な? やろうぜ」

「ねぇアルさん……」

「ん? 」

ちょっと食いぎみに言ってくるアルさんに僕は言った。


「このくそ暑い時期にそんな覚悟いること、ナチュラルにしたくないわ」

「したくないってストレートに言うなよ……」

「だってアルさん熱いじゃん」

「熱いってなんだよ」

ちょっと傷ついてるよだけど、もう少し待って欲しいわ。



「もう……アリムさん召喚するからその人とぐんずほぐれつやって」

「するなするなするな」

「お呼びですかマスター!! 」

アルさんが頭をかいた所で部屋の隅にある衣装部屋の扉を勢い良く開けて現れたアリムさん……。


ええ……あなた、ええ………。


固まる僕にたまらずアルさんも起き上がり吠える。

「するなっつってんだろおい! てか俺の部屋に勝手に入るな鎧! 」

「僕呼んでないもん」

名前呼んだだけだもん。


「マスターが私の名前を呼んでくれた、ただそれだけで私はどんな所へでも馳せ参じますぞ! 」

「…………うぜえ」

「そもそも! 今日は天気がとても良いにも関わらずこのような場所にマスターを閉じ込めては精神衛生上とてもよろしくありませんよショタ将軍! 」

律儀に扉を閉め、かつかつと歩いてきたアリムさんはびしっとアルさんに向けて指を差す。


「だ れ がショタだ! その鎧跡形もなく砕くぞおら! 」

「まぁ貴方がショタなのはこの際どうでもいいのです」

「あ〝ぁ〝? 」

「雲ひとつない快晴なのです、このような場所ではなくどこか外へマスターを遊びに連れていかれてはどうかと、臣下としての意見を述べさせて頂きます」

「絶対ショタの部分話す必要ないでしょ……」

「個人的な意見です」

「そう……」

ぴしりと敬礼をする彼にそうとしか言えない。


「で、ショタ将軍はどうするんですか」

「ああ? 」

「マスターをどちらに連れていくんですか」

「連れていかねえよ」

「はあ? 」

「……はい? 」

アリムさんが低く、くぐもった声をあげるのを少しびびりながらアルさんを見ればポリポリと耳をかいた。


「しょーじき休みの日に用もねえに外に行くなんざしたくねえし、今日ぐれえはラグを一人占めしたいんだよ俺は」

「ほう……」

中々………中々恥ずかしい事言ってくれじゃないですかこの人……り


「第一、ラグを他の奴に見せるのが嫌だ、一生俺のテリトリーに閉じ込めたい」

「えぇ……」

「なんだよ、惚れたか? 」

「違うわ」

ちょっとおっ、と思ったの返してよこの気持ち。



「じゃあどーするの」

「だから快楽的な事をだな」

「させませんよ煩悩ゴリラ」

「煩悩ゴリラ……」

「なぁラグ、こいつ壊してもいいか? 」

「ダメダメ、……んーじゃー、オセロでもする? 」

「……オセロ? 」

首を傾げたアルさんに僕は手近の影に手を入れた。






※※※





そしてテーブルに置かれた大きなオセロ盤、椅子をもう一つ用意して向かい合うように座るアルさんに僕は説明をする。




「ここに白の石と黒の石があるじゃろ? 」

「おう」

「黒の石の左右上下どれかをを白の石で挟むと、黒の石がひっくり返って白になる」

「おお」

「白の石の人と黒の石の人で争ってどっちが多くの石を取れるかで競うのがオセロなのじゃ」

「面白そうじゃねえか、……で、その喋り方はなんだよ」

「なんとなく」

「なんとなくか」

「うむ、じゃあ早速」

「おう」

本腰をいれて、ゲームスタート。




~1戦目~




「盤の角のマスを取ったらその石はもうひっくり返せないから強いよー」

「なるほど、……とったぞ? 」

「え、」

「ついでにラグの石がほとんどないが、大丈夫か? 」

「え、……こうだ」

「ならこうだな」

始めた時は割りと優勢だったはずの僕の白い石、だけどものの数分でアルさんの黒い石一色に。



「………もう一回」

「おう」

リベンジなう。





※※※


~2戦目~



「これなら、どうかな」

どうにか二つ角を取れたけど……。


「なら、ここだな」

「あ、」

そこが最適解とばかりにアルさんの置いたマスによってひっくり返される僕の石………。



「俺の勝ちだ」

「……もう一回、僕も久しぶりだから、もう一回」

「あいよ」

半場ムキになる僕にテーブルに肘をついたアルさんは苦笑した。




~3戦、4戦を経て5戦目~




「………あっれぇ」

「どうした? 」

石を置こうとした手をふいに止め固まる僕にアルさんは笑う。



「どう計算しても負ける未来しか見えない」

「察しが良いじゃねえか、ほれ、お前の番だぞ」

「oh………」

仕方なく、そこにしか押せないような場所に石を置くと、すぐにアルさんが石を置き、置いたばかりの石がひっくり返されていく。



後石を置ける場所は限られていると……。



「………降参」

「んー? 」

これ以上は無理と判断した僕はやれやれとため息をつき手を上げる。


するとアルさんは楽しそうににやにやと口を歪ませる。


「やだもうアルさん強い」

「潔いのは嫌いじゃねえ」

ぐでっとテーブルに手を広ければふいに頭を撫でられる。


「コツを掴めばやり易いゲームだな、チェスより簡単だ」

「遊びやすさが売りだからねぇ……うーん、僕のやる気がもう無いわ~」

「じゃあ別のゲームにするか? 」

「いんや、僕は読書がしたい」

もう集中しすぎて疲れたわ……。


「……ちぇ~」

そう言って本を取り出した僕にアルさんは口を尖らせた。


まって頭の手の力強くなって。


「いたいいたいいたい、もっと優しく頭撫でて! 」

「やーなこった」





このやろう。














しおりを挟む
感想 181

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜

春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、 癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!? トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。 彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!? 
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて―― 運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない! 恋愛感情もまだわからない! 
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。 個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!? 
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする 愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ! 月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新) 基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります。   ※(2025/4/20)第一章終わりました。少しお休みして、プロットが出来上がりましたらまた再開しますね。お付き合い頂き、本当にありがとうございました! えちち話(セルフ二次創作)も反応ありがとうございます。少しお休みするのもあるので、このまま読めるようにしておきますね。   ※♡、ブクマ、エールありがとうございます!すごく嬉しいです! ※表紙作りました!絵は描いた。ロゴをスコシプラス様に作って頂きました。可愛すぎてにこにこです♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている

迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。 読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)  魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。  ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。  それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。  それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。  勘弁してほしい。  僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

異世界スローライフ希望なのに、女神の過保護が止まらない

葉泪秋
ファンタジー
HOTランキング1位感謝です!(2/3) 「小説家になろう」日間ランキング最高11位!(ハイファンタジー) ブラック企業で過労死した俺、佐久間遼。 神様に願ったのは、ただ「異世界で、畑でも耕しながらのんびり暮らしたい」ということだけ。 そうして手に入れた、辺境の村での穏やかな日々。現状に満足し、今度こそは平穏なスローライフを……と思っていたのだが、俺の妙なスキルと前世の社畜根性が、そうはさせない。 ふとした善意で枯れた井戸を直したことから、堅物の騎士団長やら、過保護な女神やらに目をつけられることになる。 早く穏やかに暮らしたい。 俺は今日も、規格外に育った野菜を手に、皆の姿を眺めている。 【毎日18:00更新】 ※表紙画像はAIを使用しています

処理中です...