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七章 欠片
ひまつぶし
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窓から入るそよ風が青いカーテンを揺らし、風乗り耳に聞こえる木の葉が擦れる音。
紙がめくれ、時折茶器の音が部屋に静かに響き渡る。
あぁ…………僕の好む穏やかな時間。
僕は元々学校の隅でのんびりするタイプで好き好んで騒ぐようなことはしない。
テンションが高ければそりゃはしゃぐけど普段はあまり喋らない。
だからこうして好きな本を、するのは端から見たらつまらないだろうが楽しくってたまらない。
何処か出掛けるのかと思っていたら元の部屋に帰ってどーしようかと思ったけど、案外、これもいいかもしれな。
「なあラグ~」
「んんー? 」
そんな事を思いながらのんびりと読書をしていると、ふいにベッドの上でごろごろ寝ていたアルさんに話しかけられ顔をあげた。
「どうしたのアルさん」
「暇だ」
「ん? 」
「遊べ」
「今僕読書してるんだけど……」
「俺何もやることねえぞ」
「何もない部屋だからね」
この部屋、というかアルさんの暮らしているお部屋、リビングルームと寝室の部屋に服を仕舞うための小部屋、それにお風呂にトイレに洗面台と、並みのホテルのような移住空間になっているけど、これといって面白そうなものが全くないんだよねぇ。
「ラグと会う前までは寝るための部屋だったからなぁー」
「どーせ休みの日は飲みに行ってたんでしょ? 」
「良く分かってるじゃねえか、だから遊べよ」
「やだよめんどくさい」
「ああん? 」
それとはこれとは別よ。
片眉を上げて軽く威圧的な声を出すアルさんだけど、布団の上でごろごろと寝そべっているアルさんを見て怖がる人は恐らく誰もいないと思う。
「これ読み終わったら遊んだげるからちょっと待っててよ」
「俺は今ラグと遊びてえ」
「何もない部屋で遊ぶって何するの」
「そりゃあ……ぐんずほぐれつひとつしかねえだろ? 」
「はあー? 」
「心から好いた奴が目の前にいるんだ、我慢できると思うか? 」
「してよそこは」
「流石に突っ込むのは初夜にとって起きてえからしねえが、その準備をするくれえならいいだろ、な? やろうぜ」
「…………はぁ」
にやりと笑ってちょいちょいと手招きをするアルさんに思わずため息をついた僕は本を閉じアルさんをじろりと見る。
「なんだよ」
「ぐんずほぐれつとか言ったけどさー内容は?」
「セックス」
「………ストレートにありがとうございます」
思わずお礼言っちゃったけど……はぁー………。
そーかー、セックスかー……。
アルさんと暮らしはじめて半年、もしくはそれ以上の日がたつけど、意外にも直接なんかそういう感じに持っていく事は……まぁ間接的にはエロ親父だったけど……うん、あったけど。
ストレートに来たか……。
まあでも流石に……。
「な? やろうぜ」
「ねぇアルさん……」
「ん? 」
ちょっと食いぎみに言ってくるアルさんに僕は言った。
「このくそ暑い時期にそんな覚悟いること、ナチュラルにしたくないわ」
「したくないってストレートに言うなよ……」
「だってアルさん熱いじゃん」
「熱いってなんだよ」
ちょっと傷ついてるよだけど、もう少し待って欲しいわ。
「もう……アリムさん召喚するからその人とぐんずほぐれつやって」
「するなするなするな」
「お呼びですかマスター!! 」
アルさんが頭をかいた所で部屋の隅にある衣装部屋の扉を勢い良く開けて現れたアリムさん……。
ええ……あなた、ええ………。
固まる僕にたまらずアルさんも起き上がり吠える。
「するなっつってんだろおい! てか俺の部屋に勝手に入るな鎧! 」
「僕呼んでないもん」
名前呼んだだけだもん。
「マスターが私の名前を呼んでくれた、ただそれだけで私はどんな所へでも馳せ参じますぞ! 」
「…………うぜえ」
「そもそも! 今日は天気がとても良いにも関わらずこのような場所にマスターを閉じ込めては精神衛生上とてもよろしくありませんよショタ将軍! 」
律儀に扉を閉め、かつかつと歩いてきたアリムさんはびしっとアルさんに向けて指を差す。
「だ れ がショタだ! その鎧跡形もなく砕くぞおら! 」
「まぁ貴方がショタなのはこの際どうでもいいのです」
「あ〝ぁ〝? 」
「雲ひとつない快晴なのです、このような場所ではなくどこか外へマスターを遊びに連れていかれてはどうかと、臣下としての意見を述べさせて頂きます」
「絶対ショタの部分話す必要ないでしょ……」
「個人的な意見です」
「そう……」
ぴしりと敬礼をする彼にそうとしか言えない。
「で、ショタ将軍はどうするんですか」
「ああ? 」
「マスターをどちらに連れていくんですか」
「連れていかねえよ」
「はあ? 」
「……はい? 」
アリムさんが低く、くぐもった声をあげるのを少しびびりながらアルさんを見ればポリポリと耳をかいた。
「しょーじき休みの日に用もねえに外に行くなんざしたくねえし、今日ぐれえはラグを一人占めしたいんだよ俺は」
「ほう……」
中々………中々恥ずかしい事言ってくれじゃないですかこの人……り
「第一、ラグを他の奴に見せるのが嫌だ、一生俺のテリトリーに閉じ込めたい」
「えぇ……」
「なんだよ、惚れたか? 」
「違うわ」
ちょっとおっ、と思ったの返してよこの気持ち。
「じゃあどーするの」
「だから快楽的な事をだな」
「させませんよ煩悩ゴリラ」
「煩悩ゴリラ……」
「なぁラグ、こいつ壊してもいいか? 」
「ダメダメ、……んーじゃー、オセロでもする? 」
「……オセロ? 」
首を傾げたアルさんに僕は手近の影に手を入れた。
※※※
そしてテーブルに置かれた大きなオセロ盤、椅子をもう一つ用意して向かい合うように座るアルさんに僕は説明をする。
「ここに白の石と黒の石があるじゃろ? 」
「おう」
「黒の石の左右上下どれかをを白の石で挟むと、黒の石がひっくり返って白になる」
「おお」
「白の石の人と黒の石の人で争ってどっちが多くの石を取れるかで競うのがオセロなのじゃ」
「面白そうじゃねえか、……で、その喋り方はなんだよ」
「なんとなく」
「なんとなくか」
「うむ、じゃあ早速」
「おう」
本腰をいれて、ゲームスタート。
~1戦目~
「盤の角のマスを取ったらその石はもうひっくり返せないから強いよー」
「なるほど、……とったぞ? 」
「え、」
「ついでにラグの石がほとんどないが、大丈夫か? 」
「え、……こうだ」
「ならこうだな」
始めた時は割りと優勢だったはずの僕の白い石、だけどものの数分でアルさんの黒い石一色に。
「………もう一回」
「おう」
リベンジなう。
※※※
~2戦目~
「これなら、どうかな」
どうにか二つ角を取れたけど……。
「なら、ここだな」
「あ、」
そこが最適解とばかりにアルさんの置いたマスによってひっくり返される僕の石………。
「俺の勝ちだ」
「……もう一回、僕も久しぶりだから、もう一回」
「あいよ」
半場ムキになる僕にテーブルに肘をついたアルさんは苦笑した。
~3戦、4戦を経て5戦目~
「………あっれぇ」
「どうした? 」
石を置こうとした手をふいに止め固まる僕にアルさんは笑う。
「どう計算しても負ける未来しか見えない」
「察しが良いじゃねえか、ほれ、お前の番だぞ」
「oh………」
仕方なく、そこにしか押せないような場所に石を置くと、すぐにアルさんが石を置き、置いたばかりの石がひっくり返されていく。
後石を置ける場所は限られていると……。
「………降参」
「んー? 」
これ以上は無理と判断した僕はやれやれとため息をつき手を上げる。
するとアルさんは楽しそうににやにやと口を歪ませる。
「やだもうアルさん強い」
「潔いのは嫌いじゃねえ」
ぐでっとテーブルに手を広ければふいに頭を撫でられる。
「コツを掴めばやり易いゲームだな、チェスより簡単だ」
「遊びやすさが売りだからねぇ……うーん、僕のやる気がもう無いわ~」
「じゃあ別のゲームにするか? 」
「いんや、僕は読書がしたい」
もう集中しすぎて疲れたわ……。
「……ちぇ~」
そう言って本を取り出した僕にアルさんは口を尖らせた。
まって頭の手の力強くなって。
「いたいいたいいたい、もっと優しく頭撫でて! 」
「やーなこった」
このやろう。
紙がめくれ、時折茶器の音が部屋に静かに響き渡る。
あぁ…………僕の好む穏やかな時間。
僕は元々学校の隅でのんびりするタイプで好き好んで騒ぐようなことはしない。
テンションが高ければそりゃはしゃぐけど普段はあまり喋らない。
だからこうして好きな本を、するのは端から見たらつまらないだろうが楽しくってたまらない。
何処か出掛けるのかと思っていたら元の部屋に帰ってどーしようかと思ったけど、案外、これもいいかもしれな。
「なあラグ~」
「んんー? 」
そんな事を思いながらのんびりと読書をしていると、ふいにベッドの上でごろごろ寝ていたアルさんに話しかけられ顔をあげた。
「どうしたのアルさん」
「暇だ」
「ん? 」
「遊べ」
「今僕読書してるんだけど……」
「俺何もやることねえぞ」
「何もない部屋だからね」
この部屋、というかアルさんの暮らしているお部屋、リビングルームと寝室の部屋に服を仕舞うための小部屋、それにお風呂にトイレに洗面台と、並みのホテルのような移住空間になっているけど、これといって面白そうなものが全くないんだよねぇ。
「ラグと会う前までは寝るための部屋だったからなぁー」
「どーせ休みの日は飲みに行ってたんでしょ? 」
「良く分かってるじゃねえか、だから遊べよ」
「やだよめんどくさい」
「ああん? 」
それとはこれとは別よ。
片眉を上げて軽く威圧的な声を出すアルさんだけど、布団の上でごろごろと寝そべっているアルさんを見て怖がる人は恐らく誰もいないと思う。
「これ読み終わったら遊んだげるからちょっと待っててよ」
「俺は今ラグと遊びてえ」
「何もない部屋で遊ぶって何するの」
「そりゃあ……ぐんずほぐれつひとつしかねえだろ? 」
「はあー? 」
「心から好いた奴が目の前にいるんだ、我慢できると思うか? 」
「してよそこは」
「流石に突っ込むのは初夜にとって起きてえからしねえが、その準備をするくれえならいいだろ、な? やろうぜ」
「…………はぁ」
にやりと笑ってちょいちょいと手招きをするアルさんに思わずため息をついた僕は本を閉じアルさんをじろりと見る。
「なんだよ」
「ぐんずほぐれつとか言ったけどさー内容は?」
「セックス」
「………ストレートにありがとうございます」
思わずお礼言っちゃったけど……はぁー………。
そーかー、セックスかー……。
アルさんと暮らしはじめて半年、もしくはそれ以上の日がたつけど、意外にも直接なんかそういう感じに持っていく事は……まぁ間接的にはエロ親父だったけど……うん、あったけど。
ストレートに来たか……。
まあでも流石に……。
「な? やろうぜ」
「ねぇアルさん……」
「ん? 」
ちょっと食いぎみに言ってくるアルさんに僕は言った。
「このくそ暑い時期にそんな覚悟いること、ナチュラルにしたくないわ」
「したくないってストレートに言うなよ……」
「だってアルさん熱いじゃん」
「熱いってなんだよ」
ちょっと傷ついてるよだけど、もう少し待って欲しいわ。
「もう……アリムさん召喚するからその人とぐんずほぐれつやって」
「するなするなするな」
「お呼びですかマスター!! 」
アルさんが頭をかいた所で部屋の隅にある衣装部屋の扉を勢い良く開けて現れたアリムさん……。
ええ……あなた、ええ………。
固まる僕にたまらずアルさんも起き上がり吠える。
「するなっつってんだろおい! てか俺の部屋に勝手に入るな鎧! 」
「僕呼んでないもん」
名前呼んだだけだもん。
「マスターが私の名前を呼んでくれた、ただそれだけで私はどんな所へでも馳せ参じますぞ! 」
「…………うぜえ」
「そもそも! 今日は天気がとても良いにも関わらずこのような場所にマスターを閉じ込めては精神衛生上とてもよろしくありませんよショタ将軍! 」
律儀に扉を閉め、かつかつと歩いてきたアリムさんはびしっとアルさんに向けて指を差す。
「だ れ がショタだ! その鎧跡形もなく砕くぞおら! 」
「まぁ貴方がショタなのはこの際どうでもいいのです」
「あ〝ぁ〝? 」
「雲ひとつない快晴なのです、このような場所ではなくどこか外へマスターを遊びに連れていかれてはどうかと、臣下としての意見を述べさせて頂きます」
「絶対ショタの部分話す必要ないでしょ……」
「個人的な意見です」
「そう……」
ぴしりと敬礼をする彼にそうとしか言えない。
「で、ショタ将軍はどうするんですか」
「ああ? 」
「マスターをどちらに連れていくんですか」
「連れていかねえよ」
「はあ? 」
「……はい? 」
アリムさんが低く、くぐもった声をあげるのを少しびびりながらアルさんを見ればポリポリと耳をかいた。
「しょーじき休みの日に用もねえに外に行くなんざしたくねえし、今日ぐれえはラグを一人占めしたいんだよ俺は」
「ほう……」
中々………中々恥ずかしい事言ってくれじゃないですかこの人……り
「第一、ラグを他の奴に見せるのが嫌だ、一生俺のテリトリーに閉じ込めたい」
「えぇ……」
「なんだよ、惚れたか? 」
「違うわ」
ちょっとおっ、と思ったの返してよこの気持ち。
「じゃあどーするの」
「だから快楽的な事をだな」
「させませんよ煩悩ゴリラ」
「煩悩ゴリラ……」
「なぁラグ、こいつ壊してもいいか? 」
「ダメダメ、……んーじゃー、オセロでもする? 」
「……オセロ? 」
首を傾げたアルさんに僕は手近の影に手を入れた。
※※※
そしてテーブルに置かれた大きなオセロ盤、椅子をもう一つ用意して向かい合うように座るアルさんに僕は説明をする。
「ここに白の石と黒の石があるじゃろ? 」
「おう」
「黒の石の左右上下どれかをを白の石で挟むと、黒の石がひっくり返って白になる」
「おお」
「白の石の人と黒の石の人で争ってどっちが多くの石を取れるかで競うのがオセロなのじゃ」
「面白そうじゃねえか、……で、その喋り方はなんだよ」
「なんとなく」
「なんとなくか」
「うむ、じゃあ早速」
「おう」
本腰をいれて、ゲームスタート。
~1戦目~
「盤の角のマスを取ったらその石はもうひっくり返せないから強いよー」
「なるほど、……とったぞ? 」
「え、」
「ついでにラグの石がほとんどないが、大丈夫か? 」
「え、……こうだ」
「ならこうだな」
始めた時は割りと優勢だったはずの僕の白い石、だけどものの数分でアルさんの黒い石一色に。
「………もう一回」
「おう」
リベンジなう。
※※※
~2戦目~
「これなら、どうかな」
どうにか二つ角を取れたけど……。
「なら、ここだな」
「あ、」
そこが最適解とばかりにアルさんの置いたマスによってひっくり返される僕の石………。
「俺の勝ちだ」
「……もう一回、僕も久しぶりだから、もう一回」
「あいよ」
半場ムキになる僕にテーブルに肘をついたアルさんは苦笑した。
~3戦、4戦を経て5戦目~
「………あっれぇ」
「どうした? 」
石を置こうとした手をふいに止め固まる僕にアルさんは笑う。
「どう計算しても負ける未来しか見えない」
「察しが良いじゃねえか、ほれ、お前の番だぞ」
「oh………」
仕方なく、そこにしか押せないような場所に石を置くと、すぐにアルさんが石を置き、置いたばかりの石がひっくり返されていく。
後石を置ける場所は限られていると……。
「………降参」
「んー? 」
これ以上は無理と判断した僕はやれやれとため息をつき手を上げる。
するとアルさんは楽しそうににやにやと口を歪ませる。
「やだもうアルさん強い」
「潔いのは嫌いじゃねえ」
ぐでっとテーブルに手を広ければふいに頭を撫でられる。
「コツを掴めばやり易いゲームだな、チェスより簡単だ」
「遊びやすさが売りだからねぇ……うーん、僕のやる気がもう無いわ~」
「じゃあ別のゲームにするか? 」
「いんや、僕は読書がしたい」
もう集中しすぎて疲れたわ……。
「……ちぇ~」
そう言って本を取り出した僕にアルさんは口を尖らせた。
まって頭の手の力強くなって。
「いたいいたいいたい、もっと優しく頭撫でて! 」
「やーなこった」
このやろう。
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……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
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早く穏やかに暮らしたい。
俺は今日も、規格外に育った野菜を手に、皆の姿を眺めている。
【毎日18:00更新】
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