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十章 緩やかに劇的に
★家族★
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片手で持てる身長、変わらぬ姿、変わらぬ魔力、匂い 、気配 、紫の眼に我を写すその驚いた顔……我の乱れていた心が急速に鎮まっていき、同時に安堵した。
権力の全てを使い探していた最愛の者に会えたのだから。
火山が活発に活動するずっと前、緑豊かな山だった時、我はこの世に生まれた。
幼少の頃我を生んだ母は常に父の腕の中で笑っていた記憶がある。
父は毎日愛の言葉を母に伝え病的なまでに溺愛し同時に我を片手で持ち上げ笑っていた。
些細なことで笑い、雨が降った日は家で静かに、時折楽しくすこ毎日を楽しそうに幸せそうに笑う両親を見て育てば当然我もそんな未来を得たいと夢見て、叶えた。
愛しき者……愛しき空間、愛しき……家族。
家族の顔を思い浮かべるだけで胸の内が暖かくなり幸福な気持ちで包まれる……ああ愛おしい。
広げた腕に収まり愛らしく笑う妻、愛する妻の面影を継ぐ我が子。
宝石よりも輝き世界を鮮やかに煌めかせる掛け替えのない……家族。
家族によって我の世界は潤い家族によって我は感情を動かし家族の笑顔で我もまた笑顔になる。
家族が悲しむことがあればそれを取り除き害を及ぼす者は皆等しくゴミになる。
最愛の妻、最愛の息子、最愛の娘に可愛らしい孫。
愛らしい者に囲まれ笑い会う事がこの世で最大の楽しみ、そして家族に最大の愛を送る事もまた良い。
お互いを愛し尊重しあい一つ屋根のした穏やかに暮らす、たまらなく良い。
母がこの世を去り幸せが壊れたとき、嘆き悲しんだ父が地形を変動させてから数千年。
唯一の妻を見つけ故郷を去りやむを得ず得た国王の肩書きを使い過ごしやすい環境を作り、その中で妻との子供を授かった。
そして増えた家族のために頑張ればまた国が発展する。
妻が笑顔でいられるように富を増やし息子が最適な環境で育てるように財を成す。
家族のためその一心で死ぬほど興味のない地位を少し我慢すれば今日も家族を最大限愛せる、実に素晴らしいことだ。
満ち足りた毎日を謳歌していたある日、故郷に住む父から伝書が飛んで来た。
【息子が出来た】
紙に書かれたその言葉に頭が真っ白になった後、理解が追い付くと母以外に番を得たことに対する沸々と怒りが沸き我は翼を広げ飛び立った。
手紙に書かれた事をそのまま受けとると、我に弟ができたという事だ。
……言葉のままに無垢な赤子であれば慈しみ育て愛そう、何物にも染まらぬ純白な赤子は何よりも庇護し、快く家族に迎えるとも。
だが、我らを騙しくだらん事を企てるような屑であれば消えてもらうしかあるまい。
固い決意を持った、筈だった。
「おおルド! すまんが少し待て! 」
「これは……」
父の住む広大な火山、その火口に降り立った我が目を剥いた先にいたのは火を纏った……少年、いや青年……か?
その横では慌てふためく父がいた。
ここは火山の火口。
どこかからか燃え移ったのか地面につく服の裾から燃え移った炎を白髪の青年は何食わぬ顔で我を興味深そうに見つめている。
「だから、ラグーン!」
「あ、はいはい? 」
「服だ! 服!!」
「へ?」
「へ? じゃない燃えてると言うとるじゃろ!!」
「ん? あー大丈夫ですう」
「大丈夫じゃないから言っとるんだば か た れ!!」
「ちょっと焦げるだけですし」
「……ほれ水!!」
「……あらぁ」
「あらじゃない!」
まるで他人事のように話す彼に普段龍体で過ごす父が人の姿を取り、危機感の欠落した青年を頭から水をかけ消火している……。
理解が追いつかないが、彼については今は良いだろう。
「……父上」
「おお、良く来たルド、少し角が伸びたな」
青年を消火し終えた父がこちらに振り返り古傷のつき年期の入った顔を緩める。
「5ミリ伸びた、で、だ父上……」
「最近はどうだ、もう一人子を授かったと聞いたが体調に変化はないか? 」
「あ、あぁそれは勿論だ、今度連れてくる……そうじゃくてだな、今日は用があって」
「ああそうだルド、最近な、許可なく山に入る輩が多くてな、一々対処するのも面倒だちと厳しく取り締まってくれ」
「あぁ分かった、……それよりもだ父上」
「ん? そういえばその格好……城の装いのまま来たのか」
そうだ、いつもここに来るときは昔のように素朴な服装で来るのだが今回はそんな事を言ってはいられん。
「余裕が無かったからな…、父上よ、子が出来たとはどういう事か説明してくれ、我はそのために来た」
「……あぁ、すまんあの手紙の事か喜びのあまり衝動で送ってしもうたからな、許せ」
のほほんと笑う父を睨み意思を込めて言えば、不思議そうに首をかしげた父は手を叩いた。
「別にその事に対しては怒ってはない……が、父上、父上をを誑かしたという女は何処にいる」
沸々と沸く溶岩の如き感情を抑え低い声を出す。
女。
母の眠る山で不埒にも父を誘惑した者、幸せな空間に投げられた揺らぎ、どんな理由で父がその女を迎え、あまつさえ子を作ったのならば、実の息子である我は怒る権利を持っているはずだ。
過去、妻を陥れようと動いた愚かな女と女の後ろ楯となり力を貸した一族がいた、そのときの妻の悲しむ顔は二度とみたくない、故に、今回もそれと同じようであれば容赦は、しない。
さぁ出てくるがいい。
「おんな?」
「息子ができたと手紙に書いてあっただろう、つまり伴侶となる女がいる筈だ、まったく、父上ともあろう者が母上以外の女を持つとは」
「いないぞ?」
「否定も拒絶もするがとりあえずは一目会わせて……なんだと?」
「おんななんて作ってないぞ? 」
「……は?」
「何をいってるんだお前は」
鼻息荒く腕を組んだ父に開いた口が塞がらない。
「息子が出来たというのは……」
「おんなは作ってないが息子は出来たぞ」
「順序が壊れて……どういうことだ、意味がわからん」
「儂の妻は生涯ただ一人、だが息子は作れるだろう?」
「……さっぱりわからん」
「んー……そうだな、もっとこうシンプルに察してくれれば良いがいかんせんお前は難しく考えるのが悪い癖だ、縦社会に染まって固くなってんじゃないか? 昔のお前はもっとこう素直で」
「うるせぇ親父」
「そう、それだそれ、一人称も儂の呼び方も変えよって……悲しいぞ」
つい昔の言葉遣いで返せば満足げに笑った父が腕を組む。
「ちっ……つまり、どういうことだ」
「つまりだな、とてつもなく愛らしい放っておけない子を見つけてな、半場強引に息子にした」
「法で裁いてやろうかクソジジイ」
「息子が怖いのう……なぁラグーン、お前もそう思うだろ?」
「はぁたくっ……」
理解出来ないことをやっている父に調子を崩され内容もわざわざ飛んでくる必要もない拍子抜けも良いところな代物……心配して損した。
「……で? その哀れな息子、我の弟とやらは何処にいるんだ」
のほほんとした父の様子なら特別警戒することもないだろう、さて一体どんな奴が……ん?
「……ラグーン? ん? おいラグーン? おかしいなさっきここに居た筈 ……ラグーン!?」
段々と顔色が悪くなっていく父が慌てて翼を伸ばし周囲を見渡し火口にできる岩や壁などを探し尽くすと目当てのものは見つからなかったようとぼとぼと我の元へ歩いてくる。
「……父上?」
「ラグーンがどっかいってしもうた……マグマに落ちてたらどうしようルド……」
「知らねえよ」
「儂泣いちゃう」
「……そこらへん探すか」
かなり独特な物であるが、これが我が愛する弟、ラグーンとの出会いである。
★★★
回想回でした
ストーリー練るのが時間かかるので以前だしていたお気に入り記念の番外編シリーズを加筆を加えて出そうとおもいます
権力の全てを使い探していた最愛の者に会えたのだから。
火山が活発に活動するずっと前、緑豊かな山だった時、我はこの世に生まれた。
幼少の頃我を生んだ母は常に父の腕の中で笑っていた記憶がある。
父は毎日愛の言葉を母に伝え病的なまでに溺愛し同時に我を片手で持ち上げ笑っていた。
些細なことで笑い、雨が降った日は家で静かに、時折楽しくすこ毎日を楽しそうに幸せそうに笑う両親を見て育てば当然我もそんな未来を得たいと夢見て、叶えた。
愛しき者……愛しき空間、愛しき……家族。
家族の顔を思い浮かべるだけで胸の内が暖かくなり幸福な気持ちで包まれる……ああ愛おしい。
広げた腕に収まり愛らしく笑う妻、愛する妻の面影を継ぐ我が子。
宝石よりも輝き世界を鮮やかに煌めかせる掛け替えのない……家族。
家族によって我の世界は潤い家族によって我は感情を動かし家族の笑顔で我もまた笑顔になる。
家族が悲しむことがあればそれを取り除き害を及ぼす者は皆等しくゴミになる。
最愛の妻、最愛の息子、最愛の娘に可愛らしい孫。
愛らしい者に囲まれ笑い会う事がこの世で最大の楽しみ、そして家族に最大の愛を送る事もまた良い。
お互いを愛し尊重しあい一つ屋根のした穏やかに暮らす、たまらなく良い。
母がこの世を去り幸せが壊れたとき、嘆き悲しんだ父が地形を変動させてから数千年。
唯一の妻を見つけ故郷を去りやむを得ず得た国王の肩書きを使い過ごしやすい環境を作り、その中で妻との子供を授かった。
そして増えた家族のために頑張ればまた国が発展する。
妻が笑顔でいられるように富を増やし息子が最適な環境で育てるように財を成す。
家族のためその一心で死ぬほど興味のない地位を少し我慢すれば今日も家族を最大限愛せる、実に素晴らしいことだ。
満ち足りた毎日を謳歌していたある日、故郷に住む父から伝書が飛んで来た。
【息子が出来た】
紙に書かれたその言葉に頭が真っ白になった後、理解が追い付くと母以外に番を得たことに対する沸々と怒りが沸き我は翼を広げ飛び立った。
手紙に書かれた事をそのまま受けとると、我に弟ができたという事だ。
……言葉のままに無垢な赤子であれば慈しみ育て愛そう、何物にも染まらぬ純白な赤子は何よりも庇護し、快く家族に迎えるとも。
だが、我らを騙しくだらん事を企てるような屑であれば消えてもらうしかあるまい。
固い決意を持った、筈だった。
「おおルド! すまんが少し待て! 」
「これは……」
父の住む広大な火山、その火口に降り立った我が目を剥いた先にいたのは火を纏った……少年、いや青年……か?
その横では慌てふためく父がいた。
ここは火山の火口。
どこかからか燃え移ったのか地面につく服の裾から燃え移った炎を白髪の青年は何食わぬ顔で我を興味深そうに見つめている。
「だから、ラグーン!」
「あ、はいはい? 」
「服だ! 服!!」
「へ?」
「へ? じゃない燃えてると言うとるじゃろ!!」
「ん? あー大丈夫ですう」
「大丈夫じゃないから言っとるんだば か た れ!!」
「ちょっと焦げるだけですし」
「……ほれ水!!」
「……あらぁ」
「あらじゃない!」
まるで他人事のように話す彼に普段龍体で過ごす父が人の姿を取り、危機感の欠落した青年を頭から水をかけ消火している……。
理解が追いつかないが、彼については今は良いだろう。
「……父上」
「おお、良く来たルド、少し角が伸びたな」
青年を消火し終えた父がこちらに振り返り古傷のつき年期の入った顔を緩める。
「5ミリ伸びた、で、だ父上……」
「最近はどうだ、もう一人子を授かったと聞いたが体調に変化はないか? 」
「あ、あぁそれは勿論だ、今度連れてくる……そうじゃくてだな、今日は用があって」
「ああそうだルド、最近な、許可なく山に入る輩が多くてな、一々対処するのも面倒だちと厳しく取り締まってくれ」
「あぁ分かった、……それよりもだ父上」
「ん? そういえばその格好……城の装いのまま来たのか」
そうだ、いつもここに来るときは昔のように素朴な服装で来るのだが今回はそんな事を言ってはいられん。
「余裕が無かったからな…、父上よ、子が出来たとはどういう事か説明してくれ、我はそのために来た」
「……あぁ、すまんあの手紙の事か喜びのあまり衝動で送ってしもうたからな、許せ」
のほほんと笑う父を睨み意思を込めて言えば、不思議そうに首をかしげた父は手を叩いた。
「別にその事に対しては怒ってはない……が、父上、父上をを誑かしたという女は何処にいる」
沸々と沸く溶岩の如き感情を抑え低い声を出す。
女。
母の眠る山で不埒にも父を誘惑した者、幸せな空間に投げられた揺らぎ、どんな理由で父がその女を迎え、あまつさえ子を作ったのならば、実の息子である我は怒る権利を持っているはずだ。
過去、妻を陥れようと動いた愚かな女と女の後ろ楯となり力を貸した一族がいた、そのときの妻の悲しむ顔は二度とみたくない、故に、今回もそれと同じようであれば容赦は、しない。
さぁ出てくるがいい。
「おんな?」
「息子ができたと手紙に書いてあっただろう、つまり伴侶となる女がいる筈だ、まったく、父上ともあろう者が母上以外の女を持つとは」
「いないぞ?」
「否定も拒絶もするがとりあえずは一目会わせて……なんだと?」
「おんななんて作ってないぞ? 」
「……は?」
「何をいってるんだお前は」
鼻息荒く腕を組んだ父に開いた口が塞がらない。
「息子が出来たというのは……」
「おんなは作ってないが息子は出来たぞ」
「順序が壊れて……どういうことだ、意味がわからん」
「儂の妻は生涯ただ一人、だが息子は作れるだろう?」
「……さっぱりわからん」
「んー……そうだな、もっとこうシンプルに察してくれれば良いがいかんせんお前は難しく考えるのが悪い癖だ、縦社会に染まって固くなってんじゃないか? 昔のお前はもっとこう素直で」
「うるせぇ親父」
「そう、それだそれ、一人称も儂の呼び方も変えよって……悲しいぞ」
つい昔の言葉遣いで返せば満足げに笑った父が腕を組む。
「ちっ……つまり、どういうことだ」
「つまりだな、とてつもなく愛らしい放っておけない子を見つけてな、半場強引に息子にした」
「法で裁いてやろうかクソジジイ」
「息子が怖いのう……なぁラグーン、お前もそう思うだろ?」
「はぁたくっ……」
理解出来ないことをやっている父に調子を崩され内容もわざわざ飛んでくる必要もない拍子抜けも良いところな代物……心配して損した。
「……で? その哀れな息子、我の弟とやらは何処にいるんだ」
のほほんとした父の様子なら特別警戒することもないだろう、さて一体どんな奴が……ん?
「……ラグーン? ん? おいラグーン? おかしいなさっきここに居た筈 ……ラグーン!?」
段々と顔色が悪くなっていく父が慌てて翼を伸ばし周囲を見渡し火口にできる岩や壁などを探し尽くすと目当てのものは見つからなかったようとぼとぼと我の元へ歩いてくる。
「……父上?」
「ラグーンがどっかいってしもうた……マグマに落ちてたらどうしようルド……」
「知らねえよ」
「儂泣いちゃう」
「……そこらへん探すか」
かなり独特な物であるが、これが我が愛する弟、ラグーンとの出会いである。
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