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九章 亀裂
唯我独尊......いいね?
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大事なのは、自分を保ちつつ流されること。
もっと大事なのは逃げでも攻めでもなく......現状維持への一歩 いっつ平穏、ビバマイペース。
「あ~......っとアルさん?」
「おう」
抱かれ心地イマイチなアリムさんの腕の中絶賛手で顔を覆う体制のまま、僕はアルさんに声をかける。
「なんでここに?」
「なんで、てお前を迎えに来たからに決まってるだろう」
王様に頼まれた口か。
次。
「ダルーダさん」
「なにかな?」
この人には何を聞くか、ここに来た理由は魔王会議の勧誘、これに関して言えばまあ行くってことでいい。
それで......と。
「会議については、迎えに来て頂ければ行きます」
「そうか……何故顔を隠してるんだ?」
「そういう気分です」
「会議たあどう言うことだ」
「後で話すから待ってて」
「大体そこの三つ目の魔族も」
「まってて」
正直どう転んでもめんどくさいのならばそれなりに融通が効くうちに手をうっておこう。
「お、おう......ラグ?」
「なに」
「今もしかしてお前......怒ってる? 」
「怒ってないよ、ちょっとまってて」
「......怒ってるじゃねえか」
何を言ってるのか僕には理解できない、以上、次。
「それでダルーダさん」
「あ、ああ、なんだ?」
指の隙間からダルーダさんを見ればどうしたことか顔をひきつらせている、うむ。
「他になにか大事な用事とかございます?」
「あるにはあるが......無いと言えば無いな」
......次。
「そうですか、アリムさん」
「はい!!」
「声でかいのでもっとちっちゃくしてください」
「......申し訳ございません」
良く通る大きな声は美点だけど今回に限っては耳に毒、静かに。
「それでアリムさん」
「は、はい」
「アリムさんはいつも僕の影に入ってると言いましたわね」
「はいっ、何時いかなるときもマスターの盾となれるようこのアリムマスターの影の中にて待機しております」
「どのくらい聞いてました?」
「は、い?」
ピタリと固まる黒い鎧に重ねて僕は訪ねる。
「僕とダルーダさんの会話、どれ位聞いてましたか?」
「恐らく……全部」
ほう。
「あの事は他言無用で……いいね? い い ね?」
「か、畏まりました……!」
「よろしい」
アルさんが何でここに来たのかを聞き、ダルーダさんからは情報を、アリムさんに釘を刺した。
予防線だけはできた、うむ、満足。
「ラ…ラグーン?」
「なんでございましょう」
「お、怒ってるのか? 」
「いいえ全く」
おや、 ダルーダさんの顔が心なしか白くなってる気がする......気のせいだね!
「………その、なんだ、ラグ」
「待て蛮族、下手に言葉を差すと悪化するぞ」
頬をかいてアルさんが近づいて来ると、立ち上がったダルーダさんが遮った。
「そこどけ、じじい」
「黙れ蛮族、お前の今考えている行動は個人的に気に入らん 実に気に入らん」
あぁ、思考読んだのね......アルさん何しようとしたのかな。
「誰が蛮族だこら、俺はここで何があったか知らねえんだよ、聞く位良いだろ」
「いいや駄目だ、今のラグーンの精神はかなりぐらついて何時暴走するか読めん、却下だ」
「......ん?」
焦ったように言うダルーダさんの背中を眺め僕は違和感を覚え首を傾げる。
「なんでそんな事になってんだよ.....! 」
「......少し揺さぶっただけだ」
「は?」
「あ?」
あ、声被った。
「......は、はは、そのな、ラグーン」
アリムさんの腕のなかムクリと起き上がった僕にぎこちなく振り返ったダルーダさんは歯切れ悪く言った。
「少し、少しだけだぞ? お前と目を合わせた時.....読めたんだ、思考と記憶を......それが嬉しくなってつい......な?」
「.....は?」
何を言ってるのかあまりわからないけど、つまりどういうこと。
「少し恥ずかしいが......ラグーンが抱えていた闇を表に出してみたかったんだ」
.......は?
闇を? 表に? 出してみた?
「お前のその興味深い記憶と屈折しきったドロドロな思考回路.....いい、凄く良い!」
頬を赤く染め手を前に広げたダルーダさんの変わりように固まればふいに手を取られる。
「この瞬間、この時を、救いようのない過去とその記憶を流そうと努力し崩れるか崩れないか危うい今、ラグーンの築く人格がとても、とてもとても......!! 愛い……!」
「…………」
えっと……えっと。
「……うーんと」
上手く返す言葉が思いつかん......ち、がうなこれ。
言葉が通じてないこれ。
「......なに言ってんだこいつ」
アルさんに同意です......はい。
いや、ダルーダさんあなたアルさん止めようとしてたの、ミイラ取りが勝手に自分からミイラになってどうする。
元からミイラか。
呆ける僕に口角を歪にあげたダルーダさんは僕の目線までしゃがむと髪を上に掻き分け額の真っ赤な目を見せる。
「俺の目はこの世全てあらゆる物を見通す、生き物なら思考と記憶を、形あるものなら周囲を含めた過去、そして未来をだ、いつ死ぬか、いつ生まれるか、いつ壊れるか朽ちるか、見ようと思えばこの世界の終わりまでどこまでも見れるだろう」
「【三つ目族の千里眼】ですね」
「ほぉ、それも知っているか」
「えぇ、まぁ.....」
前を少し開くダルーダさんから目を剃らしぞんざいに答える。
ゲーム【フリーダム・リアル・オンライン】の攻略情報の一つ、【三つ目のウィリアス】
昔に絶滅したと言われる未来を見通せる伝説の三つ目族の最後の生き残り。
魔王と言うのはただそれだけでロマンにあふれている、実物はどうあれ、勇者と魔王どっちが好きと言われたら魔王が好きと答える僕は……実物はどうあれ。
それはもう、ライブラリの情報を徹夜で読みふけったとも、覚えてる覚えてる。
「俺の能力が筒抜けなら話が早い……うむ、結論だけ言おう、」
「はい」
「俺の目はお前を見通せない」
「……ええまぁ、そうですよね」
固い声で顔を引き締めるダルーダさんに緩く頷く。
「この【目】で見れば大抵の奴の思考も記憶も読める俺だが、死体だけはどうにもならん、死んでいるからな」
「死んでたら未来もくそもないですからね」
「通常の死体ならそうだ、今までのラグーンもそうだったが……違った」
「……へい」
あれぇ、なんとなく結論が見えてきたぞう。
ダルーダさんの精悍な表情がどんどん崩れていく……。
「お前のアメジストの瞳を見たとき、見えたんだ、あぁやっと言えるこの喜びを……! 有象無象の戯れ言は目に写り好いたものの本心は覗けないなど苦行そのものだろう?」
「いや……みなくていいっす」
あぁーあぁー緊迫した空気がもうデロンデロン……。
「お前が異界の者だろうがなんだろうが好きなことには変わらん、さぁ……! お前の目を見せておく」
「お断りします」
「む!」
蕩けきった表情で伸ばしてきたその手を、勢いよく下に叩き落とす。
「なんだこのロマンチスト......やべーな」
「こじらせてるよね全く……ふふ」
「……ラグ?」
「ふふふふ」
「手を叩くとは全く乱暴だな全くラグーンははは......は?」
にこやかに顔をあげたダルーダさんの表情が瞬時に無に還る。
「はぁもう……吹っ切れましたとも、ふふん」
「……ラグーン?」
「なんでございましょうか?」
「目がその笑ってないが.....怒ったか?」
後ろで腕を組んでるアルさんには後で謝るとして......ふふ、ふふふふ。
「ちょっとばかり、ええ」
難しく考える必要はない、実にシンプルなものだ。
「その、だ、ラグーン」
「なんで御座いましょうか、ふふ!」
「うっ! 」
期待のこもった目のダルーダさんのご希望通り、ジャンクフード店宜しくゼロ円スマイル、はい!
.....いいよね? もう
「その...........スマナカッタ」
「あ”?」
理不尽とか不満とかもやもやとかその他諸々ひっくるめて。
いいよね? 一回位思考放棄して怒り狂っても、脇目もふらず泣きじゃくっても。
☆☆☆
読んでいただきありがとうございます
もっと大事なのは逃げでも攻めでもなく......現状維持への一歩 いっつ平穏、ビバマイペース。
「あ~......っとアルさん?」
「おう」
抱かれ心地イマイチなアリムさんの腕の中絶賛手で顔を覆う体制のまま、僕はアルさんに声をかける。
「なんでここに?」
「なんで、てお前を迎えに来たからに決まってるだろう」
王様に頼まれた口か。
次。
「ダルーダさん」
「なにかな?」
この人には何を聞くか、ここに来た理由は魔王会議の勧誘、これに関して言えばまあ行くってことでいい。
それで......と。
「会議については、迎えに来て頂ければ行きます」
「そうか……何故顔を隠してるんだ?」
「そういう気分です」
「会議たあどう言うことだ」
「後で話すから待ってて」
「大体そこの三つ目の魔族も」
「まってて」
正直どう転んでもめんどくさいのならばそれなりに融通が効くうちに手をうっておこう。
「お、おう......ラグ?」
「なに」
「今もしかしてお前......怒ってる? 」
「怒ってないよ、ちょっとまってて」
「......怒ってるじゃねえか」
何を言ってるのか僕には理解できない、以上、次。
「それでダルーダさん」
「あ、ああ、なんだ?」
指の隙間からダルーダさんを見ればどうしたことか顔をひきつらせている、うむ。
「他になにか大事な用事とかございます?」
「あるにはあるが......無いと言えば無いな」
......次。
「そうですか、アリムさん」
「はい!!」
「声でかいのでもっとちっちゃくしてください」
「......申し訳ございません」
良く通る大きな声は美点だけど今回に限っては耳に毒、静かに。
「それでアリムさん」
「は、はい」
「アリムさんはいつも僕の影に入ってると言いましたわね」
「はいっ、何時いかなるときもマスターの盾となれるようこのアリムマスターの影の中にて待機しております」
「どのくらい聞いてました?」
「は、い?」
ピタリと固まる黒い鎧に重ねて僕は訪ねる。
「僕とダルーダさんの会話、どれ位聞いてましたか?」
「恐らく……全部」
ほう。
「あの事は他言無用で……いいね? い い ね?」
「か、畏まりました……!」
「よろしい」
アルさんが何でここに来たのかを聞き、ダルーダさんからは情報を、アリムさんに釘を刺した。
予防線だけはできた、うむ、満足。
「ラ…ラグーン?」
「なんでございましょう」
「お、怒ってるのか? 」
「いいえ全く」
おや、 ダルーダさんの顔が心なしか白くなってる気がする......気のせいだね!
「………その、なんだ、ラグ」
「待て蛮族、下手に言葉を差すと悪化するぞ」
頬をかいてアルさんが近づいて来ると、立ち上がったダルーダさんが遮った。
「そこどけ、じじい」
「黙れ蛮族、お前の今考えている行動は個人的に気に入らん 実に気に入らん」
あぁ、思考読んだのね......アルさん何しようとしたのかな。
「誰が蛮族だこら、俺はここで何があったか知らねえんだよ、聞く位良いだろ」
「いいや駄目だ、今のラグーンの精神はかなりぐらついて何時暴走するか読めん、却下だ」
「......ん?」
焦ったように言うダルーダさんの背中を眺め僕は違和感を覚え首を傾げる。
「なんでそんな事になってんだよ.....! 」
「......少し揺さぶっただけだ」
「は?」
「あ?」
あ、声被った。
「......は、はは、そのな、ラグーン」
アリムさんの腕のなかムクリと起き上がった僕にぎこちなく振り返ったダルーダさんは歯切れ悪く言った。
「少し、少しだけだぞ? お前と目を合わせた時.....読めたんだ、思考と記憶を......それが嬉しくなってつい......な?」
「.....は?」
何を言ってるのかあまりわからないけど、つまりどういうこと。
「少し恥ずかしいが......ラグーンが抱えていた闇を表に出してみたかったんだ」
.......は?
闇を? 表に? 出してみた?
「お前のその興味深い記憶と屈折しきったドロドロな思考回路.....いい、凄く良い!」
頬を赤く染め手を前に広げたダルーダさんの変わりように固まればふいに手を取られる。
「この瞬間、この時を、救いようのない過去とその記憶を流そうと努力し崩れるか崩れないか危うい今、ラグーンの築く人格がとても、とてもとても......!! 愛い……!」
「…………」
えっと……えっと。
「……うーんと」
上手く返す言葉が思いつかん......ち、がうなこれ。
言葉が通じてないこれ。
「......なに言ってんだこいつ」
アルさんに同意です......はい。
いや、ダルーダさんあなたアルさん止めようとしてたの、ミイラ取りが勝手に自分からミイラになってどうする。
元からミイラか。
呆ける僕に口角を歪にあげたダルーダさんは僕の目線までしゃがむと髪を上に掻き分け額の真っ赤な目を見せる。
「俺の目はこの世全てあらゆる物を見通す、生き物なら思考と記憶を、形あるものなら周囲を含めた過去、そして未来をだ、いつ死ぬか、いつ生まれるか、いつ壊れるか朽ちるか、見ようと思えばこの世界の終わりまでどこまでも見れるだろう」
「【三つ目族の千里眼】ですね」
「ほぉ、それも知っているか」
「えぇ、まぁ.....」
前を少し開くダルーダさんから目を剃らしぞんざいに答える。
ゲーム【フリーダム・リアル・オンライン】の攻略情報の一つ、【三つ目のウィリアス】
昔に絶滅したと言われる未来を見通せる伝説の三つ目族の最後の生き残り。
魔王と言うのはただそれだけでロマンにあふれている、実物はどうあれ、勇者と魔王どっちが好きと言われたら魔王が好きと答える僕は……実物はどうあれ。
それはもう、ライブラリの情報を徹夜で読みふけったとも、覚えてる覚えてる。
「俺の能力が筒抜けなら話が早い……うむ、結論だけ言おう、」
「はい」
「俺の目はお前を見通せない」
「……ええまぁ、そうですよね」
固い声で顔を引き締めるダルーダさんに緩く頷く。
「この【目】で見れば大抵の奴の思考も記憶も読める俺だが、死体だけはどうにもならん、死んでいるからな」
「死んでたら未来もくそもないですからね」
「通常の死体ならそうだ、今までのラグーンもそうだったが……違った」
「……へい」
あれぇ、なんとなく結論が見えてきたぞう。
ダルーダさんの精悍な表情がどんどん崩れていく……。
「お前のアメジストの瞳を見たとき、見えたんだ、あぁやっと言えるこの喜びを……! 有象無象の戯れ言は目に写り好いたものの本心は覗けないなど苦行そのものだろう?」
「いや……みなくていいっす」
あぁーあぁー緊迫した空気がもうデロンデロン……。
「お前が異界の者だろうがなんだろうが好きなことには変わらん、さぁ……! お前の目を見せておく」
「お断りします」
「む!」
蕩けきった表情で伸ばしてきたその手を、勢いよく下に叩き落とす。
「なんだこのロマンチスト......やべーな」
「こじらせてるよね全く……ふふ」
「……ラグ?」
「ふふふふ」
「手を叩くとは全く乱暴だな全くラグーンははは......は?」
にこやかに顔をあげたダルーダさんの表情が瞬時に無に還る。
「はぁもう……吹っ切れましたとも、ふふん」
「……ラグーン?」
「なんでございましょうか?」
「目がその笑ってないが.....怒ったか?」
後ろで腕を組んでるアルさんには後で謝るとして......ふふ、ふふふふ。
「ちょっとばかり、ええ」
難しく考える必要はない、実にシンプルなものだ。
「その、だ、ラグーン」
「なんで御座いましょうか、ふふ!」
「うっ! 」
期待のこもった目のダルーダさんのご希望通り、ジャンクフード店宜しくゼロ円スマイル、はい!
.....いいよね? もう
「その...........スマナカッタ」
「あ”?」
理不尽とか不満とかもやもやとかその他諸々ひっくるめて。
いいよね? 一回位思考放棄して怒り狂っても、脇目もふらず泣きじゃくっても。
☆☆☆
読んでいただきありがとうございます
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―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
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俺は今日も、規格外に育った野菜を手に、皆の姿を眺めている。
【毎日18:00更新】
※表紙画像はAIを使用しています
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