生産チートの流され魔王ののんびり流されライフ

おげんや豆腐

文字の大きさ
142 / 183
十章 緩やかに劇的に

心は受け入れる

しおりを挟む
胸がぽかぽかとするようなちょっと満たされていくこの安らぎ……間違いなくこの気持ちは好意なんだろうけど。

この感情に名前を付けるのは……後でいいや。

軍服のジャケットを脱いで灰色のタンクトップのアルさんに目一杯抱きついて大きくて慣れ親しんだ胸に頭を押し付け目を閉じる


「おぉ? 今日は甘えたがりなんだな」
「うむ、ちょっと気持ちが落ちてるから休む」
「……可愛いじゃねえか」
「ノーコメントで」
自分に気持ちに正直になる。

これ大事っていうのはわかるんだけど、いまいち踏ん切りと言うものがつかない。

率直に、簡潔に言えば僕はアルさんの事が好き、無意識に体を預けられる位…・大好きだ。
これが恋愛かと問われたらまだ首を捻る……まぁでもちょろい僕にはそれだけで十分懐ける。

なにより、形はあれだけどアルさんはとても優しい。
強引だけど加減と言うか手心が加えられた強引さで今思うとあれが……無いか。



「ねーアルさん」
「んー?」
「えっとねー、……何喋ろうとしてたんだっけ」
「それは知らんが……その状態で喋るのか」
頭撫でられ背中ポンポンされ思いの外多い絶大な包容力を味わっている僕は深く考えずに声を出す。

逞しい胸に頭当てて喋ればまぁ……くぐもった声になるよね。

「んー、居心地が良いから」
「そうかい……で、なんだ?」
「んーと」
なんか大事なこと言おうと思ってたんだ、なんだっけ。
えーっと。

うん、

「まぁいいや」
「いいのかよ」
「うん、んじゃ別の聞いて良い?」
「おうよ」
ゆっくりと顔をあげた僕は緩く笑うアルさんを見た。

「王様が慌てていたようだけどそれって解決したの?」
ダルーダさんとか王様が言ってた話題……お城が大変な事になってるんだだっけ?

「大丈夫だ」
「いやでも王様が…」
「大丈夫だ」
「……一大事なんじゃ」
「大丈夫だ……多分」
「解決してないんだね」
不安しかないんだけど

「気にするな、ラグには関係ねえ」
「ほんとぅ?」
「おう」
「竜王がどうのと言ってたけど……」
「……割りと知ってるんだな」
半目でじっとアルさんを見ると気まずそうに苦笑いをする。   

「まぁね、事情とか簡単な事くらいは教えてよ」
「ん~……」
「おーしーえーて~」

抗議の意を込めて唸るアルさんの頬をつつけばその手を取られる。
「 くすぐってぇ」
「教えてくれなきゃ今度は……」
「今度は?」
「耳引っ張る」
叩いたりつねったりしても素で固いアルさんには効かない、だからと言って変な方法を取るのもめんどくさい。

その結果残るのはささやかな嫌がらせ未満のなにかとなる。

「あと一分以内に言ってくれないと寝るよ」
疑問をもってみたは良いけど精神的な疲労でちょっとうとうとしてたんだよね?

ん? アルさんの顔が近いような……。

「だぁくそっ」
「へぶっ」
「可愛いい事すんじゃねえよ、犯すぞ」
「……ふへ?」
確認しようと目を凝らした瞬間強い力で抱き締められ胸に顔をぶつける、頭をよじって顔を拘束を抜けアルさんを見て間抜けな声をあげればにやけたアルさんと目が合った。

「なんだ……なんだ今の声……可愛い 」
「……えー」
「無自覚ってこえーよな」
「何が? へぁ 」
「こんな柔くて可愛くて、無防備なようで固くて」
「ふぇ?」
僕の頬を大きな掌で包みむにむにと触ってツラツラと言葉を並べるアルさん、ちょっと怖い。


「甘やかしたくていじめたくて、生活の全てを俺無しじゃできねえような体にしてぇしお帰りなさいと笑顔で出迎えられて上手い飯を食いてえ願望もある」
何言ってるのこの人。

「……む?」
怪訝な顔でアルさんを見れば真っ直ぐな目を返されたじろぐ。

「可愛い……いや、もっとだ、なんだ……なんだこの気持ちは」
「……アルさん?」
「ラグからすれば意味わかんねぇだろうが、これ全部ラグに対する気持ちだ」
「……む」
気持ちとな。

言葉の代わりに声を出した僕にそれまで真剣な顔をしていたアルさんは嬉しそうに笑う

「愛してるや好きと散々言っちゃいるがいまいち響いてねえだろ?」
「否定は出来ない」
「今も実感は沸いてねえだろうがそれで良い、のんびり…ゆっくりと馴染んでくれ」
「……むー」
馴染んでるかないかはともかく好感度は上がってるけど……んー。

「思いが通じあって式を上げて、そしたらのんびりと暮らそうぜ」
「まぁ、うん……善処はする」
「約束だからな?」
「……へへっ」
がしがしと頭を撫で満足気に笑うアルさんに吊られて僕の口もにやける。

そして首を上げるのに疲れた僕はまたアルさんの胸に頭を預け目を瞑る。

あぁ……ゆったり……。

「……幸せだな」
「んー」
僕の背中に手を置いたアルさんが染々と言い、もう一つの手で僕の髪の毛をかき混ぜる。


「所で、龍王の話聞いてないんだけど」
「……ここでそれ聞くか?」
「うやむやなままだと気持ち悪いし……駄目?」
流されはされるけど大事な所は抑えるよ。

「……いいぜ」
最後は諦めたように言ったアルさんにもぞもぞと動いた僕は顔をあげにっこりスマイル。

「アルさん大好き」
「くっ……俺もだ! 」
「ぐえっ!」
笑うと抱きつかれる事に関して不服なり……。



★★★

読んでいただきありがとうございます。
のんびりとですが楽しく描いてます(=゚ω゚=)





しおりを挟む
感想 181

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜

春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、 癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!? トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。 彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!? 
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて―― 運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない! 恋愛感情もまだわからない! 
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。 個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!? 
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする 愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ! 月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新) 基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります。   ※(2025/4/20)第一章終わりました。少しお休みして、プロットが出来上がりましたらまた再開しますね。お付き合い頂き、本当にありがとうございました! えちち話(セルフ二次創作)も反応ありがとうございます。少しお休みするのもあるので、このまま読めるようにしておきますね。   ※♡、ブクマ、エールありがとうございます!すごく嬉しいです! ※表紙作りました!絵は描いた。ロゴをスコシプラス様に作って頂きました。可愛すぎてにこにこです♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている

迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。 読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)  魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。  ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。  それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。  それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。  勘弁してほしい。  僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

異世界スローライフ希望なのに、女神の過保護が止まらない

葉泪秋
ファンタジー
HOTランキング1位感謝です!(2/3) 「小説家になろう」日間ランキング最高11位!(ハイファンタジー) ブラック企業で過労死した俺、佐久間遼。 神様に願ったのは、ただ「異世界で、畑でも耕しながらのんびり暮らしたい」ということだけ。 そうして手に入れた、辺境の村での穏やかな日々。現状に満足し、今度こそは平穏なスローライフを……と思っていたのだが、俺の妙なスキルと前世の社畜根性が、そうはさせない。 ふとした善意で枯れた井戸を直したことから、堅物の騎士団長やら、過保護な女神やらに目をつけられることになる。 早く穏やかに暮らしたい。 俺は今日も、規格外に育った野菜を手に、皆の姿を眺めている。 【毎日18:00更新】 ※表紙画像はAIを使用しています

処理中です...