生産チートの流され魔王ののんびり流されライフ

おげんや豆腐

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十章 緩やかに劇的に

★龍の家族★

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岩盤の側に青年の持ち物であろうピッケルが落ちていた事で母が亡くなった時のような落ち込み方をする父を慰めた次の日。

後味の悪いフラグ雰囲気にに辟易としている我らの前に青年が現れ父が歓喜したことは記憶に残っている。


弟の名はラグーン。

父の抱擁を嫌そうな雰囲気を出しつつも受け入れる謎の多い魔族の少年。
狡猾、残忍、その上地味に力の強い魔族にしては大変珍しく非力で非凡な愛する我らが認めた愛する家族。
自分の器よりも少し大きい欲を持ち、浅はかで可愛げのある嘘をつくいじらしい少年を早速国に招き歓迎した。

彼を妻と子達に紹介すれば意外にも上々の礼儀を見せるラグーンに更に好感が高まり、珍しい鉱石や美味な料理を振る舞ってくれた。

騒ぎそうな家臣を黙らせ、嬉しくも増えたかけがえのない至宝に愛を囁く。


可愛い可愛い弟、愛らしい弟、小さな小さな弟、無表情ながら恐ろしい行動力を見せる我が弟、弟、弟。

非常に残念に思うのは彼を赤子の頃から接し愛せなかった事と言葉と仕草では喜んでいようと顔の表情が皺ひとつ動かない事だがそれに関しては本人か「あっぷでーとがまだみたいなので」と少し不明なことを申したが些細、あまりにも些細な事。

龍は家族を何よりも優先し、何よりも尊重し、何者からも守り、何よりも愛す。

それは例え父の強引な契約で結ばれた義理の弟であろうと関係ない。

寧ろ淡く脆く微少な魔力しか持たない弟は守らなければ野垂れてしまうだろう、故に囲う準備を整えその傍らで愛し続け二年。

少しずつ魔力を高め成長する弟を見守り続け外に出る必要のない暮らしやすい城を建て驚かせようと画策したたタイミングで月に一度は顔を見せていたラグーン姿を見せなくなった。

1ヶ月、なにかの作業に没頭しているのだろう。

2か月、余程時間のかかる物なのだな。

4ヶ月、大丈夫だ、無下に弟を縛るほど兄の心は狭くない。

8ヶ月、………捜索を出さねば。

1年と4ヶ月、2年と8ヶ月、5年、10年、20年、
40、80……200、500年。
  
龍の生としては瞬きの時間、だとしても家族が消えた時間としては取り返しのつかない期間。
大陸全体に部下を派遣し、他大陸へも伝手を使い捜索したが、情報の一つも掴めず今や家族以外の前では激情のあまり魔力が溢れ暴走を抑えていた時、遠方の国より弟の姿と酷似した者がいると聞き、あらゆる用事を後に回し翼を広げた。


白い髪と胸より下の身長の弟、魔族にしても人間にしても珍しいその姿がいたのはほんの一欠片の問題から発展した戦争の末に広がった大国センブレル。

民より賢王と慕われ、臣下からは政治と感情を切り離し冷静で合理的な指示を出す恐ろしい上司、そしてなによりも特徴的な要素は、身内には大層甘い。

100年以上も前から共に国を発展させた大将軍達と、自らの子孫達には感情を露にすると聞く、実に共感のできるこの件が無ければ有意義な意見交換ができた事だろう、実に残念だ。

国王イウァン、大将軍兼参謀ミネルスと外交官ナパス、軍の中枢を担うアイデン、そして人間として惜しい力を持つアルギス。

一騎当千、それ以上の力を持つ彼等を相手するのは実に面倒だ。

ラグーンは一体何処にいるか、街か、外か、笑顔で過ごしていればよいが……そういえば、大将軍のエルフは極度の魔族嫌いと聞く。


……綺麗に栄えた大国を滅ぼす事にならなければいいが。




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