アサシンの僕と魔導師のオレが融合した結果〜銀髪美少女の幼馴染と行く異世界漫遊記〜

ティムん

文字の大きさ
12 / 94
第一章 幼少期

第十二話 属性眼

しおりを挟む
「今の……私が……?」

 ポツリとセリアの声が響く。

 そっか。僕はあんな強力な魔法をソルがあっさりと消したことに驚いていたけど、セリアは自分があんなに強力な魔法を使えるなんて思って無かったから、そこに驚いているんだろう。

「勘違いすんなよ。今のは魔法とは呼べねぇ。キチンと自分で制御して、やっと魔法と呼べるんだ。……あぁ? テメェセリア、目どうした?」

 ソルに言われて気づく。セリアの目は元々青色だったはずなのに、今は翡翠色に変化している。

「目……?」
「まさかな……次は土属性の魔法を使え」

 ソルはセリアにそう命じた後、僕に教えてくれた適切な魔力量をはかる方法をセリアにも教えていた。

「じゃあ教えた通りにやってみろ。そうすりゃ制御出来るはずだ」
「ん……」

 セリアは拳ほどの大きさの土の塊を発生させた。さっきの魔法とは違い制御出来ているようで、自分の周りをくるくると回らせて遊んでいた。

「オレの気のせいか……それともこの程度じゃまだ出ねぇのか……。おい、魔力はどれだけ残ってる?」
「……半分?」
「それだけあれば多分いけるだろ。残りの魔力ほとんど全部使って土魔法使ってみろ」
「……? わかった」

 小首を傾げつつもセリアは素直に指示に従う。相当な魔力を使うからか、しばらく目をつぶって集中しているようだった。数十秒経ち、目を開くとセリアの目の前に巨大な岩が現れ、前に倒れ込んだ。

 巻き上げられた砂埃を僕が風魔法で散らすと、セリアが少し目を見開いていた。

「やっぱりか……チッ」

 ソルの舌打ちの意味は僕にもわかった。セリアの目の色は琥珀色・・・に変化していたのだ。

『ねぇ、ソル。これって――』
「あぁそうだ。十中八九、だろうな」

 そう、セリアの目の色の変化は属性眼と全く同じなのだ。まだ風魔法と土魔法しか試していないとはいえ、魔法を使った後で目の色が変化するのは属性眼くらいしかない。

『魔王だけが使えたっていうヤツだよね』
「あぁ。まさか人族で発現するやつがいるとはな……」
『これ、不味いよね』
「あぁ? 何がだ?」
『普通の人は属性眼は魔王しか使えないって思ってるわけでしょ? だったらセリアは恐れられるんじゃ……』

 恐れられるだけではなく、迫害され、最悪殺される可能性もあるだろう。
 人とはただでさえ自分と違うものを怖がる生き物だ。なのにそのうえ、恐怖の象徴である魔王の特徴を持つとなると――

「それの何が問題だ? あのガキはお前と無関係じゃねぇか。あのガキがどうなろうと、お前には関係ない。そうだろ?」
『そうだけど、全く見知らぬ仲ってわけじゃないんだ。見て見ぬふりはできないよ』
「けっ、お人好しが。言っとくがこっちの世界はお前の世界とは違うんだ。そんな考えで色んなことに首を突っ込んでたら、死ぬぞ」
『うん、肝に銘じとくよ。それでもこの考えは捨てられない。命を奪う仕事、アサシンに生まれたからこそ、助けられる命は助けたいんだ』

 それが、命を奪ったことのある僕の義務のようなものだろう。贖罪という訳では無いけれど、そうしないと僕が僕ではなく、殺人鬼になってしまう気がするから。

「チッ、めんどくせぇヤツだ」
『ごめんね、ソルには迷惑をかけるよ』

「……? ソーマと話してる……?」

 僕とソルが話しているとセリアが声をかけてきた。
 セリアの目の色はもう元に戻っているようで、綺麗な青の目だった。

「あぁそうだ。テメェの眼について話してたんだよ」
「眼……?」
『ソル、ここからは僕が説明するよ』

 そう言い僕はソルと入れ替わる。

「うん、セリアの眼には少し問題があってね」
「……ソーマ……?」
「うん、セリアの眼については僕が説明するよ。セリアの眼はね、属性眼と呼ばれる物らしいんだ」
「属性眼……?」

 反応からして、セリアは属性眼のことを知らないようだ。

「そう、属性眼。とても強い魔法が使える人の眼は属性眼になってしまうんだ。それでね、属性眼っていうのは魔法を使った時にその属性の色に眼の色が変化してしまう眼のことなんだ」
「セリアの眼……色変わる……?」
「そうだよ。今は元に戻っているけど、さっきまでセリアの眼は琥珀色になってたんだ」
「……土魔法使ったから……?」

 セリアは賢いようで、僕の話をしっかり理解しているようだった。

「うん、その通り。でもね、この属性眼はね、持っている人が魔王しかいないんだ。だから属性眼は決して悪いものじゃないのに皆に怖がられてしまうんだ」

 流石に小さな女の子を怯えさせることは出来ないので、少しぼかして説明する。迫害されるなんて言えないしね。

「それは……嫌……」
「そうでしょ? だからこの眼の事は僕達だけの秘密にしよう」
「……嫌……」

 返ってきたのは僕の予想に反して、拒否する言葉だった。

「……どうしてかな?」
「魔法……パパとママに見せたい……」

 そうか、それが魔法を覚えたい理由だったのか。

(ソル、属性眼を使わないように魔法を使う方法ってないの?)
『あるぞ。だが魔法を完璧に制御する必要があるから難易度が高い。しかも威力が落ちる』
(それでもいいから教えてあげてよ)
『チッ、めんどくせぇが約束だからな。仕方ねぇ』

 ソルは意外と優しいのかな? 魔法を教えるようには頼んだけど、今回のはその範囲外だろうに……

「セリア、属性眼を使わずに魔法を使う方法があるみたいなんだ」
「……パパとママに魔法見せれる……?」
「そうだよ。ただその方法はとても難しいんだ」
「それでもいい……頑張る……」
「そっか。それじゃあ教えてあげるよ。って言っても教えるのはソルなんだけどね」

 僕がそう言った時、セリアのお腹から、きゅぅぅと可愛らしい音が響いた。

「ははは、もうお昼だもんね。母さんがセリアと一緒に食べなさいってサンドイッチを作ってくれたんだ。一緒に食べよう」
「ん……」

 僕達はソルに頼んで作ってもらった石で出来た椅子に座り、サンドイッチを食べる。

 サンドイッチは甘辛いタレで炒めた牛肉とシャキシャキとしたレタスを挟んだものや、蜂蜜をかけた果物を挟んだデザートまであった。

「ん……美味しい……」

 セリアは少しだけ顔を綻ばせる。そして凄い勢いでサンドイッチを食べ尽くす。食べ終わったあとは自分の手をじっと見つめる。
 結構な量があったはずだが、セリアは少し物足りないようだ。

「……セリア、僕の分も食べる?」

 いつも無表情なセリアが美味しそうに食べていたのがなんだか嬉しくてセリアにサンドイッチを差し出す。

「……いいの……?」
「うん、セリアは今日頑張ったからね。そのご褒美だよ」
「……ありがと……」

 セリアは少しはにかむと、今度はゆっくり味わうようにサンドイッチを食べる。僕はセリアが食べ終わるまでその様子を眺めていた。

 食べ終わると今度は僕の魔法の練習をする。セリアはしばらく見学だ。

 今日は無属性魔法の身体強化を試してみようと思う。《魔道の極め方》によるとイメージは体に流れる魔力の量を意図的に増やし、その魔力を体に与えていく感じらしい。他の魔法とは違い、魔力を一箇所に集め、属性を変える必要はないらしい。

「よし、やってみようか」

 体に流れる魔力の量を増やし、その魔力が毛細血管に流れる血液のように体のあらゆるところを巡っていき、細胞の一つ一つに力を与えていくのを想像する。すると体がじんわりと温かくなり、力がみなぎってくる。

「……できたのかな?」

 魔法が成功したのかを確かめるために、軽くジャンプしてみる。すると五メートルはあるであろう木を軽々と超えてしまった。

『……相変わらず規格外な野郎だ』

 ソルに呆れたように言われてしまった。セリアの方を見ると、わかりづらいが少し口が開いているので驚いているようだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」 気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。 しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。 「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。 だが……一人きりになったとき、俺は気づく。 唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。 出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。 雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。 これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。 裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか―― 運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。 毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります! 期間限定で10時と17時と21時も投稿予定 ※表紙のイラストはAIによるイメージです

処理中です...