アサシンの僕と魔導師のオレが融合した結果〜銀髪美少女の幼馴染と行く異世界漫遊記〜

ティムん

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第一章 幼少期

第十三話 氷の人形

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「規格外って……本に書いてあったとおりにやっただけだよ?」
『はぁ……使ってる魔力量が桁違いだし、魔力の巡らせ方が異常だ。どれだけ細かく巡らせてんだよ』

 あぁなるほど。毛細血管をイメージしたのが原因なのか。

「それって何かデメリットとかある?」
『いや、特にはねぇな。だが維持するのがその分大変だぞ?』
「そうかな? 特に大変だとかはないけど……」
『そういうのが規格外だって言ってるんだがな……』

 規格外だって言われてもね……規格外っていうのは父さんみたいに岩を素手で割るような人のことでしょ? 僕がそんなレベルに達してるとは到底思えないんだけどね。

「まぁそれは置いといて……強化魔法って元々の身体能力を上げるものだから、元の身体能力が高いとそれだけ効果が高くなるんだよね」
『あぁそのとおりだ』
「やっぱり鍛えたほうがいいのかな……でもそれだと身長がね……」
『あぁ? 何の話だ?』
「いや、小さい頃から無理な筋トレとかをすると、背が伸びなくなるって聞いたことがあるんだよ。前世では背が低いのがコンプレックスだったから、今回こそ高身長を手に入れたいんだよ!」
『くだらねぇな。それにオレの知り合いにガキの頃から馬鹿みてぇに鍛えてたやつがいるが、背が低いだなんてことはなかったぞ?』
「ほんと? こっちじゃ違うのかな。そういえば父さんも同じように子供の頃から鍛えてたはずなのに、背は高かったもんな……それじゃあ今日から鍛えよっと」

 前世ではいつも体に重りつけて鍛えてたんだけど、重りなんか無いよね……魔法を使ってみようか。重さがあればいいから、土魔法かな? 土を凝縮して体に纏わせればいけるかも。

 っと、その前に

「わかってるかもしれないけどソルと話してたんだ。ほったらかしにしてごめんね、セリア」

 僕の言葉にセリアは首を横に振る。だがその目は少し不満げに見えた。いや、僕の罪悪感からそう見えるだけで本当は怒ってないのかもしれない。
 それくらい彼女の表情はわかりにくかった。

「今からまた魔法を試すけど、驚かないでね?」

 僕はセリアにそう言うと自分を覆うように土の塊を生み出す。そしてそれを圧縮し動きを阻害しないように顔以外の部分につける。

 重さは使った土の量からみて五十キロくらいかな。

「よしっ、完成っと。んー動きに問題は無いね。ただ、思った以上に軽いね。強化魔法のせいか。でも強化魔法を維持するのも訓練になるし……もっと重みを足そうか」

 僕はさっきの三倍ほどの土を生み出し、圧縮してさっき作った土の重りにくっつける。

「お、いい感じ。このくらいの重さじゃないとダメだよね」
『このッ馬鹿が! 何やってやがんだ! 体が潰れるかと思ったぞ! 』

 めまいが起きるほど大きな声が頭に響く。

「え? このくらい普通でしょ? 前世じゃこれよりもっとキツかったよ?」
『はぁ、どんな訓練をしてきたんだよ、お前……』
「まぁ、それは今度話すよ。それにしても、いくら小さくしたとは言っても土を纏ってたら目立つよね。指輪と同じように闇魔法で隠そうか」

 指輪の時と同じように重りを隠す。

「後は、風魔法使って低酸素状態を作り出す、とか出来るかな?」

 イメージは口の周りに風の結界のようなものを作って、その中の酸素を減らすイメージだ。出来るかどうかわからないけど、試してみよう。

「ぐっ、せ、成功したみたいだね。結構つらいな、これ」
『今度はどんな馬鹿やったんだ?』

 馬鹿って酷いな。というか、ソルにこの辛さが伝わってないってことは――

「もしかして感覚の共有切ってる?」
『そりゃな。こんなふざけた訓練付き合ってられねぇからな』
「あはは、ごめんごめん。今やってたのは酸素、あーこれだとわかりにくいかな。空気を減らしてたんだよ。こうすることで体力がつくんだ」
『ってことは常に息苦しい状態ってわけか……』

 ソルと話していると服を引っ張られる。引っ張られた方を見ると、セリアが僕の服をつまんでいた。

「ごめん、またほったらかしにしちゃってたね。セリアにもソルの声が聞こえればいいのにな……ソル、何か方法ない?」
『そうだな……お前とそのガキに魂の繋がりが出来れば可能かもしれねぇな』
「魂の繋がり? それが僕とセリアにできればソルの声がセリアにも聞こえるの? どうすれば出来るの?」

 魂の繋がり……魔法で作れるのかな?

『魂と魂が繋がった時に子供を授かると言われている。逆に言えば子供ができるようなことをすれば魂が繋がるわけだ』
「え、そ、それって!?」
『子作りすりゃあいいんだよ』
「え!? な、何言ってるんだよ! そんなの出来るわけないだろ!?」

 びっくりしたぁ。あー多分僕の顔、赤くなってるんだろうな……

「ソーマ……? 方法……あった?」
「いや、その、あったことはあったんだけど、無理かな?」
「どんな方法……?」

 聞かれるだろうとは思ったけど答えられないなぁ。

「えーと、セリアにはまだ早いかな」

 僕がそう言うと、セリアは黙りこくった。

 これは怒ってるのかな……

「ほ、他の方法方法探そうよ。そうだな……あ! 筆談なんてどうかな? 魔法で書けば大して手間じゃないだろうし」
『なるほどな。ちと面倒だが……』

 ソルはそう言ったあと水の魔法を使った。ソルによって生み出された水が

〈これでいいのか?〉

 という文字をかたちどった。

「うん、しっかり書けてるよ。あ、でもセリアは読めるのかな」
「読める……これでいいのか……だよね……」
「すごいね! もう字が読めるんだ」
「別に……大したことない……」

 セリアは少し俯く。照れてるのかな?

「そんなことないよ。すごいことだよ! どうやって覚えたの?」
「本……読んでたら……覚えた」

 読んでたら覚えたって……セリアは天才ってやつなのかもしれないね。

〈話はもういいか? とりあえず読めるんだったらそれでいい。魔法の訓練もこのやり方で指示すればいいな〉

 水がスラスラと文字を描く。結構長い文だけど、完成までに大した時間もかからなかった。これなら会話に不都合はないね。

「どうして? 僕と代わったほうがやりやすいでしょ?」
〈あのなぁ、交代すればお前の訓練を受けるハメになるんだ。体が潰されそうになり息苦しくなるんだろ? そんなのお断りだ〉
「あぁそっか……ごめん」
〈ホントに迷惑な野郎だぜ〉

 ソルとそんなふうに話していると、セリアが僕の服を引っ張ってきた。

「魔法……練習……」
「えーと、魔法の練習がしたいの? でもセリアはもう魔力ないんだよね?」

 さっきの魔法でほとんど使い果たしたからね。魔力が無いのに練習ってどうすればいいんだろ……

〈魔力をほとんど使わない練習もあるぞ〉

 僕が悩んでいると、ソルが解決策を出してくれた。

〈魔法の緻密な制御の練習なら、魔力はほぼ使わねぇ〉
「教えて……早く魔法……使いたい……から……」

 魔法自体は使えるので、属性眼を使わずに、という事だろう。
 できるだけ早く両親に見せたいんだろうな。
 褒められたいからかな? いや、それにしては少し積極的すぎる。感情の薄いセリアがここまで強く言ってくるんだ。なにか他に理由があるのかもしれない。

〈魔法を自分の思いどおりに操る練習をすればいいんだ。具体的には魔法で人形を作ったり、複雑な動きをさせたりすればいい〉
「わかった……」

 セリアは教えて貰った練習法を早速試すようだ。手の平の上に氷の人形を生み出した。だがそれは人の形をしているというだけで、人形というにはあまりにも不格好だった。

「むぅ……」

 セリアはその結果が不服そうだった。

〈ま、最初にしては上出来な方だろ。まだまだだがな〉

 ソルの言葉でやる気を出したのか、セリアは何度も人形を作り直していた。

「僕も試してみよっと」

 僕はセリアと同じように、手の平の上に氷の人形を生み出そうとする。イメージは前世のフィギュアだ。船を擬人化したゲームで、好きだったキャラのフィギュアを思い浮かべながら魔法を発動する。

 だが、出来上がったのは想像とはかけ離れた、人のようなナニカだった。

「結構難しいな、これ……」
〈その練習を続けてりゃ、そのうち制御は上達するぜ。強力な魔法を使う時の制御とはまた別だから違う練習が必要なんだが……それはまた今度だな〉

 僕とセリアはそのまましばらく人形を生み出し続けていた。
 日が暮れる頃には結構上達していて、出来の悪いデッサン人形レベルなら作れるようになった。デッサン人形とはいってももちろん、関節なんかは上手く作れないので腕が曲がったりはしない。あくまで形だけだ。

「ふぅ、今日はここまでにしとこうか。日も暮れてきたしね。セリアはどのくらい上手くなった?」

 僕がそう聞くとセリアが人形を手にちょこんと乗せ、僕の方に差し出してきた。

「凄いねセリア! もしかしてこれ僕?」

 セリアの手の上にはデフォルメされた男の子の人形があった。髪型からして恐らく僕だろう。僕の作った人形とはかなりのクオリティの差があった。

「うん……」

 セリアはこくりと頷いた。だが一向に手を引っ込める様子がない。

「どうしたの?」

 僕がそう聞いてもセリアは答えず、何度か手を僕の方に突き出す。

「もしかして、これ、くれるの?」
「……うん」

 セリアは恥ずかしいのか、少し目をそらしながら答える。

「今日……楽しかった……から……お礼……」
「そ、そっか。ありがとね! 嬉しいよ」

 一生懸命作った人形を僕にくれたと考えると嬉しくなるね。

「それじゃあ、今日はもう帰ろうか」

 僕は昨日と同じようにセリアの手を引き、家の近くまで送っていった後、家に帰った。
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