アサシンの僕と魔導師のオレが融合した結果〜銀髪美少女の幼馴染と行く異世界漫遊記〜

ティムん

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第一章 幼少期

第二十四話 望まぬ再会

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 それから僕は二時間ほど走り続けた。時折電話で標的の位置を終えてもらいながら夜の世界を駆け抜ける。
 林のようなところに入った頃、僕の鍛えられた目が闇の中でも三つの人影を見つける。どうやら一族の大人達で、僕と同じく機密情報を盗んだ相手を追いかけているようだ。

 僕はその人達と合流する。すると前方で強烈な光の爆発が起こる。
 闇の中でのその突然の光は僕達の目に突き刺さり、視界を奪う。だがそこは一族の大人達。彼らの動きは目を潰された程度では止まらない。三人の大人達はさっきの一瞬で光の発生点を見抜き、その場所へと急ぎ向かう。

 違う、そっちじゃない。今のは自分の位置を誤認させる技の一つだ。和麒がよくやっていたんだ。

 僕はそう気づいたが、声を出し相手に位置を悟られるわけにはいかなかったので三人に伝えることは出来なかった。
 仕方が無いので僕は光の発生点の左側へ走る。さっきの光はわずかだが左から右へと移動しながら発生したように感じたからだ。閃光弾か何かを投げたのだとしたら、左にいるはず。

 僕が左に方向転換して数秒後。光の元へと向かった三人のうめき声がかすかに聞こえる。罠かなにかが仕掛けられていたのだろう。戦闘の音が聞こえず、三人が一度にやられた様子から僕はそう推測する。さっき伝えられていれば……そんな後悔が僕の胸によぎる。

 ダメだ。今はそんなことを考えている場合じゃない。標的を始末することだけに集中しなくちゃ。

 そう思い、走る速度をいっそう上げると林を抜け、広い草原に出た。その先に一つの人影が僕を待ち構えていた。僕はその人影がこちらを向いていたことから、目の前の相手が標的だと確信し短剣で斬りかかる。

 その相手は刀でそれを防ぎ、僕を弾き飛ばす。接近したのは一瞬だったが相手の顔ははっきり見えた。標的の正体に動揺し、短剣をカタカタと震わせてしまう。

「そ、そんな……どうして……」

 僕は目の前の人物を睨みつけ、吠える。



「どうしてここにいるんだよ!! !」


 僕の怒声にも似た大声に堪えた様子もなく和麒はこちらに一歩近づいてくる。

「……久しぶりだな。奏魔そうま」

 和麒の声にはいつもの快活さは欠片も見当たらなかった。暗くてよく見えないが、きっと苦渋に満ちた表情をうかべているだろう。

「和麒……和麒が機密情報を盗んだの? 違う、よね?」

 状況から見て和麒が犯人なのは確実だ。彼の足元には一族の大人達の死体が大量に散乱しているのだから。それでも僕は認めたくなかった。認められるはずがなかった。
 だから、和麒の口から否定の言葉が出るのを切願していた。だが――

「違わないぜ。俺が盗んだんだ」

 あっさりと和麒が肯定の言葉を口にする。

「そんな……どうして一族を裏切るようなことをしたの……?」

 和麒は顔を、空に浮かぶ三日月の方に向け、遠くを見るような目をする。そしてしばらくした後、和麒はおもむろに口を開く。

「俺の任務が財閥の令嬢の暗殺だってことは覚えてるよな?」

 僕は頷く。毒を飲ませて衰弱死に見せかけ、殺すのが和麒の任務だったはず。

「俺が一族を裏切った理由は単純だ。彼女を殺したくなかった。好きになっちまったんだよ、暗殺対象である彼女のことを」

 理解出来なかった。和麒はたった一人の女性のために一族を敵に回したと、そう言っているんだ。たかが女一人のために、今までの全てを捨てて更に命を狙われる。そんなの割に合わないじゃないか。
 そんな思いが顔に出ていたのだろう。和麒が自嘲するように薄く笑う。

「わかってるさ。馬鹿なことをしてるって。それでも、彼女に死んで欲しくないんだ。自分の何を引き換えにしても彼女だけは生きていてほしい。そう思っちまってるんだ」

 それほど強く相手のことを想うなんて経験はしたことがないから和麒の気持ちはよくわからないけど、和麒が本気なのは目を見ればわかる。

「機密情報を盗んだのも彼女を生かすためだ。この情報をばらまけば、俺たちを探している暇なんてなくなるからな。最悪、時間稼ぎさえ出来ればいい。彼女には今、一家共々海外に逃げてもらっている。いろんな伝手を使って安全な場所を確保したんだ。そこに逃げ込むまで時間を稼げれば俺の勝ちだ」

 時間を稼げればいい。その言い方だとまるで――

「自分は死んでもいいっていう風にきこえるけど?」
「その通りだ。彼女さえ生きていればいい。もちろん俺も死にたいわけじゃないけどな。少しでも生存確率をあげるために色々小細工もしてるくらい死にたくない」
「小細工……もしかして、一族の実力者達が数日前から出かけたのって……!」
「あぁ、俺の仕業だ。デマの情報を流したんだよ」

 軽く言っているが、並大抵のことではなかっただろう。一族を騙すというのは簡単なことではない。情報の真偽の確認はかなり厳重だ。とてつもない努力があったのは想像に難くない。

「そんな手間のかかる小細工までするくらい死にたくないんでしょ? なのに、なのにどうして!?」
「……彼女はな、俺がアサシンで彼女を殺しに来たって明かしたときにこう言ったんだ」

「なら私を殺しなさい。それが貴方の役目なのでしょう? ってな。俺が彼女を殺さなければ一族のヤツらに始末されることがわかってたんだろうな。俺を助けるために、彼女は自分を殺せと顔色一つ変えずに言い放ったんだ。そんなことが言える彼女だから、俺は彼女に生きてて欲しいんだ」

 和麒の真っ直ぐな想いに、僕は何も言えなかった。俯く僕に和麒は続ける。

「なぁ、奏魔。見逃してくれねぇか? カッコつけたはいいけどやっぱり死にたくないんだ。彼女の隣に居たい」

 和麒の懇願に僕は――
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