アサシンの僕と魔導師のオレが融合した結果〜銀髪美少女の幼馴染と行く異世界漫遊記〜

ティムん

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第一章 幼少期

第六十二話 開戦

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 魔物達の行軍の音が聞こえてきた。地の底から響き渡るような恐ろしい音だ。音の発生源を見るとおぞましい様相の人型や獣型、虫型の魔物、決まった形を持たない粘液のような魔物や空を飛ぶ魔物の群れが村に近づいてきていた。

敵の数は優に三千を超えている。対するこちらの戦力は百にも満たない。数の違いは圧倒的だ。それでも僕達は負ける訳にはいかない。

「来たみたいだね。それじゃあ作戦通りいこう。ソル、魔法よろしく」
『あぁ』

 ソルの身体強化魔法が発動したのを確認し、僕は思いっきり地を蹴った。跳躍が最高点に達し、あとは重力に引かれ地面に落ちていこうとした時僕は空中を蹴った。
 いや、正確には空中にソルが生み出した石を蹴った。石は凄まじい音ともに地面に突き刺さる。その反動で僕の体はさらに高く浮かび上がった。

「よし、上手くいったね。この調子でもっと高くまでいこう」

 そう、空中に足場を作る魔法は今の状態では使えないが、石を生み出すことくらいなら出来る。ならそれを思い切り蹴飛ばして跳べばいいのだ。そして空中から魔物を狙撃する。これなら戦況も良くわかるし、窮地に陥った場所の手助けも容易だ。

「じゃあまずは……あいつだね!」

 魔物の中でも頭一つ飛び抜けて大きいオーガ目掛けて、ソルが生み出した即席の槍を投げた。落下しながらの投擲だったが、僕の槍はオーガに命中した。

 土製だから強度はそれほどないが、強化された僕の身体能力で投げた槍はオーガを吹き飛ばすことに成功する。
 他の魔物を巻き込みながら派手に吹き飛んだオーガはゆっくりと起き上がり、怒りに任せて手に持った棍棒を振り回した。

「この距離じゃ一撃で倒すのは無理か」

 でもそのおかげで敵の数も減ってるし、結果オーライかな。
 鬼が怒りに任せてがむしゃらに振り回す棍棒に巻き込まれ、散っていく魔物を見て僕はそんな感想を抱く。

『オーガはBランクの魔物だしな。そう簡単には死なねぇだろ』
「オーガって、力は強いけど知性が低いんだったよね。じゃあオーガを先に狙って、同士討ちさせるのもありか」

 知性が低いオーガなら、急に攻撃を受けてその敵の姿が見えないとなると暴れ出すだろう。現に僕が攻撃したオーガはまだ暴れている。

 僕は再び槍を違うオーガ目掛けて投げた。そのオーガも同じく魔物を巻き込みながら吹き飛び、暴れ始め他の魔物を次々に殺していく。
 その後も同じようにオーガを攻撃していったが、投げた槍の数が十を超えたあたりで、狼の強烈な遠吠えが聞こえた。ビリビリと鼓膜を揺らすその声が鳴りやむと、暴れていたオーガたちは途端に大人しくなり、村に向かって進軍を再開した。

「スコルか……!」

 僕はその遠吠えを放った狼――フラムのパートナーのスコルを睨みつける。

『ちっ、スコルがこの魔物共を統率してるってわけか』

 スコルは魔物の指揮を執るためか、少し離れた丘にいて戦闘に参加する気は今の所ないようだ。
 フラムの姿は見えないので、離れた場所に隠れているのだろう。
 スコルのさっきの遠吠えの指示を聞いてか、空を飛べる魔物達が僕の方目掛けて殺到してきた。
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