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第一章 幼少期
第六十八話 母の実力
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僕は母さん達の魔法の巻き添えを喰らわないよう、魔物の頭を踏み台にしながら村の中へと戻った。
僕の帰還を確認した母さんは詠唱を終え、その技の名を告げる。
「――その大いなる力をここに顕現せよ。《水の反逆》」
母さんの言葉と同時に膨大な量の水が生まれた。その水は凄まじい勢いで発生し続ける。その生まれた水の行き先はもちろん敵である魔物――ではなく、落とし穴だった。
正確には、落とし穴に作られている横穴に、だ。
自分たちに向かって魔法が来ると思っていた魔物達はどこか間の抜けた表情をしている。そして魔法が全て穴に注ぎ込まれていると気づくと、母さんが狙いを外したとでも思ったのだろう。嘲笑を浮かべた。
ニタァと嫌らしい笑みを貼り付けながら、魔法発動中で隙だらけの母さんに近づこうと一歩を踏み出したその時、地面が崩れる。
魔物達は、何が起きたのか分からず、目を見開きながら落ちていく。そして地面の崩壊は留まるところを知らず、次々と魔物達を呑み込んでいく。
空中から観察してみると、村を囲むようにどんどん地面が崩れていっている。やがて、地面の崩壊は村をぐるっと一周した。上空から見ると、地面の崩壊でできた穴が外側を囲み、その内側に父さんが作った落とし穴が円を描いている。
ちょうど二重丸の真ん中に村がある感じだ。
穴に落ちた魔物は、水の中で暴れている。穴の中には母さんの魔法が届いているようで、水の流れに呑まれてしまっているのだ。
そして、水の中でもがいている魔物達に更なる悲劇が訪れる。フューの魔法が発動したのだ。フューが発動したのは氷魔法で、魔物達がいる水はみるみるうちに凍結していく。
凍っているのは表面だけで、中では魔物達が暴れているさまが見受けられるのだが、水中では大した力も出せないため、氷を破ることは出来ないだろう。しばらくすれば窒息して命を落とすはずだ。
魔物達の約半数は突然生まれた巨大な穴に吸い込まれ、氷によって水の中に閉じ込められてしまっていた。辛うじて落下せずにすんだ魔物達は皆一様に恐怖で顔を引きつらせている。
崩壊が収まると、母さんの魔法は落とし穴に向かって放たれた。水はうねりを上げ、土砂を巻き込みながら落とし穴の中を走り出す。
そして村人達が防衛している所まで達すると、そこに山積みとなっている死体を洗い流していく。
最終的にはその死体を川まで押し流してしまった。あらかじめ、川まで水路を引いておいたのだ。
死体は川を真っ赤に染め、ぷかぷかと浮かびながら流されていく。
作戦は大成功だ。相手の戦力の約半数を削り、落とし穴の中の掃除もできた。そして魔物達の戦意もかなり削げたようだ。
上空からの観察を終えた僕は、母さんの所に降り立つ。
「母さん、お疲れ様。バッチリだったよ!」
「そう~……。それは、よかったわ~……」
母さんの顔を覗き込むと、血の気を失い真っ青な顔に、汗をびっしりと浮かべていた。息は荒く、かなり消耗しているのがわかる。
「ど、どうしたの!?」
『ただ魔力の使い過ぎただけだ。しばらく休んでりゃすぐに治るから、そう騒ぐんじゃねぇよ』
「魔力を使い過ぎたらこうなるのか……」
僕の帰還を確認した母さんは詠唱を終え、その技の名を告げる。
「――その大いなる力をここに顕現せよ。《水の反逆》」
母さんの言葉と同時に膨大な量の水が生まれた。その水は凄まじい勢いで発生し続ける。その生まれた水の行き先はもちろん敵である魔物――ではなく、落とし穴だった。
正確には、落とし穴に作られている横穴に、だ。
自分たちに向かって魔法が来ると思っていた魔物達はどこか間の抜けた表情をしている。そして魔法が全て穴に注ぎ込まれていると気づくと、母さんが狙いを外したとでも思ったのだろう。嘲笑を浮かべた。
ニタァと嫌らしい笑みを貼り付けながら、魔法発動中で隙だらけの母さんに近づこうと一歩を踏み出したその時、地面が崩れる。
魔物達は、何が起きたのか分からず、目を見開きながら落ちていく。そして地面の崩壊は留まるところを知らず、次々と魔物達を呑み込んでいく。
空中から観察してみると、村を囲むようにどんどん地面が崩れていっている。やがて、地面の崩壊は村をぐるっと一周した。上空から見ると、地面の崩壊でできた穴が外側を囲み、その内側に父さんが作った落とし穴が円を描いている。
ちょうど二重丸の真ん中に村がある感じだ。
穴に落ちた魔物は、水の中で暴れている。穴の中には母さんの魔法が届いているようで、水の流れに呑まれてしまっているのだ。
そして、水の中でもがいている魔物達に更なる悲劇が訪れる。フューの魔法が発動したのだ。フューが発動したのは氷魔法で、魔物達がいる水はみるみるうちに凍結していく。
凍っているのは表面だけで、中では魔物達が暴れているさまが見受けられるのだが、水中では大した力も出せないため、氷を破ることは出来ないだろう。しばらくすれば窒息して命を落とすはずだ。
魔物達の約半数は突然生まれた巨大な穴に吸い込まれ、氷によって水の中に閉じ込められてしまっていた。辛うじて落下せずにすんだ魔物達は皆一様に恐怖で顔を引きつらせている。
崩壊が収まると、母さんの魔法は落とし穴に向かって放たれた。水はうねりを上げ、土砂を巻き込みながら落とし穴の中を走り出す。
そして村人達が防衛している所まで達すると、そこに山積みとなっている死体を洗い流していく。
最終的にはその死体を川まで押し流してしまった。あらかじめ、川まで水路を引いておいたのだ。
死体は川を真っ赤に染め、ぷかぷかと浮かびながら流されていく。
作戦は大成功だ。相手の戦力の約半数を削り、落とし穴の中の掃除もできた。そして魔物達の戦意もかなり削げたようだ。
上空からの観察を終えた僕は、母さんの所に降り立つ。
「母さん、お疲れ様。バッチリだったよ!」
「そう~……。それは、よかったわ~……」
母さんの顔を覗き込むと、血の気を失い真っ青な顔に、汗をびっしりと浮かべていた。息は荒く、かなり消耗しているのがわかる。
「ど、どうしたの!?」
『ただ魔力の使い過ぎただけだ。しばらく休んでりゃすぐに治るから、そう騒ぐんじゃねぇよ』
「魔力を使い過ぎたらこうなるのか……」
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