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第一章 幼少期
第七十七話 フラムの狙い
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「なら、お前を倒してさっさと村に戻ることにするよ」
「はっ! 出来るものならやってみなさい! アンタがほとんど魔法を使えないのわかってるのよ!」
『さっきから魔法を使ってねぇしな。バレるのも当然か』
でも、魔法が使えないと思っているのなら、それを利用できるかもしれない。
僕は魔法を使えないが、フューは使えるのだ。そしてフラムはそれを知らない。フューの見た目はただのスライムだし、フラムが起きてからはフューは魔法を使っていない。
僕はフューに魔法の準備をするよう、指示を出す。強力な魔法を使うにはそれなりの時間が必要なのだ。だから、その時間を稼ぐ必要がある。
早く村に戻らなければならないのに、時間稼ぎが必要だというのはもどかしいが、仕方がない。不意の一撃に全てをかけるのが一番勝率の高い方法なのだ。
いつもなら、戦闘中に無駄な会話をすることは無いのだが、時間稼ぎのために僕は口を開く。
「そうだよ、魔法は使えない。だがそれはフラム、お前も同じだろう。禁術なんてものを使ったせいで、ボロボロじゃないか」
「アタシにはスコルがいるわ。魔法なんて使えなくても、アンタを殺すことは簡単よ。それより、さっきから気になってたんだけど、アンタ、何か雰囲気違わない?」
よし、会話に乗ってきた。意識してソルと口調を変えたりした甲斐があったな。
「僕は魔導師ソル=ヴィズハイムじゃないからね。僕の名前はソーマ。ソルは僕の中にいる別人格みたいなものだよ」
「ソルじゃない……? 別の人格? 良く分からないけど、アンタを殺せばソルも死ぬのよね。ならやることは変わらないわ。アンタは魔王様の仇で、さらに魔王様の願い――人間の滅亡を実現させるための邪魔になるのよ。だから、ここで殺す」
強い意志を目に宿し、フラムは冷たい声でそう言った。
今の言葉には聞き逃せない部分があった。
「人間の滅亡……?」
『魔族共が掲げる野望だ。魔族が人間を殺すのもこの野望のためだ』
互いに戦争していたから、人間を憎んでいるんじゃないのか? その言い方だと、人間を憎んでいるから戦争をしていたみたいじゃないか。
「そうよ! 憎き人間を滅ぼすのが魔王様の、いえ、魔族の宿願なのよ!」
「どうして人間をそこまで憎むんだ?」
「っ! 白々しいわね! アタシ達は絶対に忘れないわ! アンタ達がアタシ達魔族にした仕打ちを!」
このタイミングで、フューの準備が完了したようだ。話の続きが聞きたいが、今は時間が惜しい。これ以上話すことは出来ない。
「はっ! 出来るものならやってみなさい! アンタがほとんど魔法を使えないのわかってるのよ!」
『さっきから魔法を使ってねぇしな。バレるのも当然か』
でも、魔法が使えないと思っているのなら、それを利用できるかもしれない。
僕は魔法を使えないが、フューは使えるのだ。そしてフラムはそれを知らない。フューの見た目はただのスライムだし、フラムが起きてからはフューは魔法を使っていない。
僕はフューに魔法の準備をするよう、指示を出す。強力な魔法を使うにはそれなりの時間が必要なのだ。だから、その時間を稼ぐ必要がある。
早く村に戻らなければならないのに、時間稼ぎが必要だというのはもどかしいが、仕方がない。不意の一撃に全てをかけるのが一番勝率の高い方法なのだ。
いつもなら、戦闘中に無駄な会話をすることは無いのだが、時間稼ぎのために僕は口を開く。
「そうだよ、魔法は使えない。だがそれはフラム、お前も同じだろう。禁術なんてものを使ったせいで、ボロボロじゃないか」
「アタシにはスコルがいるわ。魔法なんて使えなくても、アンタを殺すことは簡単よ。それより、さっきから気になってたんだけど、アンタ、何か雰囲気違わない?」
よし、会話に乗ってきた。意識してソルと口調を変えたりした甲斐があったな。
「僕は魔導師ソル=ヴィズハイムじゃないからね。僕の名前はソーマ。ソルは僕の中にいる別人格みたいなものだよ」
「ソルじゃない……? 別の人格? 良く分からないけど、アンタを殺せばソルも死ぬのよね。ならやることは変わらないわ。アンタは魔王様の仇で、さらに魔王様の願い――人間の滅亡を実現させるための邪魔になるのよ。だから、ここで殺す」
強い意志を目に宿し、フラムは冷たい声でそう言った。
今の言葉には聞き逃せない部分があった。
「人間の滅亡……?」
『魔族共が掲げる野望だ。魔族が人間を殺すのもこの野望のためだ』
互いに戦争していたから、人間を憎んでいるんじゃないのか? その言い方だと、人間を憎んでいるから戦争をしていたみたいじゃないか。
「そうよ! 憎き人間を滅ぼすのが魔王様の、いえ、魔族の宿願なのよ!」
「どうして人間をそこまで憎むんだ?」
「っ! 白々しいわね! アタシ達は絶対に忘れないわ! アンタ達がアタシ達魔族にした仕打ちを!」
このタイミングで、フューの準備が完了したようだ。話の続きが聞きたいが、今は時間が惜しい。これ以上話すことは出来ない。
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