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27. お手伝い

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 甘い吐息と小さな喘ぎ声を漏らしながら歩くカイを何とか階上の部屋に運び、ベッドに横たえる。そのまま下半身に手を伸ばすと、紅潮した顔をしたカイが「ひゃあ」と悲鳴を上げた。

「ヴィクトールさんっ! あとは大丈夫ですっ!」
「手伝うよ」
「ひ、ひとりで、できますからぁ……」

 伸びてきた指先は、言葉とは裏腹に優しくヴィクトールの手を包む。はち切れそうに膨らんだ部分に触れたヴィクトールは、中のものの形を確かめるようにその上を撫でた。

「ちょ、待っ、ああっ……っ、ぐ」

 カイは鼻にかかったような声を上げて身を震わせ、それから息を詰めた。絞り出すように呻き、数秒後に全身から力が抜けていく。

「出た?」

 羞恥と快楽に顔を真っ赤にし、涙を浮かべたカイと目が合った。微かに頷くのが見える。

「我慢せず出しちゃったほうがいいよ、薬が抜けるのが早くなる」

 ズボンに手をかけても、カイはもう小さく喘ぐばかりだった。腰を持ち上げながら引き下ろすと、濡れそぼったものが露わになる。ズボンをベッドの下に放り投げたヴィクトールは自分もベッドの上に上り、カイの足を広げた。間に顔を埋める。
 まだ出したばかりのはずのそこは、薬のせいかまだ中心に芯を保っていた。先端に舌を這わせると、少し塩辛くて生臭い香りが口の中に広がる。いがらっぽくて喉に絡むような味だが、その甘美ではない味がかえって背徳感をそそった。

「う……あん、ああっ……」

 先端を口に含み、ちゅくちゅくと吸い立てる。みるみるうちに硬度を取り戻した屹立が、ヴィクトールの口いっぱいに広がった。歯を立ててしまわないようにしながら口を動かし、溢れてくる蜜を飲みこむ。伸びてきたカイの手がヴィクトールの髪をかき分け、耳に触れた。口を動かすたびに戸惑うように震えるその指先と、小さく漏れ聞こえる声が嬉しい。
 含み切れない根元の部分を握り、上下に動かす。程なくしてカイの声が切羽詰まったものに変わった。頭を強く押し付けられて喉奥に先端を押し込まれた瞬間、口の中でカイのものが膨らみ、そして爆ぜた。

「んぐ」

 暴力的に吐き出された熱い塊が、自分の意思と関係なく体の中へと垂れていくのをヴィクトールは感じた。小さく萎れていく先端から口を外し、青臭い息を吐き出す。

「ヴィクトールさん、俺、俺っ……」

 すすり泣くカイの頭を撫で、「大丈夫だから」とガーゼの貼られた頬にキスをする。縋り付くように伸びてきた手にも指を絡め、同じように唇を当てた。
 そして、まだもじもじと落ち着かないカイの滑らかな太ももの内側に手を差し入れる。
 敏感になった、柔らかな膨らみにまた触れる。カイの切なげな吐息を聞きながら軽く触れていると、またそこが頭をもたげ始める。

「やっ、もう出ない、ですっ……」

 懇願するカイの声を聞きながら、ヴィクトールは指先で睾丸に触れ、優しく手を動かして膨らみを刺激した。かわいらしい悲鳴のような、すすり泣くような声がこだまする。
 またヴィクトールの口の中で達したあと、カイは気絶するように眠りに落ちた。

「……ごめん」

 涙の跡が残るカイを見て小さく呟き、ヴィクトールは手の甲で口を拭った。息をするたびに、自分が今してしまったことが夢でも何でもないのだということを再認識する。枕の上で乱れた赤茶色の髪を撫でつけて代わりの服を着せ、毛布をかけた。
 汚れたカイの服を拾い、部屋の外に出る。そのまま自室に行くと、壁を背にして座り込んだ。

(事故……だよ、な?)

 狙ってやったわけではない、と言いたかったが、ヴィクトール自身にもよく分からなかった。カイがそのうち帰ってくるという状況下で、ろくに換気もせずに薬を作っていたのは、どこかで何かを期待する気持ちがあったからだ。
 だがカイがもう少し早く、あるいは遅く帰ってくるとか、ロジウムのいる店舗側から入ってくるとか、思いっきり吸い込んだりとかしなかったら、こうはならなかったはずなのだ。
 あるいは、ヴィクトールがもう少し理性を保っていられれば。

「……っ」

 とにかく結果として、今ヴィクトールの手の中にはカイの汚れた服がある。
後ろに手を回し、ずっとつけっぱなしにしていたエプロンを外す。染みができるほど汁を吐き出し、自分の出番が来なかったことへの不満を主張する膨らみに、服の上から触れる。我慢できずに、すぐに邪魔な服を脱ぎ捨てた。

「ん、ふ、ふぁ……」

 カイの服からは、立派な一人の男の匂いがした。汗と、体臭と、それから自分の口の中に広がるのと同じ生臭さ。
 先ほど触れて、そして口に含んだカイのものを思い出しながら、ヴィクトールは足を広げた。上を向いて不満を垂らす屹立を無視し、その後ろにある穴に指先を伸ばす。

(あれが……僕の中に、入ったら)

 想像せずにはいられない存在感だった。逞しく大きな砲身と、膨らんだ先端。あれに貫かれ、すべてを支配されたい。
 やってはいけないことをしてしまった。頭では分かっている。それなのに、ヴィクトールはカイが自分の手で興奮し、口の中に出してくれたというのが嬉しくてならなかった。後ろめたさと疚しさが、更にヴィクトールの快感を強める。

(今日だけは、カイ君も……僕のこと、考えてくれたかな)

 一度だけでも良かった。いつものようにカイの名前を小さく呼びながら、しかしいつもと違って後ろを弄りながら――ヴィクトールは身を震わせた。
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