クリエイティブな友人が俺に感想を求めてくる件

椛屋 杏

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アプリ編

1人目の勇者

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結局紅野の金についての語りは冒険ゲームの話からコンビニでの体験談まで1時間くらい続いた。
 
 我ながらよく耐えたと思う。
 
 「という訳で金はなにであっても大切ということだ。だから、このゲームも待ってる間ミニゲームで勇者の資金が貯めれる。」
 
 その話、なんで最初にしてくれなかったんだろうか。
 
 確かに画面には
 
 『卵が孵化するのを待つ間、アルバイトに行きますか?』
 
 と表示されている。
 
 「勇者、アルバイトなのか...」
 
 「この勇者は日々バイト先で後輩に俺はBIGになるって豪語してたフリーターだからな。」
 
 なんだよ、その設定。
 
 しかも、その設定お前と一緒にいるわけじゃない他のユーザーはわからなくね?
 
 そんな事を考えたが言ってしまうと次回アップデート辺りで勇者の人となりがわかる説明とかが増えそうで怖かったので口にできなかった。
 
 『アルバイト先に着いた。
 店長が現れた。
 店員Bが現れた。』 
 
 「あれ?店員Aは?」
 
 「店員Aは勇者だ。」
 
 わかるかよ...
 
 そんな俺の気持ちを無視してアルバイトでの話は続いていく。
 
 『先輩ちーっす。』
 
 挨拶をしてくる後輩に突如選択肢が現れる。
 
 『挨拶する』『殴る』
 
 選択肢がおかしすぎるがもうなにも言うまい。
 
 俺は普通に『挨拶する』を選択した。
 
 『どうしたんっすか!?先輩いつも拳で熱く語ってくれるじゃないっすか!!まさか、偽物!!』
 
 『げーむおーばー』
 
 「やっぱりな!」
 
 予想通り選択肢を間違えたらしい。
 
 後輩に殴られた勇者は頭の打ちどころが悪く死亡した。
 
 ホントになんなんだよ、このゲーム。
 
 「水沢ってゲーム苦手だったか?」
 
 「いや、苦手でではないよ。」
 
 少なくとも、お前のゲームでなければほどほどにクリアできるよ。
 
 そう言ってやりたかったがなんだか悔しかったので飲み込んだ。
 
 「さて、気を取り直してやるか。」
 
 スタートボタンを押すとまた剣と魔法の~から始まるかと思ったが、またアルバイトのくだりから始まった。
 
 少し違和感を覚えたが、気にせずにそのまま続ける事にした。
 
 アルバイトに行くとまた後輩とやらが『殴る』という選択肢を求めてくる。
 
 『やっぱり、先輩の拳はサイコーっすね!今日もやっちまいましょう!!』
 
 テンションの高すぎるこのNPCについていける気がしなかったが、今回は勇者も無事にアルバイトができるようだった。
 
 こんなんでこのゲームクリアできるのかと不安が過ぎったが、考えるだけ無駄な事なので俺はそっと自分の気持ちに蓋をする事にした。
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