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Y組職業体験編
第62話《閑話・その他の職業体験①》
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政府中央都市を横切る『都市駅』から出ると、そこから幾何学的な風景が広がる。人混みは隙間がないぐらいにぎゅうぎゅうで、それを抜ければようやく自由に行動ができる。
───と思いきや、政府中央都市は地形ですら幾何学的にギクシャクしている。隙間なく道整備をしたがため、また町並みに合わせて改修したがために、まるで巨大迷路のようになっている。これを見て魔法集積地区の『B地区』とここを比べれば、B地区がどれ程の劣化都市か一目瞭然であろう。
都市というのは名前だけで、B地区は結局立派な『田舎』なのである。
そんな劣化都市B地区には無くてここ『政府中央都市』にはある、というものがわんさかある。だからこそ、ラサール魔法学校の職業体験先の多くはここ政府中央都市に集中している。
時刻は現在午前10時手前である。
都市駅にはラサール魔法学校の制服を着た少年少女たちで一杯になっていた。朝方の通勤ラッシュはとうに過ぎているので混乱を招く事態には至らなかったが、ここまで学生が群がっていたらさらに窮屈間違いなしだっただろう。
生徒たちは胸あたりに『Y』の形をした紋章をつけていた。これは各生徒のクラス階級を示しているのだが、ここにいる生徒たちは言わずもがな、全員Y組の連中である。まあY組しか職業体験に赴いていないのだから当然だが。
そんな中───一人の少女がテクテクといった感じの足取りで都市駅から出てきた。
少女はラサール魔法学校の制服を着ている。つまりこの少女もY組の一人ということだ。
少女は手元で何かを広げる。
地図だ。政府中央都市の簡略な地図。
それを頼りに幾何学的な道をどんどん進んでいく。始めは途中立ち止まって不安そうに辺りをキョロキョロしていたが、徐々に確信に変化したのか、少女の歩みは確かなものになっていく。
着いた。
少女は駅から徒歩5分程度の所で立ち止まり、目の前にそびえる建物を見上げた。
ビルではない。だが、高さはいくらかあった。おそらく幾つかの店が合併しているのだろうと少女は推測した。煉瓦模様のあるその建物は、都市部の中で一際異彩を放っているが、道歩く『選ばれた人間』たちは誰一人これに目を向けたりしなかった。
都市部の方では割りと有名な所なのだろう。
少女は建物に近づき、店の名前が書かれたプレートを黙読する。知らない店があるなかで、ひとつ、少女の体験先である店の名前がそこにはあった。
「───あったあった。ここなのです」
『なのです』口調の少女、マリナーラはポツリと呟いた。
メイド喫茶とは男の儚い夢を具現化したものである。
キラキラと眩しく飾られたドアを開ければ、その先には真っ白なエプロンを着た推定年齢15~20であろう美少女たちが『お帰りなさいませ、お嬢様★』と出迎えてくれる───はず───
少女、マリナーラは期待に胸を膨らまし、ドクンドクンと高鳴る鼓動を抑えつつ、夢の幻想世界への扉を引いた───
「あら、おかえりなさいませ、お嬢様★」
出迎えてくれたメイドがどうみても60過ぎのしわくちゃ老婆でしかもしっかりとメイド服を着こなしながらさらにはウィンクまでされて、
「…………………………………………………………………………」
マリナーラはそっと静かに扉を閉じて帰ろうとした。
*
マリナーラの体験先は細かく言えばメイド喫茶である。最初は豪勢な御屋敷にお仕えするのかなとほんの少し期待を膨らませていた彼女であったが、現実はそう上手くはいかないらしい。
普通のお年頃の女の子であれば抽象的に『メイド』としか書いていなかった学校の校長を詐欺師だと騒ぎ立て、魔法を校長室にお構いなしにぶちまけるであろうが、しかしそんな一般的反応とは異なって、マリナーラは幻滅するまでには至っていない。
マリナーラの着眼点はあくまで『メイド』であり、『メイド』として従事する先が何処であるかは二の次であった。
メイド服に興味を持ったのは、彼女がまだ小学生の時である。
マリナーラはもともとマンガやゲームといった物が大好きで、その時に『メイド服』というのを知ったし、何より彼女の『なのです』口調は、そういったコンテンツからの影響でもある。
(メイド服さえ着れるのなら、別に何処であろうと構わないのです)
マリナーラはずっとそう心に暗示をかけていた。政府中央都市行きの電車に乗ってた時も、都市部を歩いていた時も。
彼女は『メイド喫茶はちょっと恥ずかしい』という羞恥心を無言で殺してきたのだ。
しかしこの時、マリナーラはそんな事をする必要はなかったのだと知った。
マリナーラは死んだような目でじっと目の前に佇むメイドさんを見つめていた。
そのメイドさん────はたして世の男たちが望むような『メイド』なのか、甚だ疑問だ。
容姿を見ればどういうことなのか一目瞭然である。
ヨボヨボに垂れ下がった肌は化粧によって何とか誤魔化してはいるが、どこをどう見ても60過ぎの老婆にしか見えない。下手したら70過ぎにも見えてしまうからもう怖いことこの上ない。
しかし何より恐ろしいのは、そんな一般的に『お婆さん』に分類されるこの老婆が、恥ずかしい素振りも見せずに、しかも堂々とメイド服を着こなしてる点に尽きるだろう。
「……………どうしたのよ、あなたさっきから私ばかり見て」
見かねた老婆メイドはさっきの痛々しい甘々ボイスとは別次元の声を出した。
いや、こっちが現実なのだ。
そういえば店から出ようとして引き留められた時も、老婆はこんな声を出してたような気がする。
ここは、マリナーラの職業体験先であるメイド喫茶。
───の裏方。
「いや何て言うか…………意外だなぁと思っただけなのです」
「何がよ? あぁ分かった分かった。こんなおばちゃんがメイド服着てんのを言ってるんでしょ?」
「正直に言えばそうなのです」
「いや否定しなさいよあんた………………」
「否定するに足りる材料がないのです。アンタホントオバサンネー」
「微妙な片言はムカつくので止めてほしいわ。て言うか、あなたラサール何とか学校の生徒だったわね」
「ラサール魔法学校なのです」
「別に聞いてないから黙りなさいよ」
マリナーラはムッとして、しかし言われた通り黙ることにした。
老婆メイドはガラガラの声で見下すように、
「ふん、てことはあんたアレでしょう? ラサール学校で1番最下位のクラスの連中なんでしょ?」
「それがなにか?」
「いいえ別に? なんか可哀想と思っただけ」
そう言う老婆メイドの目は明らかに笑っている。
「にしても本当にいるんだねえ、魔法もろくに使えない奴なんて。あんたこれから先苦労するよ」
「それはあなたの人生経験から言ってるのです?」
「……………なんですって?」
ピキッと、亀裂が入るような音が鳴った。マリナーラは少々顔を歪めたが、怯まずに続けて、
「だってこの仕事に魔法が使える使えない云々は関係ないはずなのですよね? ならそんな仕事に従事してるあなたも、私と同じということでは?」
「…………そうね、そう思われても仕方ないかもね。フフフフ、これでも一応名門魔法学校出身なんだけど…………あんた、面白いわね」
老婆メイドの目はやはり笑っていたが、そこにマリナーラを見下すような下劣なものは包含してはいなかった。
「いいわ、あんた気に入った。たった2日間だけど、あんたをこの店で1番属性の強いキャラに変えてあげるわ」
「で、できればこのキャラは変えたくないのですけど……………」
「だまらっしゃい。あんたに拒否権はない。大人しく私に従え、そして私に頭を下げて請うがいいよ」
「あなたどんなキャラ設定抱えてるのですか」
マリナーラは裏方の一帯を見渡す。
装飾が一切ないここはある意味荷物置き場となっている。照明はなく窓から入ってくる太陽光線のみで空間を照らしているのだが、ここは裏方だから問題はない。
そう、そこに問題はないのだが。
「…………ちょっと質問」マリナーラは挙手し、「あそこにあるメイド服が私の着るやつなのです?」
ちょうど老婆メイドの左側にハンガーでかけられたメイド服がある。不自然にも1着だけそこに存在しているのが彼女には気にかかっていた。
しかしそれ以上に、もしそれが彼女のメイド服であるのなら、
やはり羞恥心を圧し殺してたのは強ち無駄ではないとマリナーラは思った。
「ええ、そう。これがあんたに支給された服よ」
老婆メイドはそう言うと支給服を手に取り、その柄や形状が分かるようにわざと広げて見せた。
その瞬間、やはりお年頃のマリナーラは赤面してしまったのだった。
支給服は柄こそ他の働いているメイドとさして変わりはないのだが、明らかに他と違っている点がある。
スカートの丈が明らかに短すぎるのだ。
例えば『お帰りなさいませ、ご主人様★』と言って頭を下げたとしよう。また、この時マリナーラは直立の状態から約15度から20度程度頭を下げたと仮定しよう。
その瞬間、彼女のスカートの下の世界が自然に見えてしまうぐらい短いと思えばいい。
さらに文句を言えば、柄こそ同じだが、形状が全く異なっている。
他のメイドは肌の露出が少ないのに対し、それは胸の下辺りから腰辺りまでがバッサリ切り抜かれており、肩の部分はわざとそこだけ切り抜き、露出度を高くしていた。
なんというか、一言で言えば『過激な服』。
世俗的な言葉で言えば、『エロい服』。
要は薄い本とかの展開になりそうなメイド服なのだ。
「……………あなた、私を殺しにかかってるのですね」
マリナーラは静かにそう言った。
「あら、こういうのは苦手? けど嫌とは言わせない。あんたは今日から2日間は私の忠実ないぬ────グッフン…………社員なんだから」
「今犬って言おうとしたのです?」
「気のせいよ、気のせい。けどさっきも言った通り、あんたに拒否権はないから。恨むなら最下位のクラス配属である自分の悲しい運命を恨みなさいな」
現実世界とこの異世界はなにかと共通点が多い。
なのでこの世界にも『パワハラ』や『セクハラ』という概念は存在する。
この場合は恐らく『セクハラ』に値するのだろう。
しかしマリナーラはめげなかった。後悔はしなかった。
そう、マリナーラは知っている。
こんな仕事よりも、もっと体の張った仕事が存在することを。
(アヤノンちゃん……………………………)
彼女には悪いことをしたと思っている。
彼女が(何故か)常識を知らないのをいいことに、最も危険であろうアイザック家の警備員という職業を押し付けてしまった────セリアは全くもってどうでもいいが。
だから────アヤノンが今頃死ぬような思いをしてるのに、こんな程度で弱音を吐くわけにはいくまい。
このイヤらしい老婆メイドがこれを着ろと言うのなら、
「やってやろうじゃない…………なのです」
マリナーラは躊躇なく制服を老婆から奪うかのように取り上げた。
*
「…………ブラック企業って、そういう意味だったの、たの?」
1人別室のデスクの上で伸びている赤髪の少女は精神的に疲れはてていた。
赤髪の少女の名はマリア・ルートピア。職業体験先として『ブラック企業』を選択した『Y組』の生徒である。
朝の駅でのバイトを終えたマリアは、すぐさま都市行きの電車に乗り込み、渡された地図を頼りに会社までやって来た。
───やって来たのは良かったが、マリアはあまりの衝撃に抱えてた荷物をズルズルとその場に力なく落としてしまった。
それは何故か。
マリアは『ブラック企業』という企業が、その名の通りの会社だと知ったからである。
マリアは沈んだ頭を上げ、辺りを観察する。
壁に入った痛々しい亀裂のそれは当たり前、色褪せて塗装は剥がれ、変な虫が部屋の隅で奇妙な生態系を確立してさえいる。
建物の老朽化がそのまま放置されているのだ。
都市役員の検査を受ければ1発アウト確定の劣悪な環境。その次に彼女や他の職員に与えられた膨大な仕事量が問題だった。
マリアのデスクの上には、あり得ない量の資料がある。1枚薄ぺらの資料がタワーのように積み上げた束の高さは、およそ30センチメートル。それがなんと2セットもある。課長曰く、『これを午前中までに片付けろ』とのこと。
出来るわけがなかった。そんなバカみたいな無茶ぶりを受けたのはマリアは初めてであった。
するとその時。部屋に誰かが入ってきた。
ガチャンとドアが開かれ、その先には1人の中年男性が立っていた。
黒縁の眼鏡で腹が若干盛り上がったその男性は、入ってきた途端気味の悪い笑みを浮かべて、
「やあ実習学生くん。調子はどうかな?」
男はマリアを『実習学生くん』と呼ぶ。本名は意地悪からか呼ぼうとはしない。男は寛大な笑みを浮かべて、
「言った通り午前中にそれ片付けるように。寝るのは結構だが、もし約束が守れないようであれば────」
「あ、あれば、れば?」
「…………さぁ、どうなるだろうかね」
言われずともマリアにはもう分かっている。さっきオフィスの社員がこの男から頭にワインボトルでぶん殴られる様をその目で見ていたのだから。
あぁその光景は今も脳裏に焼き付いている。ワインボトルで殴られたのはある1人のOLであった。ワインの液体を頭から被ったその女性は打撲傷は無かったものの、人生の重大な帰路に立たされたような、そんな顔をしていた。どうやら何かのミスをしたそうだが、だからといってワインボトルでぶん殴るとはパワハラにも程がある。下手したら殺人事件である。というか、既に訴えられるレベルなのだが…………。
それでもここの社員たちは皆、この男を恐れてか訴えようとはしていない様子である。
この黒縁眼鏡の中年男性は課長である。
「少なくとも、それ相応の“お仕置き”が待ってるから覚悟するように。分かったかな?」
「は、はい…………………………………」
人を無理に説き伏せるその迫力に度肝を抜かれ、マリアは何も言い返せなかった。
「じゃあ頼んだよ」と言い残して、課長は部屋から出ていった。
その場の緊張が一気にほどけた。ゆるゆるの糸に近い緩やかな雰囲気が吹き出すように充満する。
そしてそれが充満度100パーセントとなったとき、マリアはようやく安心した表情でひとつため息をつくと、頭を抱えて、心中こう叫んだ。
(職業選択間違えちゃったああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!)
マリアが選択した『ブラック企業』という名の企業。
会社の事業にマリアは興味なかったが、これだけは確実だった。
この会社は───その名の通り、『ブラック企業』である、と。
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