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笑顔
しおりを挟む初めは幻覚が見え出したのかと思ったという。
そこそこ妙なものを見ている癖に、何を今更。
視界の端にチラリと入り込むだけで、そちらを向いてもそれらしきものはいないということが、連日複数回に及べばイライラする。気になって仕方がない。
色はついているが何かは分からない。
何かは分からないが、人であろうと予想はついた。
ある日、それが視界の端に入り込んだところで、両手で顔を覆ってみた。
お前なんか見てやるもんか。そういう意思表示だったらしい。
すると、誰かが近付いて来る気配があった。
自分の身長。半分程の高さの誰かだと、まるで中途半端な透視能力を得たように感じられた。
いないいない……。と心の中でタイミングを測るように呟き、ばあ、と両手を外して目を開ける。
ふふっ。
目の前にいたのは女の子だった。
幼稚園児くらいの可愛らしい女の子が、見付かっちゃったというように笑って消えてしまう。
以降、その子が現れることはなくなってしまった。その姿を見てしまった事を少し後悔しているらしい。
本当に可愛かったんだ。
友人は間を開けて同じことを二度言った。
悔しげに拳でテーブルを連打する様を見ながら、こいつはロリコンだったろうかと、ちょっと気になった。
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