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第4章
4-19
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4-19「ユウのターン」
「毛皮は最初に肉や膜を綺麗に剥がさないといけないの。そうしないと後でそこから腐っちゃうからね」
毛皮の説明を聞きながらその作業を眺めていると、オレが暇そうにしているように見えたのか彼女に聞かれた。
「ユウもやってみる?」
(オレが狩ったウサギだもんな)
狩った獲物がどのように利用されるのか興味が湧いたので手伝うことにした。
「ああ、やってみたい」
チェアリーから毛皮を受け取り、彼女がやっていたように見よう見まねで膜を剥がしてみる。
「難しいな」
膜は薄く、しかも油でツルツル滑るため上手く剥がせない。爪で摘まもうとすると薄いのでちぎれてしまう。根気のいる作業だ。
「ウサギは皮が薄いから破らないように気をつけて」
「大変なんだな」
「もっと皮の厚い毛皮ならナイフでこそぎ取るんだけどね」
「うーん・・・・・・」
何かナイフの代わりになる物は無いかと見渡すと、使わず余っていた串が目に付いた。
毛皮を平たい石の上に広げ、串を手に取り膜をからめとるようにこする。
べろーん
(指でやるよりは取りやすい)
薄い膜は串のささくれだった部分に絡みつき、そのまま破らないようにゆっくり引き上げると上手く取ることが出来た。
「膜を取り終わったらどうするの?」
「取り終わった後は紅茶に漬けるの」
「紅茶に?なんで?」
「紅茶の渋味が皮に染み込んで腐らなくなるんだよ。皮もそのままだと腐っちゃうからね」
「へぇ、そうなんだ」
まったく知らない知識に触れるのは好奇心を刺激されて楽しい。
「あ、そうだ」
彼女は何か思いついたように立ち上がり、土手の草むらで何か摘んで戻ってきた。
「紅茶はもったいないから、このシダを使ってもいいんだよ」
手には道端で見かける雑草が握られていた。
「それをどうするの?」
「お湯で煮出してその液に漬けると紅茶と同じように渋味で皮が腐らなくなるの。皮は何回も漬け直さなきゃいけないから、その度に紅茶を淹れてたらもったいないでしょ」
「チェアリーは何でも知っているんだね」
「ううん!そんなことないよ。お父さんに教えてもらっただけだし・・・・・・フフフッ」
オレが膜を取るのに四苦八苦していると、紅茶で思い出したのか彼女がお茶を淹れてくれた。
「はい、お茶が入ったよ。ちょっと休んで」
そう言って渡してくれたカップからはミントの香りが漂ってきた。
「ありがとう(ミントかぁ・・・・・・)」
「今日のはフェンネルの種を入れてみたんだ」
(フェンネル?今朝、買ったドライハーブか?)
ズズッ・・・・・・
相変わらず強烈なミントの刺激が鼻に抜けたが、この前のものより青臭さが無い気がする。
そして、表面に浮いていたつぶつぶしたものがフェンネルの種だろうか?口の中に流れ込んできたので小さな粒を歯で噛み潰すとほんのりとした甘さが口の中に広がった。
(後味はほろ苦いような?)
彼女がニコニコしながら見ているので、そのハーブティーをチェアリーにも分けてあげた。
「種を噛むと少し甘いね」
ズズッ・・・・・・
「はぁー、フェンネルの種は口臭予防に数粒そのまま食べてもいいんだよ」
彼女も種を噛み潰しているのか、その口が細かく動いていた。唇は少し前に突き出し、チマチマと動いていてまるで小動物を思わせる。
(かわいい)
ズズッ・・・・・・
「食後にミントと一緒に飲んだらサッパリしてちょうどいいでしょ?はい、」
彼女はカップを戻してきた。
(そういう目的で飲んでいたのか)
ズズッ・・・・・・
確かに食事の後に飲めば口がさっぱりしていいかもしれない。飲みなれてくればミントも悪くない気がする。
(あ、もしかしてオレ、匂ってるのか?)
彼女がミントティーを進めてくるのはそういう事なのかと気付き、オレはさりげなく口を手で覆い息をチェックしてみた。
「はぁ、」
今飲んだミントの香りがするばかりでよく分からない。
(そうだ、歯ブラシも買わないと、)
夕方は早く寝てしまい、朝はバタバタしていたのですっかり歯磨きの事は忘れていた。
(そもそも歯ブラシってこの世界に売っているのか?)
ズズズッ・・・・・・
オレは口の中にミントが行き渡るようにゆっくりすすった。
今度は彼女が鍋を持って立ち上がった。
川べりに行き、水を汲んできたらしくゆっくりとした足取りで戻ってくる。
その鍋を火にかけたので何か料理をするのかと中を覗いたら、水の中にはウサギのアゴが沈んでいた。
チェアリーはチラチラこちらを見てニコニコしている。
「なに?」
「フフッ、いいモノ作ってあげるからユウは膜を取ってて」
(ダシか?)
豚骨スープのように骨から料理のダシを取るのかと思ったが、それにしてはあまりに骨が少なすぎる。それに今、昼飯を食べたばかりでお腹はいっぱいだ。
何をするのか検討もつかなかったので、オレは言われた通り膜を取る作業に戻った。
それでも何をしているのか気になり、時々チラ見する。
しばらくしてお湯が沸き、彼女は鍋を小刻みに振っていたかと思うと、お湯を全部捨ててしまった。
「なに作ってるの?」
「いいから、いいから」
そう言うばかりで何を作っているのか教えてはくれない。しかし、隠す様子は無く、オレが視線を向ける度に彼女はにっこり笑う。
「あつッ!」
茹でたウサギのアゴを石の上に乗せ、彼女は熱そうにしながら牙をもぎ取り始めた。
「茹でた方が取りやすくなるから」
オレに説明しているのか、独り言なのか、ウサギのアゴと格闘しながらつぶやく。
(牙で何か作るのか)
オレにもようやく察しがついた。ストラップか何か飾りのようなものを作るのかもしれない。そう思った。
(そっちも気になるな・・・・・・)
膜を取る作業は一旦止め、彼女の方に向き直る。
「気になるから、見ててもいい?」
「いいよ。フフッ」
肉に、内臓に、皮に、牙、余すところなく使い切る。エルフの狩った獲物に対する姿勢がなんだかカッコイイ。
「毛皮は最初に肉や膜を綺麗に剥がさないといけないの。そうしないと後でそこから腐っちゃうからね」
毛皮の説明を聞きながらその作業を眺めていると、オレが暇そうにしているように見えたのか彼女に聞かれた。
「ユウもやってみる?」
(オレが狩ったウサギだもんな)
狩った獲物がどのように利用されるのか興味が湧いたので手伝うことにした。
「ああ、やってみたい」
チェアリーから毛皮を受け取り、彼女がやっていたように見よう見まねで膜を剥がしてみる。
「難しいな」
膜は薄く、しかも油でツルツル滑るため上手く剥がせない。爪で摘まもうとすると薄いのでちぎれてしまう。根気のいる作業だ。
「ウサギは皮が薄いから破らないように気をつけて」
「大変なんだな」
「もっと皮の厚い毛皮ならナイフでこそぎ取るんだけどね」
「うーん・・・・・・」
何かナイフの代わりになる物は無いかと見渡すと、使わず余っていた串が目に付いた。
毛皮を平たい石の上に広げ、串を手に取り膜をからめとるようにこする。
べろーん
(指でやるよりは取りやすい)
薄い膜は串のささくれだった部分に絡みつき、そのまま破らないようにゆっくり引き上げると上手く取ることが出来た。
「膜を取り終わったらどうするの?」
「取り終わった後は紅茶に漬けるの」
「紅茶に?なんで?」
「紅茶の渋味が皮に染み込んで腐らなくなるんだよ。皮もそのままだと腐っちゃうからね」
「へぇ、そうなんだ」
まったく知らない知識に触れるのは好奇心を刺激されて楽しい。
「あ、そうだ」
彼女は何か思いついたように立ち上がり、土手の草むらで何か摘んで戻ってきた。
「紅茶はもったいないから、このシダを使ってもいいんだよ」
手には道端で見かける雑草が握られていた。
「それをどうするの?」
「お湯で煮出してその液に漬けると紅茶と同じように渋味で皮が腐らなくなるの。皮は何回も漬け直さなきゃいけないから、その度に紅茶を淹れてたらもったいないでしょ」
「チェアリーは何でも知っているんだね」
「ううん!そんなことないよ。お父さんに教えてもらっただけだし・・・・・・フフフッ」
オレが膜を取るのに四苦八苦していると、紅茶で思い出したのか彼女がお茶を淹れてくれた。
「はい、お茶が入ったよ。ちょっと休んで」
そう言って渡してくれたカップからはミントの香りが漂ってきた。
「ありがとう(ミントかぁ・・・・・・)」
「今日のはフェンネルの種を入れてみたんだ」
(フェンネル?今朝、買ったドライハーブか?)
ズズッ・・・・・・
相変わらず強烈なミントの刺激が鼻に抜けたが、この前のものより青臭さが無い気がする。
そして、表面に浮いていたつぶつぶしたものがフェンネルの種だろうか?口の中に流れ込んできたので小さな粒を歯で噛み潰すとほんのりとした甘さが口の中に広がった。
(後味はほろ苦いような?)
彼女がニコニコしながら見ているので、そのハーブティーをチェアリーにも分けてあげた。
「種を噛むと少し甘いね」
ズズッ・・・・・・
「はぁー、フェンネルの種は口臭予防に数粒そのまま食べてもいいんだよ」
彼女も種を噛み潰しているのか、その口が細かく動いていた。唇は少し前に突き出し、チマチマと動いていてまるで小動物を思わせる。
(かわいい)
ズズッ・・・・・・
「食後にミントと一緒に飲んだらサッパリしてちょうどいいでしょ?はい、」
彼女はカップを戻してきた。
(そういう目的で飲んでいたのか)
ズズッ・・・・・・
確かに食事の後に飲めば口がさっぱりしていいかもしれない。飲みなれてくればミントも悪くない気がする。
(あ、もしかしてオレ、匂ってるのか?)
彼女がミントティーを進めてくるのはそういう事なのかと気付き、オレはさりげなく口を手で覆い息をチェックしてみた。
「はぁ、」
今飲んだミントの香りがするばかりでよく分からない。
(そうだ、歯ブラシも買わないと、)
夕方は早く寝てしまい、朝はバタバタしていたのですっかり歯磨きの事は忘れていた。
(そもそも歯ブラシってこの世界に売っているのか?)
ズズズッ・・・・・・
オレは口の中にミントが行き渡るようにゆっくりすすった。
今度は彼女が鍋を持って立ち上がった。
川べりに行き、水を汲んできたらしくゆっくりとした足取りで戻ってくる。
その鍋を火にかけたので何か料理をするのかと中を覗いたら、水の中にはウサギのアゴが沈んでいた。
チェアリーはチラチラこちらを見てニコニコしている。
「なに?」
「フフッ、いいモノ作ってあげるからユウは膜を取ってて」
(ダシか?)
豚骨スープのように骨から料理のダシを取るのかと思ったが、それにしてはあまりに骨が少なすぎる。それに今、昼飯を食べたばかりでお腹はいっぱいだ。
何をするのか検討もつかなかったので、オレは言われた通り膜を取る作業に戻った。
それでも何をしているのか気になり、時々チラ見する。
しばらくしてお湯が沸き、彼女は鍋を小刻みに振っていたかと思うと、お湯を全部捨ててしまった。
「なに作ってるの?」
「いいから、いいから」
そう言うばかりで何を作っているのか教えてはくれない。しかし、隠す様子は無く、オレが視線を向ける度に彼女はにっこり笑う。
「あつッ!」
茹でたウサギのアゴを石の上に乗せ、彼女は熱そうにしながら牙をもぎ取り始めた。
「茹でた方が取りやすくなるから」
オレに説明しているのか、独り言なのか、ウサギのアゴと格闘しながらつぶやく。
(牙で何か作るのか)
オレにもようやく察しがついた。ストラップか何か飾りのようなものを作るのかもしれない。そう思った。
(そっちも気になるな・・・・・・)
膜を取る作業は一旦止め、彼女の方に向き直る。
「気になるから、見ててもいい?」
「いいよ。フフッ」
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