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第4章
4-20
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4-20「チェアリーのターン」
彼は皮の加工に興味があるらしく、私が膜を剥がす作業を代わってあげると串を使ったりして自分で工夫しながら作業しだした。
更に皮加工の知識を教えると益々興味を持ってくれたようだった。
「チェアリーは何でも知っているんだね」
「ううん!そんなことないよ。お父さんに教えてもらっただけだし」
冒険者をやめてエルフの村に帰ったら、彼に皮職人になってもらうのも悪くない。そう思えてきた。
(ユウをお父さんに合わせたら話が合うんじゃないかな?)
一生懸命皮に向き合っているユウの姿を見ていると将来に期待が膨らむ。
「フフフッ」
(あ、お茶!)
彼に見とれてしまい、お茶を出そうと思っていた事をすっかり忘れてしまっていた。火にかけたままだったカップは、グラグラとお湯が沸いている。
カバンからミントを取り出す。
この前、収穫し過ぎたミントを一日部屋の窓辺に干しておいたものだ。まだ乾燥しきっていないけれど使うかと思って持って来た。
摘みたてのフレッシュハーブより香りは劣るが、ドライハーブは青臭さが抜けて飲みやすくなる。私はどちらかといえばドライハーブで淹れたミントティーの方が好き。
ミントの茎を摘まみながらカップのお湯に浸す。それを上下させながら味と香りが抽出されるのを見ているうちに、お湯は淡い黄色に染まっていく。
漬けすぎるとえぐ味が出てしまうのでミントは取り出して、仕上げに今朝買ったフェンネルの種をミントティーに入れる。
フェンネルの種は昔から口臭予防として重宝されてきたハーブだ。気になった時に数粒そのまま口に含んで噛んでいれば、スースーとした清涼感がほのかな甘みと共に口に広がり口臭を押さえてくれる。ハーブティーにするなら同じ清涼感のあるミントと組み合わせると相性がいい。
誰かが言っていた「いつも可愛くあるべき」だと。私はいつも身だしなみには気を付けているつもりでいる。フェンネルの種も身だしなみの1つとして携帯出来て便利なので今朝、買い足しておいた。
(いつ、キスされるか分からないし・・・・・・)
ユウは何のそぶりも見せず、私がドキドキするような事を突然してくる。その時になって慌てないようにしておきたい。
「はい、お茶が入ったよ。ちょっと休んで」
毛皮の膜を取るのに悪戦苦闘しているユウにミントティーを手渡す。彼は熱さに気をつけながら、ゆっくりすすりはじめた。
ズズッ・・・・・・
「種を噛むと少し甘いね」
そう言いつつ彼が差し出すカップを受け取り、私もすすった。
ズズッ・・・・・・
「はぁー」
こうして一緒にお茶を飲んでいると、うちの両親と同じ事をしているのに気が付いた。父が狩をして捕まえた獲物の皮を加工して、休憩に母がハーブティーを淹れる。
(フフフッ、何だか変なの)
両親もこんな気持ちでお茶をすすっていたのかと分かり、ちょっと自分が成長した気がする。
(あ、忘れてた)
あまりにまったりしすぎて、もう1つ仕事が残っていたのを忘れてた。
(お守り作らなきゃ)
彼とゆっくりお茶をすすっていたかったが、のんびりもしていられない。空を見上げると日は少し西へ傾き始めている。帰る前にここで作っておきたい。
鍋に水を汲み、ウサギのアゴを入れて火にかけた。こうする事で牙の周りに付いている肉が落ちやすい。
アゴから牙を外している間、彼は興味ありそうにこちらをチラチラ見てくる。何を作るのかよっぽど気になったらしい。
「気になるから、見ててもいい?」
「いいよ。フフッ」
父も皮の加工のついでに牙や骨などを使って、ちょっとした装飾品を作っているのだ。
(また共通点発見っ!)
ユウに何を作るのか説明するため、カバンから裁縫道具を取り出した。
服や革製品のちょっとしたほころびなどは自分で直すことができるように、針や糸、ハサミや革紐などをいつも持ち歩いている。
その裁縫道具をまとめて入れている革袋は父が作ってくれたものだ。
「これを見て。こんな感じの留め具を作ろうと思ってるの」
私はその革袋の留め具に使われている牙を見せた。
牙の根元に穴を開けただけのシンプルな作りで、その穴に革紐が通してある。紐で革袋を巻きつけ牙の部分で紐にくぐり通せば、革袋はばらけない。
「これって、ウサギの牙なの?」
「そうだよ。お父さんが作ってくれたの」
「へぇ、カッコイイね」
彼は牙の留め具を気に入ってくれたようだ。
私はアゴから外した牙を手に取りユウに見せた。
「ほら、先端はとっても固いけど、アゴに埋まってる根元の部分は柔らかいの。中心部分は空洞にもなっているし穴も開けやすいんだよ。」
「ふーん」
彼に実演するため、ナイフを手に取り牙の根元の部分を少しカットして見せる。
「本当に柔らかいんだね」
「時間が経って乾いてくると根元の部分も固くなるから、その前に穴を開けるの」
次に裁縫道具から目打ちを取り出し、牙の根元の部分に横から刺してねじ込むようにして穴を開けて見せた。
「やってみる?」
「ああ」
「割らない様に気をつけてね」
彼も私を手本に穴を開けていく。
「穴に革紐を通せば完成だよ」
「おおっ」
革紐を通して見せると、ユウは喜んでくれた。
「小物を入れる革袋の留め具にしてもいいんだけど・・・・・・ユウ、そのストールちょっと脱いで」
「ん?これ?」
私は彼が羽織っていたストールを受け取った。それはただの大きな布だ。外で動き回るのには向かない。
「羽織っているだけだとズレ落ちちゃうでしょ?この牙をボタンの代わりに付けてあげる」
「え、出来るの?」
「簡単だから、ちょっと待ってて」
ボタン付けはそんなに難しくはない。面倒なのは布にボタンを通すための穴を開けたら、そこからほつれないようにするために穴の周りを糸でステッチする作業くらいだ。
ユウが膜を剥がしているうちに終わるだろう。
(よし!)
いい物を作ってあげようと、私は心の中で気合いを入れた。
彼は皮の加工に興味があるらしく、私が膜を剥がす作業を代わってあげると串を使ったりして自分で工夫しながら作業しだした。
更に皮加工の知識を教えると益々興味を持ってくれたようだった。
「チェアリーは何でも知っているんだね」
「ううん!そんなことないよ。お父さんに教えてもらっただけだし」
冒険者をやめてエルフの村に帰ったら、彼に皮職人になってもらうのも悪くない。そう思えてきた。
(ユウをお父さんに合わせたら話が合うんじゃないかな?)
一生懸命皮に向き合っているユウの姿を見ていると将来に期待が膨らむ。
「フフフッ」
(あ、お茶!)
彼に見とれてしまい、お茶を出そうと思っていた事をすっかり忘れてしまっていた。火にかけたままだったカップは、グラグラとお湯が沸いている。
カバンからミントを取り出す。
この前、収穫し過ぎたミントを一日部屋の窓辺に干しておいたものだ。まだ乾燥しきっていないけれど使うかと思って持って来た。
摘みたてのフレッシュハーブより香りは劣るが、ドライハーブは青臭さが抜けて飲みやすくなる。私はどちらかといえばドライハーブで淹れたミントティーの方が好き。
ミントの茎を摘まみながらカップのお湯に浸す。それを上下させながら味と香りが抽出されるのを見ているうちに、お湯は淡い黄色に染まっていく。
漬けすぎるとえぐ味が出てしまうのでミントは取り出して、仕上げに今朝買ったフェンネルの種をミントティーに入れる。
フェンネルの種は昔から口臭予防として重宝されてきたハーブだ。気になった時に数粒そのまま口に含んで噛んでいれば、スースーとした清涼感がほのかな甘みと共に口に広がり口臭を押さえてくれる。ハーブティーにするなら同じ清涼感のあるミントと組み合わせると相性がいい。
誰かが言っていた「いつも可愛くあるべき」だと。私はいつも身だしなみには気を付けているつもりでいる。フェンネルの種も身だしなみの1つとして携帯出来て便利なので今朝、買い足しておいた。
(いつ、キスされるか分からないし・・・・・・)
ユウは何のそぶりも見せず、私がドキドキするような事を突然してくる。その時になって慌てないようにしておきたい。
「はい、お茶が入ったよ。ちょっと休んで」
毛皮の膜を取るのに悪戦苦闘しているユウにミントティーを手渡す。彼は熱さに気をつけながら、ゆっくりすすりはじめた。
ズズッ・・・・・・
「種を噛むと少し甘いね」
そう言いつつ彼が差し出すカップを受け取り、私もすすった。
ズズッ・・・・・・
「はぁー」
こうして一緒にお茶を飲んでいると、うちの両親と同じ事をしているのに気が付いた。父が狩をして捕まえた獲物の皮を加工して、休憩に母がハーブティーを淹れる。
(フフフッ、何だか変なの)
両親もこんな気持ちでお茶をすすっていたのかと分かり、ちょっと自分が成長した気がする。
(あ、忘れてた)
あまりにまったりしすぎて、もう1つ仕事が残っていたのを忘れてた。
(お守り作らなきゃ)
彼とゆっくりお茶をすすっていたかったが、のんびりもしていられない。空を見上げると日は少し西へ傾き始めている。帰る前にここで作っておきたい。
鍋に水を汲み、ウサギのアゴを入れて火にかけた。こうする事で牙の周りに付いている肉が落ちやすい。
アゴから牙を外している間、彼は興味ありそうにこちらをチラチラ見てくる。何を作るのかよっぽど気になったらしい。
「気になるから、見ててもいい?」
「いいよ。フフッ」
父も皮の加工のついでに牙や骨などを使って、ちょっとした装飾品を作っているのだ。
(また共通点発見っ!)
ユウに何を作るのか説明するため、カバンから裁縫道具を取り出した。
服や革製品のちょっとしたほころびなどは自分で直すことができるように、針や糸、ハサミや革紐などをいつも持ち歩いている。
その裁縫道具をまとめて入れている革袋は父が作ってくれたものだ。
「これを見て。こんな感じの留め具を作ろうと思ってるの」
私はその革袋の留め具に使われている牙を見せた。
牙の根元に穴を開けただけのシンプルな作りで、その穴に革紐が通してある。紐で革袋を巻きつけ牙の部分で紐にくぐり通せば、革袋はばらけない。
「これって、ウサギの牙なの?」
「そうだよ。お父さんが作ってくれたの」
「へぇ、カッコイイね」
彼は牙の留め具を気に入ってくれたようだ。
私はアゴから外した牙を手に取りユウに見せた。
「ほら、先端はとっても固いけど、アゴに埋まってる根元の部分は柔らかいの。中心部分は空洞にもなっているし穴も開けやすいんだよ。」
「ふーん」
彼に実演するため、ナイフを手に取り牙の根元の部分を少しカットして見せる。
「本当に柔らかいんだね」
「時間が経って乾いてくると根元の部分も固くなるから、その前に穴を開けるの」
次に裁縫道具から目打ちを取り出し、牙の根元の部分に横から刺してねじ込むようにして穴を開けて見せた。
「やってみる?」
「ああ」
「割らない様に気をつけてね」
彼も私を手本に穴を開けていく。
「穴に革紐を通せば完成だよ」
「おおっ」
革紐を通して見せると、ユウは喜んでくれた。
「小物を入れる革袋の留め具にしてもいいんだけど・・・・・・ユウ、そのストールちょっと脱いで」
「ん?これ?」
私は彼が羽織っていたストールを受け取った。それはただの大きな布だ。外で動き回るのには向かない。
「羽織っているだけだとズレ落ちちゃうでしょ?この牙をボタンの代わりに付けてあげる」
「え、出来るの?」
「簡単だから、ちょっと待ってて」
ボタン付けはそんなに難しくはない。面倒なのは布にボタンを通すための穴を開けたら、そこからほつれないようにするために穴の周りを糸でステッチする作業くらいだ。
ユウが膜を剥がしているうちに終わるだろう。
(よし!)
いい物を作ってあげようと、私は心の中で気合いを入れた。
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