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JFG-2
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「それで、何か用?」
ユウキは訊いた。タバコはくわえた1本だけ、残りの箱も取り上げられてはたまらないから大急ぎでしまってこちらから質問する。「職質?」
「ううん、そんなおおげさな話じゃないのよぉ」
スズナは首を振る。でも、いかにもそれらしいブルーの制服。ブルーのパンツ。おおげさな話じゃないということは、つまり権限は持っているって言外にいってるんじゃないか?
「きょうは学校はお休み?」
「創立記念日で休校なんだ」
「へえ」
スズナはにやりと笑う。
うわぁ、一瞬でバレるウソついちゃった。浮氷市にある学校なんて限られているのに、せめて仮病にすればよかった。
「いいわ。これからは真面目な話。ユウキちゃんノボットはわかるかしら。フリーAIともいうわね」
「ノボット。え~と聞いたことはあるなぁ。学校のお友達に聞いたかな?」
誰から聞いたかそれは問題ではない。たいした問題ではない。
今「ユウキちゃん」って名前を呼んだぞ。 もちろん自分が名乗っているはずはない。まだなにも聞かれてない。素性はすっかり知られてるってことじゃないか。
あるいは脳内インターフェイス・インプラントから情報を読み取られたってことか。この女ポリス……か、かわいい……。かわいいけど怖い。
「大丈夫? 顔色が良くないよ。お家に帰ってほうがいいかも」
「あ、はあ、ちょっと風邪ぎみで……」
「お大事にね。ノボットは所有者がはっきりしないロボットで、街を自由に徘徊しています。もちろん大多数は第一条項、人命尊重条項が効いてるので害はないはずですが、ごく一部に破損しているものがあるのね」
スズナはふと視線をそらして、またユウキの目をのぞき込む。ひゃあ。かわいい。
「咬んだりするわけ?」
「うん、冗談ではなく、ホントに危険なのもいるの。私たちもパトロールしているのですが……名刺の裏に私のコードが載っています。直接私に連絡できるから、万が一の時には呼んでくださいね」
「あ、はあ」
防波堤の下からシナンが駆け上がってくる。バリエーションの犬の顔をしたシナン。バリエーションはアニマルフォームともいい、要するに動物の姿をした人間のことだ。
今の時代、バリエーションはごく普通の人々なので説明の必要はないと思うが……。
とにかくシナン、ホンモノの犬みたいにベロ出して、防波堤の階段上がってくる。何事だ? エアモのまわりをぐるり回ってこちらにくる。
シナンのおんぼろトラックでドライブ、タバコ吸いたいからといって防波堤の上、ひとりでいたユウキなのだ。シナンはそこまで付き合ってはくれない。「だいたい、ユウキはタバコ臭い」鼻だけはいいんだよね、こいつ。
「ああ、やっぱりスズナさんだ。こんにちは、パトロールですか」
シナン、見たこともないような笑顔だね。ユウキなど目もくれない。
「あ~ら、シナンくん。お元気?」
「お勤めご苦労さまですぅ」
ふざけた敬礼なんかして。
「なになに、ユウキちゃんのお友達だったの。学校サボってデート? アツアツアツ、ヤバいなぁ」
「やめてよスズナさん。これは荷物。オレの彼女は別だから変なこと言わないでね」
荷物のユウキは憮然。
「アツアツアツアツ。ユウキちゃんは風邪ぎみなの、家までおくってあげてくれるかな」
「アイアイサー、スズナさんに言われれば何でもやりますよ」敬礼。
この荷物は天地無用だからな。
むちゃくちゃ腹が立つな、このワンコ、尻尾振ってるしさ。
もちろんシナンはいいやつだから、いろいろ用事を頼んでも嫌な顔しない。何かと頼ってしまう。海でタバコを吸いたいからといえば、連れてきてくれる。
文句をいっちゃ、バチが当たるというもの。しかしポリスとの馴れ馴れしさは何なの。一度逮捕されたことがあるのかな。意識下拘束、されっぱなし?
憮然ついでにもう一本、素速く火をつけ煙をはく。あ、ポリス真顔で睨んでる。かまうもんか。
ユウキは訊いた。タバコはくわえた1本だけ、残りの箱も取り上げられてはたまらないから大急ぎでしまってこちらから質問する。「職質?」
「ううん、そんなおおげさな話じゃないのよぉ」
スズナは首を振る。でも、いかにもそれらしいブルーの制服。ブルーのパンツ。おおげさな話じゃないということは、つまり権限は持っているって言外にいってるんじゃないか?
「きょうは学校はお休み?」
「創立記念日で休校なんだ」
「へえ」
スズナはにやりと笑う。
うわぁ、一瞬でバレるウソついちゃった。浮氷市にある学校なんて限られているのに、せめて仮病にすればよかった。
「いいわ。これからは真面目な話。ユウキちゃんノボットはわかるかしら。フリーAIともいうわね」
「ノボット。え~と聞いたことはあるなぁ。学校のお友達に聞いたかな?」
誰から聞いたかそれは問題ではない。たいした問題ではない。
今「ユウキちゃん」って名前を呼んだぞ。 もちろん自分が名乗っているはずはない。まだなにも聞かれてない。素性はすっかり知られてるってことじゃないか。
あるいは脳内インターフェイス・インプラントから情報を読み取られたってことか。この女ポリス……か、かわいい……。かわいいけど怖い。
「大丈夫? 顔色が良くないよ。お家に帰ってほうがいいかも」
「あ、はあ、ちょっと風邪ぎみで……」
「お大事にね。ノボットは所有者がはっきりしないロボットで、街を自由に徘徊しています。もちろん大多数は第一条項、人命尊重条項が効いてるので害はないはずですが、ごく一部に破損しているものがあるのね」
スズナはふと視線をそらして、またユウキの目をのぞき込む。ひゃあ。かわいい。
「咬んだりするわけ?」
「うん、冗談ではなく、ホントに危険なのもいるの。私たちもパトロールしているのですが……名刺の裏に私のコードが載っています。直接私に連絡できるから、万が一の時には呼んでくださいね」
「あ、はあ」
防波堤の下からシナンが駆け上がってくる。バリエーションの犬の顔をしたシナン。バリエーションはアニマルフォームともいい、要するに動物の姿をした人間のことだ。
今の時代、バリエーションはごく普通の人々なので説明の必要はないと思うが……。
とにかくシナン、ホンモノの犬みたいにベロ出して、防波堤の階段上がってくる。何事だ? エアモのまわりをぐるり回ってこちらにくる。
シナンのおんぼろトラックでドライブ、タバコ吸いたいからといって防波堤の上、ひとりでいたユウキなのだ。シナンはそこまで付き合ってはくれない。「だいたい、ユウキはタバコ臭い」鼻だけはいいんだよね、こいつ。
「ああ、やっぱりスズナさんだ。こんにちは、パトロールですか」
シナン、見たこともないような笑顔だね。ユウキなど目もくれない。
「あ~ら、シナンくん。お元気?」
「お勤めご苦労さまですぅ」
ふざけた敬礼なんかして。
「なになに、ユウキちゃんのお友達だったの。学校サボってデート? アツアツアツ、ヤバいなぁ」
「やめてよスズナさん。これは荷物。オレの彼女は別だから変なこと言わないでね」
荷物のユウキは憮然。
「アツアツアツアツ。ユウキちゃんは風邪ぎみなの、家までおくってあげてくれるかな」
「アイアイサー、スズナさんに言われれば何でもやりますよ」敬礼。
この荷物は天地無用だからな。
むちゃくちゃ腹が立つな、このワンコ、尻尾振ってるしさ。
もちろんシナンはいいやつだから、いろいろ用事を頼んでも嫌な顔しない。何かと頼ってしまう。海でタバコを吸いたいからといえば、連れてきてくれる。
文句をいっちゃ、バチが当たるというもの。しかしポリスとの馴れ馴れしさは何なの。一度逮捕されたことがあるのかな。意識下拘束、されっぱなし?
憮然ついでにもう一本、素速く火をつけ煙をはく。あ、ポリス真顔で睨んでる。かまうもんか。
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