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第88話 運営からの告知
しおりを挟む午後からは佐藤女史に餃子バーに連行されていた。
平日昼間で閉店している餃子バーの鍵をさも当然と開ける佐藤女史を眺めながら、餃子バーはいつからシェアオフィスになったんだろうと考えていると眼鏡が振り向いた。
「何か飲みますか?」
「で、ではビールを」
「ノンアルコールでお願いします」
「ではお茶で」
「はい。二階でお待ちください」
佐藤女史と2人きりのシチュエーションは内心ビビっていた。この女帝は意識的にプライベートスペースを侵略してくるきらいがある。
ルイさんが天然に距離をつめてきてドキリとするものであるなら、佐藤女史のそれは気が付けば間合いに入っておりゾクリとくるものだ。耳元で声が聞こえて横を向けばすぐ近くに顔があるのは危ないのでやめて欲しい。
ちなみに佐藤女史はカオルさん並の高身長だ。
二階に上がるとどこかで見たカメラが設置されている。前にルイさんの詠唱短縮合宿でつかっていたカオルさんのカメラだ。
「もう少しでカオルさんとモモカさんが来ますが先に始めましょうか」
お茶が入ったグラスを2つ持った佐藤女史が、窮屈そうに狭い階段を登ってきた。
「吹けよ吹け。清廉なる流転、高貴なる碧。全てを阻む瀑布となれ。風幕」
佐藤女史がまず最初に詠唱短縮を獲得を希望したのは、遠距離&初級攻撃魔法を無効化する消費MP20の中級風魔法の風幕だった。
この辺は自分もやっておかなければならないだろう。今回は冒険者ギルド関係者ということで無報酬だ。
「この辺であれば私でも詠唱できますね」
「頼もしいですね」
佐藤女史はデスペナの補償でMPは240を超えているため、休憩時間はそれほど必要がない。スマホ画面にフォーカスしたカメラを回しつつ進めていたが……隣、近い。そしてなぜジャケット脱いだらタンクトップ。つるりとした生地の純白がチラチラ目に入り眩しい。
「あ、皆さんいらっしゃいましたね」
がらりと戸が開けられる音と床を踏む足音がやってきた。
そしてなぜジャケットを羽織る。
「お、お疲れ様です!」
「お疲れ」
「お疲れ様です」
走ってきたのか息を弾ませたモモカといつも通り片手を上げた挨拶のカオルさんだ。しかし、視線は俺ではなく佐藤女史に向いている。
「佐藤さん! 討伐イベントの告知がきました! これってどうしたらいいですか?!」
討伐イベント……運営が主催する賞金イベントだったような……。
「……このタイミングで討伐イベントですか。あまり良くないですね」
眼鏡が反射して深刻そうだ。
「冒険者の争奪戦になります」
……それだけ?
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