101 / 108
祝100話 再戦の誓い
しおりを挟むのんびりと宿で朝風呂をし、斜め向かいの餃子バーの鍛冶場で何となく杖の強化メニューを見るまでは気分が良かった。北海道らしい涼しげな午前の風で天気も良かったのだ。
『獄怨の杖』の強化メニューには『重量軽減』しかなかった。
とりあえず叩いてみた。100回。
午前中から店はやっていないので店の外でだ。
+1になり、重量が65から63に減少した。
少しムキになり、もう200回叩いた。
+2になり、重量が63から61に減少した。
かなりやけになり、もう300回叩いた。2回ほどすっぽ抜けてスマホが飛んでいった。
+3になり、重量が61から59に減少した。
大分、軽くなった。気が付けば昼だ。
ということで、創成川を渡ってややススキノ方面にあるスープカリー屋にやってきた。
こんな気分を変えるには刺激的なのが1番だ。
この店の特徴として、黄色いターメリックライスにレモンが添えられている。ライスに搾りかけるのが正しいのだろうが、これをわざと辛めのオーダーにしたスープに搾るのが好きだ。
後、ゴマがふりかけ放題だ。
「お一人様ですか? こちらへどうぞ」
「ヘルシーハンバーグ4番ライス普通で」
スープカレーといえば揚げた具材を入れるお店が多く、とても油分多目なのだがここはそんな油で誤魔化さない数少ない店だ。
しかし……この『獄怨の杖』は性質が悪い。
ロストするリスクのある+5以降で追加効果を出してからでないと、まともに強化ができないとは……。
重量軽減など……ちょっと腹が立ってLCも90から100に上げてしまった。自省しよう。
「お待たせしましたー。ヘルシーハンバーグです」
金色に輝くスープにゴマを振りかけていく。スープが見えなくなるまでこれでもかと振る。いや、右腕が限界だ。
スープを啜る。
相変わらずスパイスが調和している。各個尖りすぎずコクのある出汁を盛り上げている。塩味も辛味と喧嘩せず丁度良い塩梅だ。
ライスと合和する。約束された勝利のライス。
湧き上がってくる辛さに早くも額に汗がにじむ。
辛い。
ここでレモンが救出だ。辛味と相克する酸味が辛さを抑え、深みを与えてくれる。鶏肉を混ぜたヘルシーな豆腐ハンバーグも舌の一時退避を助けてくれるのだ。
攻める。
ライスの弾数が心許ない。想定より減りが早い、戦線は保つのか。
カボチャだ。炭水化物勢はジャガイモもまだ残っている。
汗が滴る。朝にサウナで搾ってきたというのに前からも後ろからも吹き出している。
このままでは減量中のボクサーのように痩せ細ってしまうのではないだろうか。
しかし、ギリギリで完食。
勝負には勝ったが、許容量を超えた辛味は後で腹が痛くなるだろう。気にするな想定通りだ。
とりあえず宿に帰って風呂に入ろう。
清々しい気分で歩き始めるとゲップが出た。ゲップまでスパイシーだ。
「Heavenly……」
また戦いに来る。そう誓った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる