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ⅩⅢ.カフェにて
しおりを挟む「ここにしようか」
ホテル内で軽く食事を済ませ、チェックアウトを早々にした裕太達は近くにあったカフェに場所を移すことにした。
「僕はホットココアで」
「私はメロンソーダ」
「俺はホットコーヒーのブラック」
「茉莉奈はアイスミルクティーにするわ」
各々注文を済ませてテラス席へ着席する。近郊で採れた野菜や家畜等が色とりどりの形へと変貌する厨房。調味料の香りで食欲をそそる。
「さて、茉莉奈さん、そろそろ聞かせてもらおうかな?君自身が知っている"見解"を」
「あら、随分強い言い方するのね。まるで茉莉奈は憶測で物事を言ってるみたいじゃない」
ダインの少し苛立っている問いかけに対し、顔色ひとつ変えずに反論する茉莉奈。
「……どちらにしてもそろそろ話さないといけないのも事実。今、世界はとんでもなく危険な状態に陥ってるの。
一言で表すのは難しいんだけど、人類は破滅の一途を辿っている。つまり人類滅亡ね」
「人類滅亡……?」
「ゆう、そんな青ざめた顔しないで?ゆうには茉莉奈がいるから♪
そんな危険な状態を危惧した科学者たちは、全世界が協力して"ある世界"を創成する事にしたの。それがこの世界、仮想現実なの」
「つまり俺たちは存在しない世界に生きる住人って事なのか…?」
「ダインさん、そんな事無いよ?この世界のみんなが同じ時を刻みながら生きてるよ?
少し話は難しくなるんだけど、最初は仮想現実、つまりバーチャルリアリティを生成。その世界の情報を人間の脳波を送り込む事によって仮想現実世界を"あたかも本物の世界"に感じさせることに成功したの。当然、身体そのものは現実世界にいる訳だからそれだけじゃ足りない。人間そのものをバーチャルリアリティの世界に送り込まなければ最悪の事態は避けられない。世界の科学者たちは頭を悩ませた、人を仮想現実に送り込むための技術開発に」
テーブルに置かれたミルクティーを一口、口の中に注ぎ話を続ける。
「技術的な面は茉莉奈も良く分かってないし省略するけど、科学者たちは遂に人間そのものをバーチャルリアリティに送り込むための装置開発に成功したの。その装置を開発した第一人者が茉莉奈のパパをはじめとする数名の科学者たちだったってわけ。そこからは紙に書いて説明するね」
そう言って茉莉奈は紙とボールペンを用意して、黙々と文字を記載していく。
・世界を構築するためのAIの開発、仮想現実への送り込み
・人口を管理する為、全人類(当初はAI)のナンバー化
・AIの暴走抑制プログラムの開発
・人工的に作られた卵巣の受精に成功。一部のAIに移植
・仮想現実で生まれた人間の増加によりAIの停止を決定
・バグの発生。後に魔法等と呼ばれているものの前身
・ゼロと呼ばれている存在を確認。世界の覇者となる
・人類最初の仮想現実への送り込みに成功。しかし記憶の殆どを失うバグが発生
・死後数日程度であれば仮想現実で生き返る事が出来るという実験に成功。しかし、権力等により仮想現実が崩壊する可能性がある為被検体は数名のみに留まる
・現実世界で、仮想現実への移動により強力な力を発揮する人間の確認
・過去の記憶を残して仮想現実に送り込める実験に成功。成功率は1%以外
・ゼロ討伐の為、現実世界より"ワンス"の選定。送り込み開始
「時系列みたいにするとこんな感じかな」
誰も反応を示さなかった。ただひたすらに茉莉奈の書いた文字を見つめるのであった。
「……」
暫くの間沈黙が続いたが、先手を切る様にモモが茉莉奈に問いかける。
「私ってさ、頭あんまり良くないから全然わかんない事だらけなんだけど、結局誰が悪いのかなって思うの。この世界だって作り上げてきたのは私たちのご先祖さんたちなんでしょ?だったらこれがその結果なんじゃないかなって思うんだよね」
「ある意味そうなると思うよ?茉莉奈は死んじゃってから転送されて来たから変な感じだけど、この世界は茉莉奈にとっては第二の人生だもん。良い方向に向かって欲しいって思うよ?」
「……うん」
ヨウヤクオマエノイルイミガワカッテキタダロ
多分……だけど。僕はそのゼロという存在を倒す為に来たんだね
ソウダ
でもなんで僕なの。僕は臆病で泣き虫で……何よりも"人殺し"だ
カコニシバラレテイルノカ
だってそうでしょ。過去は覆すことなんて出来ないんだ
オマエ、アブナイゾ
危ない?それってどう言う意味?
オマエノチカラハジシンノココロニチョクセツリンクシテイル
ヨワイセイシンジョウタイナドキョウダイナチカラニケサレルゾ
強大な力に消される……か。それでもいいかもしれない
ナラ、オマエヲケシサッテヤロウカ。ヨワイオマエナドイラナイ
うん。そうして欲しいな
……ワカッタ
「ねえゆう、ゆうってば!大丈夫!?」
「……大丈夫」
「ゆうが急に白目むいて動かないから茉莉奈、びっくりしたじゃない!茉莉奈をひとりにしないでよ……」
「茉莉奈、ボクは大丈夫。茉莉奈をひとりになんてさせないよ」
ギュッ
「!!!?ゆう……?」
「ボクはこの世界を変える。No.1、中村祐太の名にかけて。もうボクは迷ったりしない」
「うん……」
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