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ⅩⅤ.中村祐太の姿をした抜け殻
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「…ゆう、そろそろ離して欲しいかも。みんなの前で恥ずかしいよ」
「……」
茉莉奈を抱きしめ続ける祐太。離れようとする様子は微塵もない。それを少し離れた距離から見ているモモは複雑な気持ちだった。
「…お前、誰だ?」
今まで口を閉ざしていたダインが不意に"祐太"の方を向いて問いかける。
「ダインさん、どうしたんですか?ボクですよ、中村祐太ですよ?今までずっと一緒に旅をした仲じゃないですか?それをまるで"別人"の様な扱いしてきますね?…これだから勘が鋭い人は嫌いです」
「やはり…M・FCTANによって乗っ取られたか…」
「ダインさん、それは違いますよ」
「…?」
「僕は消えることを望んだ。それだけですよ。この気持ち分かります?僕の全てが蝕まれていく感覚、僕消えちゃうなって分かるんです」
「なっ…!?」
言葉を失った。祐太は思った以上に精神的ダメージを負っている。そこに付け込んだかのように入り込む"何者"か。
「僕はやっぱり駄目な人なんです。"人殺し"と呼ばれたあの日から。僕の人生は終わりました」
「ゆう、そんな事ないよ……だって茉莉奈はこうやって"生きてる"んだよ?それに茉莉奈の死因は自害。ゆうは何も悪くないよ……」
「うるさい!茉莉奈ちゃんはそれでいいかもしれない!でも僕はその後に人殺し扱いされた!この気持ちわかる!?分からないよね!!
……だから僕はもう要らない。さようなら」
そう茉莉奈に告げた瞬間、裕太は地べたにバタリと倒れ込んでしまった。
「ゆう……?ゆう……!?
いっ………イヤーーーー!!!!!」
茉莉奈の叫び声が木霊する。
俯くダイン。
言葉を失うモモ。
叫び続ける茉莉奈。
そんな三人の行動を尽く無視するかのように、裕太は動かない。
みんな……さようなら……さようなら……
あれからどれくらい時間が経ったであろうか。辺りはすっかり夜になっていた。カフェのオープンテラスで起こった事柄なのに、周りの人間たちは気にも止めなかった。やがて店内の証明は落とされて、薄暗い街明かりだけが灯る。泣きじゃくっていた茉莉奈も涙が枯れたのか、放心状態でその場にただ立ったままであった。
「……お兄ちゃん……いなくなった裕太の心って取り戻せないかな……?」
不意に沈黙を破るモモ。何かを決意したかのような顔だ。
「……方法は、あるにはある……」
『!!!?』
想定外の答えだったのであろう、モモと茉莉奈は驚きの表情を隠せない。
「ここから北東へ10キロ程進んだ先に小さな祠がある。噂レベルではあるが、その祠には己の心と向き合う事により開く扉が存在するらしい。その扉の先には自分が大事にしている人の心の真相を知ることが出来るらしい。それを知れば何か裕太を助ける手掛かりになるかもしれない」
「己の……」
「心……」
「つまり、自分の記憶から消えていったものや、思い出したくない記憶と向き合う…と言うことだ……君たちは、自分の心から消し去った嫌な記憶を思い出してでもそこに行きたいかい……?」
「うん」
「もちろん」
「そうか…俺には理由あって裕太を助けてあげられない。だから二人とも、頼んだぞ……」
そして三人は裕太を馬車に乗せ、暗闇の中へと消えていった……
人殺し!
人殺し!
人殺し!
やめてよ……僕は殺してない……
人殺しに近づくと殺されるぞ!
こっち来るなよ!
人殺しとかヤバイよねー
どうして……どうしてこんな事に……?
ゆう……
茉莉奈ちゃん!?
ドウシテイッショニシンデクレナカッタノ…?
うわーーーーーーーーー!!!!!!
「……」
茉莉奈を抱きしめ続ける祐太。離れようとする様子は微塵もない。それを少し離れた距離から見ているモモは複雑な気持ちだった。
「…お前、誰だ?」
今まで口を閉ざしていたダインが不意に"祐太"の方を向いて問いかける。
「ダインさん、どうしたんですか?ボクですよ、中村祐太ですよ?今までずっと一緒に旅をした仲じゃないですか?それをまるで"別人"の様な扱いしてきますね?…これだから勘が鋭い人は嫌いです」
「やはり…M・FCTANによって乗っ取られたか…」
「ダインさん、それは違いますよ」
「…?」
「僕は消えることを望んだ。それだけですよ。この気持ち分かります?僕の全てが蝕まれていく感覚、僕消えちゃうなって分かるんです」
「なっ…!?」
言葉を失った。祐太は思った以上に精神的ダメージを負っている。そこに付け込んだかのように入り込む"何者"か。
「僕はやっぱり駄目な人なんです。"人殺し"と呼ばれたあの日から。僕の人生は終わりました」
「ゆう、そんな事ないよ……だって茉莉奈はこうやって"生きてる"んだよ?それに茉莉奈の死因は自害。ゆうは何も悪くないよ……」
「うるさい!茉莉奈ちゃんはそれでいいかもしれない!でも僕はその後に人殺し扱いされた!この気持ちわかる!?分からないよね!!
……だから僕はもう要らない。さようなら」
そう茉莉奈に告げた瞬間、裕太は地べたにバタリと倒れ込んでしまった。
「ゆう……?ゆう……!?
いっ………イヤーーーー!!!!!」
茉莉奈の叫び声が木霊する。
俯くダイン。
言葉を失うモモ。
叫び続ける茉莉奈。
そんな三人の行動を尽く無視するかのように、裕太は動かない。
みんな……さようなら……さようなら……
あれからどれくらい時間が経ったであろうか。辺りはすっかり夜になっていた。カフェのオープンテラスで起こった事柄なのに、周りの人間たちは気にも止めなかった。やがて店内の証明は落とされて、薄暗い街明かりだけが灯る。泣きじゃくっていた茉莉奈も涙が枯れたのか、放心状態でその場にただ立ったままであった。
「……お兄ちゃん……いなくなった裕太の心って取り戻せないかな……?」
不意に沈黙を破るモモ。何かを決意したかのような顔だ。
「……方法は、あるにはある……」
『!!!?』
想定外の答えだったのであろう、モモと茉莉奈は驚きの表情を隠せない。
「ここから北東へ10キロ程進んだ先に小さな祠がある。噂レベルではあるが、その祠には己の心と向き合う事により開く扉が存在するらしい。その扉の先には自分が大事にしている人の心の真相を知ることが出来るらしい。それを知れば何か裕太を助ける手掛かりになるかもしれない」
「己の……」
「心……」
「つまり、自分の記憶から消えていったものや、思い出したくない記憶と向き合う…と言うことだ……君たちは、自分の心から消し去った嫌な記憶を思い出してでもそこに行きたいかい……?」
「うん」
「もちろん」
「そうか…俺には理由あって裕太を助けてあげられない。だから二人とも、頼んだぞ……」
そして三人は裕太を馬車に乗せ、暗闇の中へと消えていった……
人殺し!
人殺し!
人殺し!
やめてよ……僕は殺してない……
人殺しに近づくと殺されるぞ!
こっち来るなよ!
人殺しとかヤバイよねー
どうして……どうしてこんな事に……?
ゆう……
茉莉奈ちゃん!?
ドウシテイッショニシンデクレナカッタノ…?
うわーーーーーーーーー!!!!!!
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