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ⅩⅦ.未来
しおりを挟む「確かに自分の心と向き合いなさいって事だけどさぁ、これ流石に冗談キツイでしょ……」
「はあ?お前一人で何ブツブツ言ってんのさ、この心優しい雪菜様が中村くんと別れれば許すって言ってんの。ブス茉莉奈」
間違えない、これは私の事をずっと影でイジメてきた雪菜っていう性悪女。先生にバレない様にねちねちと嫌がらせをしてくる。
「別にいいじゃない。茉莉奈は可愛いからあんたみたいな性格まで腐ってる女になんか負けないし。それにゆうはあんたみたいな色っぽさの欠けらも無い女なんて興味も無いわ」
「あらぁ?随分と生意気な口を聞けるようになったのねぇ。普段は上辺だけの会話しかしてこないのに。キャラの路線でも変更しましたかー?キャハハッ!きっも」
そっか、そう言えばゆう以外の人間なんてどうでもよかったから、ある程度差し支えない程度の会話しかしなかったっけ。この女だけは別だけど。
ここで押し負けたらいけない。ゆうを助けるんだから!
「そうかしら?茉莉奈に嫉妬するのやめてよね。そもそもあんた、小学生のクセに心が荒んでるんじゃない?病院行ったら?小児科……いや、精神科……?あっバ科ね!!」
「ばっ……バカですって……?!
……もういいわ、この雪菜を本気で怒らせちゃったわね。言っとくけどこの後何があっても知らないから。精々泣き叫びながら中村くんの名前でも呼び続ければいいわ」
「やれるもんならやってみなさいよ」
待って、そもそも私この後どうなったんだっけ……?
……
……
確かあいつ放課後に中学生の兄を呼んできてその友達連れてきて……
あー、思い出しちゃった、全部。
その後男三人に囲まれて私の処女、奪われちゃったんだよね。そしてタイミング悪くあの男共の誰かの赤ちゃんを妊娠しちゃったんだ。小学生だったのに最悪な経験したんだよね。
親には妊娠の事言えないで、病院にも行けなくてずっとずっと一人で泣いてた。ゆうにも気付かれない様に隠し続けた。
「運命は変えられないの、そして貴女は二つの命を失ってる」
茉莉奈の前に突如として現れる謎の女の子。その女の子は悲しい目を浮かべながら茉莉奈をじっと見つめる。
「二つの命……?」
「そう、貴女の中に宿っていたもうひとつの命」
「……っ!!」
茉莉奈の目から大粒の涙が溢れていた。ぽつぽつと地面を濡らしながら。
「そっか……そうだよね。私、自分のことしか考えてなかった……私の中には赤ちゃん……いたんだよね……それなのに……それなのに……!」
地べたに座り込み泣きじゃくる茉莉奈に女の子はその小さな身体で茉莉奈を抱きしめる。
「よかった……忘れられてなかったんだ。私は貴女の化身、だけど名前も無いんだ。
名前……つけてほしい……だめ……かな……?」
「ダメなわけなんてないじゃない!寧ろごめんなさい。私……お腹の中にいたあなたのこと忘れてた……いや、忘れたかった。なんの罪もないあなたを忌み嫌ってた……謝らないと、いけないもの」
小さな女の子に抱きつかれながら泣きじゃくる茉莉奈は必死に答えた刹那、女の子の目からも大粒の涙が流れていた。
「ママ……ありがとう……」
「私こそ、ありがとう……そしてあなたに会えて良かった……」
「私も……」
「……名前……決めよっか……?」
過去を受け入れて未来へ進もうとする茉莉奈は幼い女の子の命名を考え始める。この子の願いを叶える為に。それが今の茉莉奈に出来る最大限の"愛情"なのかもしれない。
「ミライ……未来……」
「未来……素敵な名前……ママ、嬉しい……」
茉莉奈に微笑む未来。そして優しい光が未来を包み込む。
「未来……!!?」
「ママ、私の願いは叶ったよ、本当にありがとう……だから……もう、お別れの時間がきたみたい……」
「どうして…!?行かないで……私を一人にしないで……未来とずっと一緒にいたいよ……!!」
「ママ、それはダメだよ。元々私は最初から産まれない存在なの。だからママと話せたり名前付けてもらったり、この上ない幸せだよ。それにこれはママへの試練なんだよ。未来の"パパ"を助けてあげて。そしたら私は必ずママの所に帰ってくるから……」
「……うん。約束だよ……?」
「約束する……さようなら……」
ママ、頑張って……
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