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ⅩⅨ.消えた記憶。消し去りたい記憶。(後編)
しおりを挟む「お兄ちゃんをこれ以上ぶたないで!!」
「さっきの妹か。お前がこの場から逃げたからお前のお兄ちゃんを懲らしめてるんだよ。分かるかな?」
「……」
幼いももは何も言い返せなかった。上級生から逃げたのは事実だから。
「へへっ、何も言い返せないのかよ。これだから女子は弱っちくて嫌いだ。いいか、このお前のお兄ちゃんみたいに弱いヤツは負ける。そしてオレみたいに強いヤツが学校にいるヤツみんながオレの言いなりなのさ。どうだ、すげーだろ?」
「……だっさ」
「あ?」
「だってそうでしょ?それって弱いものいじめじゃん」
両足はガクガク震えて声も震えてるのが分かる。怖いのだろう、今にも泣きそうな顔をしている。
「テメェ誰に言ってんだ!?オレにケチ付けるってんか?あぁ?」
「もうやめてください……」
「あ?何だって?声がちぃせえんだよ?男のくせに弱々しい声出しやがって、ぶっ飛ばされてぇのか!?」
「僕は、弱々しくなんてない……っ!」
体の小さな裕太にはあまりに大きすぎる相手に立ち向かう。それが例え勝てぬ戦いであったとしても。
「クソうぜェんだよ!上級生を舐めんじゃねぇぞ!腹が立つ、これに懲りたら今後、一生調子に乗るんじゃねぇぞ!?」
(どうしよ……私、何も出来ないでただ見てただけ……)
「ももさん、このままで本当にいいんですか?」
「!?」
「僕は信じてます……過去に向き合って嫌だと思っていた自分を打破して変われるって」
「裕太……そんなにボロボロになってまでして勝てない相手に立ち向かうの……?」
「僕も同じだから。僕も、ももさんの様に嫌な現実から目を背けて見なかった事にしていた。月詠さんっていう女の子を見て僕の価値観は変わったんだ。どんな困難に立ち向かう様や物事をはっきりと言う力、僕にはそんな凄いところ無いけど……それでも少しでも見習わなきゃって思って」
その瞳は真っ直ぐに、そして本心である事が伺えた。私も変わらなきゃ。変わって裕太を助けなきゃ……!
「そこのあなた、待ちなさい!」
「あ?なんだお前?」
「私はあなたのその暴力的な行動を許しません!今からあなたを制裁します!」
私がやらなきゃ!私が何とかするの!
「せいさいだぁ?よく分かんないけどやれるもんならやってみろよ!」
「闇を消し去る光よ、我の名より闇を葬りなさい!我が名はモモ・プライン。光の精霊レムよ、闇に染まりし人間に光の裁きを与えなさい!」
ほんの一瞬の出来事であった。上級生の男の子から黒い何かがふっと浮かびスっと消え去った。そしてその場で倒れ込んでしまう。
「……あなたの闇は葬られました。これからは正しき道を歩みなさい」
無意識にその言葉を放ち、そこから意識が遠のいていった……
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ありがとう、裕太。
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